2007/04/21 北ウェールズ/Ogwen/トレバン山登山記録/感想文 (by まさ)

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総括

山域
北ウェールズ/Ogwen/Tryfan/East Face
参加者
グレアム・B、まさ
期間
2007/04/21 (日帰り)
Tryfan/East Face
  1. Grooved Arete (244m HVD); Leader グレアム/まさ (半交互リード)
天候
晴 (11℃ @13時、第4(5)ピッチの終了点にて)

登山編

ピーク地方から スコットランドまで 一緒に楽しい登山をしてきたグレアムがカナダにワーキング・ホリデー(と 登山!)に発つ、というので、その前にこの週末は、一緒にクライミングに 行くことにする。今日は、北ウェールズのトレバン(Tryfan)山に日帰りで。 因みにグレアムとは、 2005年秋に同じ山群の Y Garn に強風雨の中、一緒に登っている。今回は、それよりはかなり ましな天気になりそうだ。

トレバン山は、その東壁(East Face)が(比較的低難度の)クライミングで有名だ。 山の中腹を横断するテラス(Heather Terrace)から上まで直登する。最長で 250m の ラインが取れる大きな壁だ。 僕は、2004年12月、 東壁を望むトレバン山直下の天場に幕営して、最終日、北稜からトレバン山に 単独歩登攀したものだった。その後も、2、3回、近くまでは来たし、その 中腹のテラスを端から端まで横切ったり したことまであるものの、東壁自体には手つかずだった。 今回、初めてその東壁を登れる、ということで大いに楽しみだった。

選んだルートは、おそらく最も有名でポピュラーな Grooved Arete。 250m 近い長大なルートで、北ウェールズで最長のルートの一つ、 イングランドにはこのスケールのルートは存在しない。 難易度は HVD、登山靴で登れそうだ。

10:15頃、取付に到着。60m のシングル・ロープで登る。 第一ピッチ、第二ピッチは僕がリード。スタートはなかなか悪くない。 眼下に(取付の)テラスが遠ざかっていく。後ろから、二人組が登ってきている。 さすが、有名なルート。

第三ピッチをグレアムがリード。 その後、大きな立派なテラスを(このテラスは登山道に近いサイズで特に 高度感もないので、ザイルは使わずに)右に歩いてトラバース、 そして続いてグレアムが第四ピッチをリード。次の高度感あるテラスに出た ところで、前のクライマー 2組の渋滞に突き当たった。この この第四ピッチは高度感があって、なかなか楽しい。僕はフォローだから 怖くもなく。

ここで結構待つことになる。その間、後ろから追い付いてきたクライマー二人、 待つのに飽きたようで、懸垂で撤退していくことになる。 次のピッチは僕の番。次の次のピッチが核心だと思っていたのだが……、どうも ここらしい。つまり、標準で 5ピッチのところ、僕らは 4ピッチで登ってきた ようだ。

垂直に 4メートルほど登った後、チェス盤のような岩面を斜めに登っていく。 Knight's Move と名付けられているスラブだ。ホールドは大きくはないが豊富で、 確実に登っていける。人が 3人立てるかどうかのレッジがこのピッチの終了点。 グレアムは、登山靴だとちょっと登りにくいと感じたようだ。まぁ、そうかも。

次のピッチはグレアムのリードで僕がフォロー。 前のグループの最終者がナッツが取れずにいたので、もし僕が取れたら、 後で渡してあげるよ、と言ったのだが……、僕も取れなかった。加えて、 その前に誰かが別の(これも比較的新しそうな)ナッツを残していて、 これも回収を試みるが全然だめ。おまけに……、僕がセットした TriCam 2.5番 までどうやっても取れなくなって、前の人の分を回収するどころか、自分で もう一つ残す羽目になってしまった。あらまぁ。 TriCam は、効くかどうか不安なことの方が多いものだが、カムはカム、 深くはまるとにっちもさっちもいかなくなってしまう、ということか。 自分がセットしたもので、回収「できず」に残置するのはこれが初めて だと思う。このレッジ、(そうは見えないけれど!)ギア呑み込レッジだね。

