2004/02/08 Froggatt Edge 登山記録/感想文 (by まさ)



総括

山域
Peak District/Froggatt Edge
参加者 (レスター大学山岳部)
アダム、ローレンス、まさ
期間
2004/2/8 (日帰り) Froggatt Edge
(North Climb (12m HVD), Gamma (12m VD), Trapeze Direct (12m VS 4c), Swimmers' Chimney (11m HVD))
天候
曇り時々雨一時雹

登山編

最近、ヘキセントリックを揃えたアダムは、今日がそのお披露目。早く傷をつけ ないと、ってうきうき気味。俗に曰く、「きらきら光るギアを見て感心してくれ るのは、そのギアを買った店の店員だけ」だもんね。元々は、今日は、(用事の ある)奥さんにつき合ってロンドンまで出かけようか、とか言っていた彼、やっ ぱりクライミングだよ、と奥さんにつき合うのは駅まで送るだけにしておくこと にしたという。さすが!!

日帰りクライミングとなれば、Peak District と相場は決まっている。今回は、 当初の予定の Castle Naze を行きの車の中で予定変更、Froggatt Edge に行くこ とになった。風が強そうだ、ということで、周りに木がある Froggatt の方がま しだろう、と。ローレンスは何度も行ったことがあるらしい。私は、ちょうど2年前に一度行った以来だ。 週間天気予報では雨はありません、昨日の天気予報でも雨がたまに降るかも…と いうことだったが…、いきなり雨の中の運転となった。大丈夫か?

幸い、着く頃には雨は止んで、雲間から時折陽が射している。最初は、Sunset Slab Area に出かける。ここの Sunset Slab は、Froggatt Edge一有名らしい。 最初のリードは当然アダム。クラックとスラブの組合せの North Climb (HVD 12m)へ挑戦。二つ目の支点までは作ったが、そこで断念。私が替わる。アダムが 断念したものを同じ方法ではだめだろう、とレッグジャムを極めてみる。うまく いった。あとはスラブのフリクションに気を遣いながら上まで抜ける。アダム、 ローレンスとフォロー。強風の中でのビレイは…寒い。おまけに、ローレンスが 登り始めた途端、雨がそして雹が降り始めた。一時はローレンスの動きが止まる くらい…。登り終えるや否や、下に退散して昼食休憩へ。

雨は止んだり降ったり、濡れるスラブ岩。ようやく雨が止んで、時折日が射すよ うになってから、Great Slab Area に移動する。アダムはグレードを落として再 挑戦、VD の Gamma へ。今度は難なくクリア。念願のヘキセントリックも使って いた。このルートは、私は2年前にも登っ ている。今日は、登山靴でフォローした。

続いてローレンスが隣のクラック Trapeze Direct (VS 4c) をリードする。ロー レンスのナッツのセットは実に手際いい。感心して見る。アダムに続いて私もフォ ロー。トップロープに油断したか、核心手前の簡単なところで、ずるりと落ちる…。 弱々。

この頃、隣では、ある人が、E3 のスラブルートをソロで見事に登っていた。な にしろ、最初の数mが核心で、そこではおよそ中間支点が取れない。リードする なら、確かにソロでも同じってもんだ。とにかくボルトがないのが、英国で…。

さて次は私のリードの番。The Cave Area の Swimmers' Chimney (11m HVD) へ。 ガイドブックによれば、より経験豊かな(年寄り)クライマーが、今や失われた技 術を若者に見せてやるのに最適、とユーモラスな表現で書かれている…つまりク ラシックルートってわけだ。私はチムニーは好き。でもリードはやったことがな い。HVD とはちょうどいいじゃないか。しかし、下から見ると、上部に中間支点 が取れそうな場所が見当たらないが…? アダムに本気かい、とからかわれてもや る気満々の私は揺るがない! 何せ、君らよりひと世代上の「年寄り」なんだぜ、 わたしゃ。もし危険そうなら、そこで撤退すればいいわけだし。

まず背を伸ばして、最初の支点をセット。ローレンスにはあまり意味ないんでは? と言われるが…、何しろ一歩目から少々難しい気がするので。チムニー中の岩に 足をかけて大きく体を持ち上げてから、バック・アンド・フット態勢に入る。広 めな分、消耗が早そうだ。早速、二つ目の支点をセット…するはずが、なかなか 極らない。おまけに、バック・アンド・フット態勢では、後ろに持ったヘキセン トリックを取るのが、これまたひと苦労だ(登る前に、前に回しておくべきだっ た!)。ビレイのアダムから青色の(一番大きな)フレンズだ、とアドバイスが飛ん で、素直に従う。極った。ふぅ。落ち着いて、さらに直上にヘキセントリックを 極めてから、ロープの流れのため、プリセットした最初の支点を外す。

あとは、バック・アンド・フットでじりじり体をせりあげつつ、ナッツで一つ支 点を取ってから、レッジに立つ。このレッジ、実は思ったよりずっとずっと奥に 広い。上部には、中間支点を取れそうなクラックがいくらでもあることが分かる。 再びバック・アンド・フットで登り抜けた。比較的狭くて、またクラックがある 分、下部よりずっと信頼感があって易しい。楽しいチムニー・クライミングであっ た。終わってみると、核心は一歩目と二歩目だった。実際、フォローのアダムも そこで苦労し、一度は落ちた。

ローレンスが登る前に、雨が降り始め、やがて大量の雹が降ってきた。最後にス ラブを登りたがっていたローレンスも、これではどうしようもない。洞穴で雨宿 りしながら、帰り支度。天気予報を呪いつつ、帰途についた。

それにしても、アダムの指示は実に的確だ。フレンズの種類まで指摘してもらえ るとは…、ガイド並みか? 以前の湖水地方での撤退の判断も的確だったし、す ばらしいビレイヤーである。


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まさ