総括
- 山域
- Peak District/Stanage Edge
- 参加者 (レスター大学山岳部)
- アダム、まさ
- 期間
- 2005/03/18 (日帰り) Stanage
Edge/Plantation
- Goliath's Groove Area/Hollybush Gully Right (20m VD); Leader アダム
- Goliath's Groove Area/Hollybush Gully Right Direct Start (19m S 4b); 2nd まさ
- Goliath's Groove Area/Wall End Holly Tree Crack (18m HS 4b); Leader まさ
- Goliath's Groove Area/Goliath's Groove (22m HVS 5a); Leader まさ
- Outlook Buttress Area/Ladder Corner (8m M); Leader アダム
- 天候
- 晴後曇
登山編
今週末は絶好の岩登り日和になりそう、ということで、アダムに声をかけて 久々の Stanage Edge へ。約1年前に アダムと来て以来になる。レスターを発つ時には霧だったが、次第に 晴れてきて、Stanage Edge に着く頃には、見事な岩場が前方に広がるように なっていた。少し黄砂のような感じで靄がかっているが…、英国で黄砂も ないだろうが。この日は、岩登り中、ずっと半袖Tシャツ一枚ですんだ。 先週末は雪山登山だったという のに、この差はなんだ??
今回は、いつもと違って、有料駐車場に車を駐車。ここからだと、岩場の 中央部に直接アクセスできる。巨大な Stanage Edge では、今まで、(最も 大きな駐車場に近い)東部しか登ったことがなかったもので、この中央部は 初めてだ。最初はアダムのリードで VDiff の Hollybush Gully Right へ。 右側に斜めに登った後、左にトラバースして、スタート地点の上をほぼ まっすぐ登る感じだ。シングルのロープで登るアダムとしては、トラバース 前後に中間支点が欲しいが…、そうして登るとロープの流れが極端に悪く なる。結局、前後に中間支点を取った後、トラバースし直して、前の 中間支点を外すことにした。つまり、3回トラバースしたわけだ。おつかれ。 フォローの私は、ありがたく、直登する Severe のルートで登らせてもらった。
続いて私のリード。チムニーが好きな私だが、こんな気持ちのいい日は、 じめじめの凹部よりも陽の射す明るい場所を選びたい。というわけで、 フェースの中央を走る Wall End Holly Tree Crack へ。最初の部分だけは 谷部を通り、そこは濡れていて苔もあったりちょっと嫌な感じだった。でも、 上部はなかなか気持ち良く登れた。クラック核心部が意外に難しく、予定外 のレッグジャムの出番になった。フォローのアダムは、核心で落ちた模様。 「リードでなくてよかったよ」との弁。昼食後、今日のハイライト、Goliath's Groove をリードする。 HVS (Hard Very Severe) 5a。人生初めての HVS のリード、それも オンサイトとなる。5月に落ちて怪我する前は、私は VS 5a を幾つか 登っていた。人工壁での感触から言って、今の技術レベルは当時より も少し上くらいだと思う。それから考えて、登れないはずはない。 このルートは、中央にクラックが走るグルーブ(部屋の角のような感じ の凹状のコーナーのこと)で、中間支点はルート全体を通して申し分ない という。そして、この岩場で最高のクラシックルートのひとつだそうだ。 グルーブが割と好きな私にとっては好みのタイプ、相手に不足はない。 何と言っても中間支点に困らない、というのが最高だ。
最初の数メートルが核心(←多くの人にとって、と但し書きがついている)、 その間、まっとうに掴めるようなホールドは一切ない。つまり、グルーブ 特有のブリッジか、中央のクラックを利用してのレイバック以外に手は ない(ジャミングはあり得るが、グルーブなのでちょっと厳しい)。 ただし、右の壁際を掴むことは、あり得る手の一つだ。 垂直の壁際なので、それを頼りに体を引き上げるのは不可能だが。 このルートが、(VS ではなく) HVS となっているのは、おそらく 5a (など)の 難易度のグルーブ登りが継続的に続くからだろう。