そして、次の第7ピッチを僕がリード。上まで出て、これが最終ピッチ。 グレアムとしっかり握手。楽しいクライミングだった。HVD の難易度は 妥当かな。登山靴(僕は歩登攀靴を使ったが)で登れる。しかし、途中、 ほとんど限界までぬんちゃくを伸ばす必要があったのは、さすが (単なる岩場でなく)山のルート、ということだろう。30cm どころか 60cm まで伸ばしたことも少なくなかった。こうして、山の壁を登っている という雰囲気は格別なものだった。

ここからは高度にして 50m くらいか、クライマー径を辿り、トレバン山の 山頂にすぐ到着。今日は遠くの山々までしっかり望める。 素晴らしいね!
帰りは、北稜(North Ridge; 歩登攀 Grade 1)経由 で下りて、今日の登山/登攀をしめくくった(トレバン山へは、通常のまっとうな 登山道はなく、歩登攀が必要不可欠)。


情報編

北ウェールズ/スノウドニア概観

紀元一世紀にローマ人がブリテン島(イギリス本土)に攻め入って来た時、 現イングランドはほぼ全域征服されましたが、ウェールズは難を 逃れました。 あまりに山がちなので、魅力がなかったのだろう、と 言われています。

これは、現在では、ウェールズは山好きにはこたえられない場所である、 ということでもあります。中でも最も山深いのが北部で、13世紀に イングランドに征服されるまで、(ウェールズの中で)最後まで独立を 保っていた地域です。ウェールズ(とイングランドと)の最高峰が Snowdon(ウェールズ語: Yr Wyddfa)山(英語読みでスノウドン山)、標高 1085m で、 それを盟主とした地域が Snowdonia (ウ語: Eryri)(英語読みでスノウドニア)と 呼ばれます。スノウドニアの境界はかなり曖昧ですが、スノウドニア国立公園は ざっと南北 70km、東西 30km にわたる地域を指します。

スノウドニアの中で、高い山は北部に集中していて、中でもスノウドン山群、 トレバン(Tryfan; 英語読みなら「トリファン」が普通)山を 含む Glyderau(英語: Glyders (グリデールズ))山群、 Carneddau(カルネザイ)山群が有名です。中部は相対的にマイナーですが、南部には (南部)最高峰 Aran Fawddwy (アラン・ファウズゥィ)山(905m)と険しい Cadair Idris (カデール・イドリス)山とがそびえます。

参考リンク

スノウドアニア国立公園境界の模式図 (@Wikipedia)
http://en.wikipedia.org/wiki/Image:SnowdoniaMap.jpg (HTML page)
Wikipedia Snowdonia
http://en.wikipedia.org/wiki/Snowdonia
Snowdonia National Park Authority (スノウドニア国立公園公式ページ)
http://www.eryri-npa.co.uk/
Snowdon & Snowdonia Information
http://www.snowdon.com/

当文は、 「ウェールズの山情報」 のページにも転載しました。


タイム・テーブル

2007/04/21 Tryfan 山行タイム・テーブル
時刻 行動 高度(m) (計器|地図) 温度(℃) 歩数(複歩)
表注:
歩数は、その前の項目からの歩数[複歩]、 括弧「(...)」内は予測値。 GR は、Grid Reference Number で、省略時の頭文字は、SH。
(Crewe → Gwern Gof Isaf(駐車場) → Heather Terrace → Grooved Arete → Tryfan → North Ridge → 駐車場)
04:40 Crewe発
09:05 Gwern Gof Isaf(駐車場)発 290
Heather Terrace
10:25 Grooved Arete 登攀開始
13:00 第4ピッチ終了/昼食
(ガイド本の第5ピッチ終了点)
11
16:20 登攀終了後、頂上に向けて発
Tryfan山頂 915
18:40 駐車場
18:56 15
18:56 駐車場
20:55 Crewe
23:15頃 就寝

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まさ