[Japanese / English]
Summary
- 山域
- Peak District/Roaches
- 参加者
- ジョン・S、ベン・H、ガレス、アビ、ニック・R、リッチ・S、エルスペス、ジョン・M、アダム・H、サイモン・D、ピート、ベン、キャット、キャサリン、ネス、ジェームズ、まさ
- 期間
- 2005/11/05--06 (一泊二日)
- 2005/11/05 Leicester ...(列車+バス+車)... Roaches (小屋泊)
- 2005/11/06 小屋 ... (車) ... Speedwell Cavern ...(車)... Leicester
- 宿泊
- フォーカスト・ビバーク
- 天候
-
- 2005/11/05 曇後雨
- 2005/11/06 雨後曇 (11℃@8:00)
登山編
今回は、ピーク地方西部への山岳部の山行だ。Roaches 麓に控える Don Whillans memorial hut に泊まる --- ところだが、 僕は、他の連中のように金曜日から参加できず、土曜日に合流するので、 自前で泊まることにした --- わくわくのフォーカスト・ビバークと する。
結論から先に言うと、結局、一切、登らずじまいの週末になってしまったのだが……、 予想もしていなかった洞窟探検をはじめ、 それはそれで楽しいこともあって実りあるものだった。
11/05
名にしおう英国公共交通機関を利用した結果、Leek に着くので昼前、 そこで、ジョン・M に迎えに来てもらって、午後、ようやく、小屋に たどり着く。時に雨がちの天候で、皆もそれほど気合い入れて登って いないようだ。実際、昼ご飯だ、と小屋に帰ってきて、そこで、2時間ほど ぶらぶらしている感じだ。近過ぎる小屋の弊害?
ようやく小屋を発って、僕は、ピートとベンとのパーティーに合流する。 ピートはこの秋に部に入ってクライミングを初めて、この時が初めての リードだという……ちょっと早すぎやしないか? わずか 1カ月半でリード? ボルトが打たれているルートなら分かるが……英国式伝統のクライミングで?
ピートは、skyline の HVD のルート(→ Upper Tier の Right Route) を選ぶ。ピートのリード前に、 フレンズのセットの仕方を確認するが……、お主、理解してないやんけ!? 確認しておいてよかったってものだ。僕の不安をよそに、ピートはリード開始。
一つ目の中間支点、十分延ばすように指摘すると、あんまり理解してない 気がする……。 そして、二つ目の中間支点、見事にロープをぬんちゃくを逆クリップしてくれた。 指摘すると、そもそも理解してない!! お前、伝統クライミングどころか ボルトのルートもまだリードできる状況やないぞ!
このどたばたで、二つ目の中間支点を十分に延ばすよう指示するのを忘れた。 もちろん、ピートは気づくはずもなく……、この後は、ドラッグとの戦い になっていった。支点は十分取れそうなのに、間が空いているし……。 ついでに、ベンの確保も、一時、瞬間ながら両手がロープから離れた瞬間が あった。恐ろし過ぎる……。
やがてピートがレッジに上がって姿が消えたところで、しばらく動かなくなった。 僕が横(の「一般」道)から上がって見に行くと(上から、レッジまでは何とか ザイルなしでも降りられた)、ロープが岩に引っかかって、 簡単に動けず、苦しんでいた。僕が、レッジで支点をアレンジしてあげる 羽目になった……。
ようやく安全を確保して、激しいドラッグと戦いながら、ロープを引き上げて、 ピート、ベンを確保に入る。今度はベンが、支点の回収にかなり苦しんだようで、 結局、ヘックスとナッツを一つずつ未回収のまま、登り切った。回収は未経験に 近い様子だ。もうすでに日が暮れているので、支点は残したまま、小屋に撤収 した我々だった。
つまり、結局、僕は登らずじまい。でも、自分が登るより、はるかに心臓に 悪かった……。
11/06
朝、小雨の中、昨日、ベンが回収しきれなかった支点二つを回収に出かけた。 ついでに、懸垂下降の実戦講習も兼ねる。ベン、ピートに、アダムも加わる。
支点を作った後、3人に支点の作り方(力の分散の方法)から安全な懸垂下降 の方法まで説明し、いざ僕が降り始める。ベンが昨日、散々 格闘した結果、あきらめた支点なので、固く岩にはさまっていることだろう。 ナッツの持ち主のジョン・S が、多少、不安顔で下から見守る。
1個目のナッツ、確かに固い。しかし、自分の姿勢をしっかり固定して、
ナッツキーで数回叩けば、飛び出てきた。まぁ、慣れの問題かな。
次いで 2個目のヘックス。 ヘックスが取れないとはよほどのこと、ベンは20分以上格闘していた
のだし、と気合い入れて取り掛かるも……、20秒であっけなく回収できた。 なんのこっちゃ。 ジョン・S
も拍子抜けという感じ。経験の違いはかくも、か。我ながら 驚いた --- 自分の技術がどうこうというより、初心者の場合、そこまで
違い得るものか、ということに。
三人とも、たくさん学んだ、という感じで満足そうだった。 まぁ、お役に立てて何より。ただ……、一日や二日でそれだけ学ぶことが ある、ということは、まだリードできる状態ではない、ということ なんだけどね、ピート君。安全第一で楽しんでいってもらうことを願う。
生活編
