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▲欧州的登山生活▲

Submitted by admin on Mon, 2007-11-19 13:56

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△第63号: クライマーのみに許される聖域 (ハイ・マン)

発行日
2007/11/19
発行者・筆者
まさ (坂野正明)

まさです。
先日、隣にいた友人の女の子(20代前半)の携帯に電話がかかってきました。 彼女は、ラウドスピーカーにして大声で話していました。相手の声も 丸聞こえ。聞けば……

「携帯がちょっと壊れちゃって、ラウドスピーカーしか使えないの。 街中で電話がかかってきた時なんか、周りの目がめっちゃ恥ずかしい……。 でも……、いいの、まずクライミングシューズ買い替える方が先だもん。 携帯はとりあえず我慢するの!」
(注: 英国では日本と違い携帯電話はそれなりの値段します)

おぉっ! これぞクライマーの鑑! その歳にしてそのストイックさ。 感動した僕は、ぎゅっとだきしめてあげたのでした。

さて、僕も負けじ(?)とハードコア。今回は、湖水地方奥地のピラー山 横にあるハイ・マン(High Man)登山の記録から始めます。 1年前に独りで行った ものの(第41号参照)登れ なかった山に、捲土重来を期して今度は連れのアダムと再び本格的に 挑むものです。このハイ・マンは、イングランドの「山頂」のうち唯一、 登攀無くしては登れない山。天気予報が必ずしも思わしくありません でしたが……、そんなことではなからひるんでいては英国で登れる山 など無い! まずは行ってみて、そしてどんな目が出るか見てやるべし。 お楽しみ下さい。

目次

  • 登山記録編 〜〜 クライマーのみに許される聖域 (ハイ・マン) 〜〜
  • 登山ミニ知識編 〜〜 フリークライミングの難易度 (その五) 〜〜
  • Webページ更新情報

登山記録編 〜〜 クライマーのみに許される聖域 (ハイ・マン) 〜〜

アダムと 2泊 3日で湖水地方に来る。 最大の目的は、クライマーにはその名を知られるピラー・ロックス(Pillar Rocks)の 双子の一、ハイ・マン(High Man)。 ルートは、 New West Climb (Diff または VDiff) で決まり! 湖水地方で Diff としては、 Giant Crawl、Corvus に並び、3本の指に入るというこれも有名なルートだ。

いざ来てみると、晴れ間さえのぞく。よしっ! 取付から、ツルベ式リードで登山靴登攀開始。僕のリードの 3ピッチ目のトラバースが 高度感があってなかなかいい。 次の第4ピッチはアダムのリード。チムニー。苦労している。 「俺はチムニーは嫌いなんだよぉ!」「このザックが うざったぃ!!」などなど。不平が多いのは正当派英国人の証? 何度もトライした後、結局断念、僕と交替。すっかりパンプした様子。

一方、僕はチムニーは好み。登山靴との相性もいいし。 ブリッジで気持ち良く登っていく。 でも、確かに今までよりは一段、難しい。
チムニーを抜けたところで、アダムが(ルートは)右側に 行くんだ、と指摘。了解。右の壁を登るわけね。……ふむ、ちょっと難しそう? 左側にある(第一関節までの)フィンガーホールドを 使って体を引き上げて、右の壁のがばホールドに……右手が届いた。垂壁を上に 抜ける。

このムーブは難しかったぞよ。4b くらいか? Diff (VDiff) では あり得ない。 あっ、ガイド本の「右に行く」とは、右の壁を登る、という意味でなく、その壁の 基部からリブの方を登る、という意味でしたか。 あらら、ルートを外したわけね。 楽しく登れたからいいけど。

ただし、すでにパンプしているアダムは、そこで大いに苦労して、悪態を つく羽目になった(申し訳ない!)。中間支点があるから、僕が通ったルートを 登ってこないといけないし……。
そして次が最終ピッチ。僕がリード。 ランアウトながらも問題無く。
……そして、最後、頂上に! アダムも楽にフォローしてきて、握手。登り切った。 素晴らしい!!

山頂は、思ったよりは広かった。10メートル四方くらいか。 ある岩に、スリングが何本もかかっている。懸垂下降の支点だ。 僕もアダムも懸垂下降には惹かれないので、別の易しいルートを クライム・ダウンすることになる。岩登りでしか登れない、ということは、 下降は楽ではない、ということ。それもまた楽しみの一つだろう。

選んだ下降ルートは、Mod の Slab and Notches。ザイルを使って 二人の協力で降りていく。 難しくはないが、簡単でもない 2ピッチの下降の後、 基部に到着。完登(降)!

(湖水地方山行、次回につづく)


登山ミニ知識編 〜〜 フリークライミングの難易度 (その五) 〜〜

(第59号「フリークライミングの難易度 (その四)」からのつづき。)

今号では、英国岩登りの難易度の二つの指標、 形容難易度(第53、第58号参照)と 技術難易度(第59号参照)との 標準的組合せについて、以下に、表を掲載します。これでほぼ尽きています。

英国フリークライミングにおける形容・技術難易度の標準的組合せ
形容難易度 技術難易度 注
Easy〜VD — 通常、表記なし
HVD 〜3c, 4a
S 3c, 4a, 4b ガイド本によっては、表記なし
HS 4a, 4b 湖水地方決定版ガイド本では、表記なし
VS 4b, 4c, 5a 稀に 5b あり
HVS 4c 〜 5c 6b まで見たことあり
E1 5a 〜 5c 6c まで見たことあり
E2 5b 〜 6a
E3 5c 〜 6a
E4 5c 〜 6b
E5 6a 〜 6c
E6 6a 〜 7a 7b まで見たことあり
E7 6b 〜 7a
E8 6b 〜 7b
E9 6c 〜 7b
E10 7a 〜 この難易度は 2007年秋現在、数個しかルート無し
E11 7a 〜 この難易度は 2007年秋現在、1つしかルート無し; E11 7a

今回のルートを例にとれば、形容難易度 Diff(VDiff) にも関わらず、 技術難易度 4b に相当するようなムーブ(動作)を要求するような 箇所があったのはおかしい(はず)、という話です。 さて、上の表を見るとすぐ気付かれる と思いますが、異なる形容難易度に対して技術難易度には大いに重なりが あります。実はそこに英国の難易度方式の真髄があります。 次回はその点を突っ込んで解説します。  (……つづく)


Webページ更新情報

  • この記事は、以下にも載せました。
    http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/magazine/backnumber/eu063.html

次回予告

次回は… 「英国最古、伝統の歩登攀ルート」

See you later!


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