というわけで、ブリッジで登り始める。3mほどのところで、最大のヘキセン トリックを最初の中間支点にしようと狙っていたが…、クラックが微妙に 広過ぎる! 急遽、私の持つ最大のフレンズ(DMM サイズ3; つまりそう大きくは ない)を奥に突っ込んで、最初の支点とした。クラックは、おおむね微妙に 外に向かって広がっているので、フレンズ以外では支点を作り難い。もっと 大きなサイズのフレンズを持っていれば、迷わずにすんだところだった。 とにかく、ブリッジしながらのセットはなかなか神経も筋肉も疲れる…。 何とか最初の支点を作ることができてほっとしたものだった。
さらに、壁の微妙な窪みや数mmの小石を頼りにブリッジを極めて、時に レイバックも組み合わせて登っていく。2mほど上で小さいサイズの ナッツ(フレンズだったかも?)を極めて、その後、ようやく、上の 小さなレッジにつながる、ルート初めてのまっとうなホールドに手が届く。 ほっとした。こうして核心を越えることができた。
見た目には、この小レッジから上の方が難しい。同じくグルーブが続くの だが、片側がオーバーハングになっている。しかし、登ってみると、意外に そう難しくはなかった。左側の垂壁の方に、結構、凸凹があり、いい スタンスになってくれるからだ。第二のレッジに立った後、最後の 2mを 気持ち良くフィニッシュ。
グルーブは好きだが…、このルートは緊張した。HVS は伊達ではないね。 特に中間支点を作る時など筋肉がこわばっていた。筋肉がこわばる時、 バランスも崩れるから…、悪循環になってしまう。経験が必要なところ だろう。何はともあれ、クラシックのHVSを無事登り切って満足だ。
次に登る機会があれば、大きなフレンズを持ってきたいものだ。かつ、 左側のギアラックに必要なものを集中させておきたい。支点のセット時、 体の右側を壁に押しつけている状態で、右からナッツを取ってくるのは、 厳しいものがあった。
一方、フォローのアダムは、途中、何度も落ちてロープに体重を預けて 呪詛を吐いていた。アダムはあまりブリッジは得意でなく、結局レイバック で何とか登った。腕がパンプしかけたようだ。アダム、すまない!
この後、ちょっと休憩を入れた後、最後のアダムのリード。腕の筋肉が 張っているアダムとしては、易しめのルートにしたいところのよう。 結局、少し場所を移して、Severe 4a の Outlook Layback を登り始めるが…、 下部でどうも確信を持って登れない様子。結局、諦めて降りてきて、 近くの Diff の Ladder Cracks へ。二つ目の中間支点をセットしたところで、 どうも難しい様子。「今までで最高に難しい Diff のルートだ!」と 叫んでいる(RockFax のページの一般クライマーの感想によれば、確かにハードで、 VDiff の方がもっともらしそうだ)。駐車場が閉まる時間(19時)が気になるので、 諦めて、そこからすぐ右隣のクラック(Ladder Corner; Mod) へ移って、登り切 る。あまり浮かれない様子…。無理もない。次の機会への宿題としましょうよ、 アダム。
情報編
Stanage Edge への駐車場は、3カ所ある。最南部の駐車場が最もメジャー(無料)。 ただし、その最南部の駐車場は、メジャーなだけに、シーズン週末は一杯に なっている可能性が少なくない。今回は、11時頃に着いた(横を通り過ぎた)時、 1〜2台分のスペースがぎりぎり残っていた。
今回利用した駐車場は、Stanage Edge 中央部へのアクセスにもっとも便利。 有料(£3 = 600円/日)で、19時に閉まる(夏はもっと遅くまで開いて いるかも?? …22時頃まで明るいのに19時に閉まるとは考えにくいから)。 実際、19時に係員が来て、きっちりゲートを閉めていった!
駐車場から岩場までのアクセスは普通のウォーキングのルートで分かりやすい。 平坦に近い道を(岩場の中の最も近い部分までで)10分ほど。
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まさ