Don Whillans 記念小屋
Roaches の真下に鎮座するこの小屋は、一度、泊まってみたかったものだ。 今回、残念ながら、僕は人数にあぶれたが、夕食やその後の夜の飲み会など に使わせてもらった。台所の壁から天井の一部にかけて、天然の岩をそのまま 使っているっていうのが、雰囲気を醸し出していて実にいい。英国岩登りの 英雄、ドン・ウィランスの名に恥じない小屋だと感じた。
ちなみに、この日の晩は、Bonfire Night (ボンファイア; 焚火の夜)の夜。 部の連中は花火を持ち込んでいて、湿った夜の中、皆で打ち上げ花火や 線香花火を楽しんだのだった。ピーク地方の真ん中で Bonfire が楽しめる とは思ってもいなかった。なかなか風情があるではないか。
ビバーク
Roaches には、近くに天場もあるので、幕営もできる。でも、今回は せっかくの機会、ビバークとすることにした。蓋をあけてみると、 雨がぽつぽつと降る天候、すばらしい、それでこそ僕のビバーク技術の 真価が問われる、というものだ。なにより、訓練としては申し分ない。 僕にとっては、2年ぶりの まっとうなビバークになるか。随分、御無沙汰したものだ。
夜が訪れる前に、Roaches/Skyline の岩場で少しだけ下見をして、
目星をつけておく。雨が降っても大丈夫そうな、でも平たい場所を。
12時すぎに、小屋を発って寝に出かけるが……、暗闇の中、目指していた 場所とは違う場所にたどりついてしまった。まぁ、いい。それでも、
悪くなさそうな場所を見つけることができた。岩陰で、雨からは少なくとも
上半身、特に頭部は守られている。僕のビバーク袋は(ゴアの)シュラフカバーのため、
最低、頭部だけは何とか守りたかったので、文句ない。
持参のマットを敷き、濡れては困るものをシュラフカバーやスタッフサックの 中にしまいこんで、中にもぐり込む。地面が微妙に傾いているが、悪くない。 また、寒くもない。ほどなく、眠りにつくことができた。
夜間、何度か目を覚ましたことはあったが、降り続く雨の中、ビバークとしては
上等な睡眠を取ることができた。そして、朝、周りに誰もいない自然の中、 目覚めることができるのは実に素晴らしい!
満足のいくビバークの夜だった。
ゲーム
朝、起き出して、小屋に戻った時、エルスペスらが話していた。 早々に寝室に行ったピートらに。
「昨晩、アビが(上半身)裸になってたのよ。(見られなくて)残念なことしたわね。」
えー! それは僕も知らなかった。そう言えば、僕が小屋 から(ビバークのため)離れる時、アビは勢いよくTシャツを脱ぎ捨てていたなぁ。 考えてみれば、(トランプを使って)いわゆる野球拳もどきをやっていた? Bonfire の勢い? なるほど、皆に「おやすみ」と言ったのに、誰も返事をくれなかったのは、 連中、熱中していたからか? そういうことだったのか、うーむ、鈍さ 100% かな。
ベンによると、かく言うエルスペスも、その「ゲーム」とは関係なく脱いで いたそうな。「いい眺めだった」って。
はいはい、そうですか。
惜しいことしたかって? うーん、まぁ多少は。
でも、ビバークでちゃんと休みを取るためには、昨晩あれより遅くはできなかった しなぁ。あと
30分待つ余裕はなかっただろうし。それに、ビバークは 随分楽しかったし。そう、それでよかったのだ! (……強がり 100%)
洞窟探検編
11/6、雨がちの朝、結局、皆、岩登りは取り止めにする。 僕らの懸垂下降+支点回収が終わり次第、小屋を後にして、(マイクロバスで) エルスペスの案内で、スピードウェル・キャヴァーン (Speedwell Cavern) へ洞窟探検(ケイビング)に出かける。洞窟なら雨でも関係ないもんなぁ(笑)
僕は、まっとうな洞窟探検は一度も経験がない。小さい頃、山際にあった 防空壕(?)ではよく遊んでいたものだったが。楽しみ、楽しみ。
エルスペスは、一度ならず来たことがあるそうだ。駐車場の端の向こうに、 洞窟の口が空いている。地味に。
膝をついて洞窟に入ると、中では立つことができる。横は決して広くなく、 一列で進まざるを得ないが。まっ昼間なのに、数メートルも進むと、 漆黒の闇になる。闇を楽しみたくて、最後尾を、時にヘッドランプを消して歩く僕。 わくわくするぅ。
広間に出たところで、右に行けば、別の入口、左に行けば、さらに奥に。 当然、左に。ちょっと急で、岩登りの経験が微妙に役立つところ(今回、 僕らはロープ類は一切、使っていない --- そんなルートではないから)。 濡れた石灰岩は、実に滑りやすいので、細心の注意を払う必要がある。 滑っても死にはしないが、捻挫や骨折のひとつは保証されそうだから。 ヘルメットは必需品だ。
10メートルほど奥にいったところで、ぽっかりと深い穴が空いている。 もしこれを降りるには、ロープが必要。僕らはここで満足して、入口に 戻る。途中、リッチが、壁に埋まった化石の数々を指さす。言われる まで気づかなかったが、実は化石だらけではないか! 石灰岩って……驚き!
しめて20メートルかそこらの「探検」というのはおこがましいものだったが、 それで僕には十分すぎる。心から楽しめた貴重な経験だった。 エルスペス、ありがとう!!
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まさ