2008/03/21--24 ベン・ネビス登山記録/感想文 (by まさ)

[Japanese / English]



総括

山域
Scotland/Highland/Lochaber/Ben Nevis
参加者
クローディア、まさ
期間
2008/03/21--2008/03/24 (3泊4日)
(以下、リンクは特記しない限り ukclimbing.com へのもの)
様式: AL = 交互リード, MT = コンテ, O(s) = オンサイト, F = フラッシュ, (A) = (助言少々), G = グラウンド・アップ, Hp = ヘッド・ポイント, D(og) = ザイルぶら下がり, E(s) = 諦める/エスケープ, C(d) = クライム・ダウン
宿泊
幕営 (CIC hut 横; 1日目はフォースト・ビバーク)
天候
  • 2008/03/21 曇時々雪
  • 2008/03/22 曇時々雪
  • 2008/03/23 曇時々雪
  • 2008/03/24 曇時々雪
夕食
  • 2008/03/21 行動食
  • 2008/03/22 Cheese & Chicken Pasta (インスタント) + (フランクフルト)ソーセージ + 葱 + 人参 (バター、ミルク、ハーブ)
  • 2008/03/23

登山編

クローディアと冬山登山に来る。 クローディアとは、 2006年夏に湖水地方で 一緒して以来になる。人口壁で顔を合わせることは多いとは言え。

クローディアは、昔、冬山にはそれなりに行ったそうで、 スコットランド冬期登攀難易度 II までは登ったようだ。 アルプスの経験もある、と聞く。 しかし、ここ数年、冬山からは遠ざかっているので、実に 久々になる、ということ。では、雪上訓練から始めますか。

場所は、ベン・ネビス(Ben Nevis)山を選ぶ。 スコットランド一の登山のメッカ。 2週間前のように CIC小屋の近くまで行って、そこで幕営することに。

03/21

早朝、レスターを発。ひたすらドライブ。 18:20 ベン・ネビス北壁(North Face)駐車場発。 暗い中、CIC小屋目指して歩いていく。 北壁を上方に臨む辺りで雪にぶつかるも、つぼ足で歩いていける程度だ。 CIC小屋着、21時すぎ。

それなりに風がある。つまりちょっとした吹雪。雪はパウダー。 近くには他に 2張、天幕が張られている。 右方に風を少しでも避けられそうな平たい場所を見つけて、天幕設営にかかる。 本体を広げてリュックサックを中に放りこんでから、フライの固定へ。 クローディアがフライを押えている間に僕がペグを雪の中になるべく 深く埋めて踏み固める。 しかし、雪がパウダーなもので、心許ない。どうかすると、風で はためいた衝撃で堀返されてしまう。 加えて、テントの張り綱のスライダーを夏山セッティングのままで 冬山用に換えていなかった分、余計に時間がかかる……。後悔。

3本ペグを埋めたところで、突風。3本とも飛ばされた! いや、一箇所は、張り綱とテントをつなぐプラスチック治具の方が ぶっ壊れた! 冗談……。 加えて、テントのポールの 1本が、端に近いところで折れてしまった。 ポールは壊れることはあるとは聞いてはいたが、実際に山中で 壊れたのは、僕にとっては初めての経験……。吹雪の中で 壊れなくてもいいのに……とは言っても、壊れる時というのは、 そういう時なのだろう。

ちなみに僕は本格的登山用天幕を持ってはいるが、2人には少し小さいので、 今回は、2〜3人用の通常登山用(トレッキングなど)天幕の方を持参した。 それが裏目に出たということだ。甘く見たか。加えて、持参のペグの 半数は棒状ペグ。雪に埋めるには向いていない。後悔……。

しかし、ポールはともかく そんな部分(プラスチック治具)が壊れるかぁ!? しかも、多少強いとは言え、 人間が吹き飛ばされることは全然ないだろう、言ってみれば山では そう珍しくもないこの程度の風で。 驚愕。

気を取り直して、まずはポールを補修。折れた場所に専用金属カバーを かぶせて、テーピングでぐるぐるに巻く。大丈夫そうだ。 そして再度、ペグを打ち(埋め)直していく。 先ほどよりもさらに深く、さらに慎重に。パウダー雪なので必ずしも 簡単ではない。風が強くなってきているのが少々気にかかる。 でも、5本ペグを打ち終わったところで、もう大丈夫だろう、と いう気になってきた……その矢先、先ほどよりもさらに強烈な突風が 襲ってきた。今度は、ペグ(または例のプラスチック治具)が 全て吹き飛ばされた上、中に入れた重いリュックサックにも関わらず、 テント本体まで風で転がる羽目になった。げげげ……。

ことここに至り、クローディアが提案してきた。 「(恥を忍んで)今晩は CIC小屋に 入れさせてもらわない? 台所でもどこでもいいから、とお願いして。」 もうすでに 24時を回っている。 やむを得まい。 クローディアに交渉に行ってもらうことにした。 僕は、その間、天幕を押えていることに。

15分も待っただろうか。 クローディアが帰ってきた。悪いニュースと共に。 断られてしまったのだった……!

CIC小屋は、スコットランド登山クラブ(SMC)所有の私設小屋。 営業小屋ではないので、管理人もいない、自炊形式の小屋。 英国ではごく普通の形態の山小屋(ちなみに英国には基本的に 日本(や欧州アルプス)に言う(営業)山小屋はない)。 そして、SMCの方針として、原則としてその場で立寄る人はお断りなのだ、 という。命に関わるような問題、つまり現に山岳救助を求めているような 状況ならば別だろうが。しかし、たとえばこの場合なら、 「天幕が張れないというなら、今から駐車場まで戻れ(=下山すれ)ば、いいんじゃない?」 ということになるのだという……。ここから駐車場までは 3時間程度で、 登山道も比較的はっきりしているから(とは言っても、上部の 1時間距離は 雪に覆われていて、よく言って不明瞭)、夜とは言え、危険が そう大きいとは確かに言えない — 敢えて冬山に乗り込んでくるだけの 技術体力装備がある登山者にとっては。

クローディアによると、今夜の宿泊者の中には同情的な人もいたが、 一人、SMC会員の人がいて、その人が頑として譲らなかった、ということ。 うーむ……それは予想外。

二人とも既に大いに疲れている。丸一日のドライブの後、 ここまで重い荷物を抱えて登ってきて、吹雪の中、3時間格闘 していたわけで……。 確かに今からここから駐車場まで帰れなくはないだろう。 しかし、荷物を持って下山するのは現実的でない。だからもし 駐車場まで帰るなら、荷物を置いていくことになる。 つまり、最低、また取りに戻って来なくてはいけない。 それに、駐車場まで帰ったところで、宿をどうするか、というのは また問題になる。

やむを得まい。これはビバークですね。 テントがある、ということは、ポール無しで中にもぐり込めば、 贅沢なツェルトの代わりになる。 CIC小屋の風下側の壁の部分に移動して、そこにテントを 「敷いて」、中にもぐり込む。 僕はシュラフカバーの中の寝袋の中にもぐり込む。 クローディアは、シュラフカバーの替わりのビバーク袋(実質上、 比較的強靭なビニール袋。英国では、オレンジ色が標準)の中の寝袋に。

僕はフォーカスト・ビバークは数え切れないほどしてきたが、 フォースト・ビバークは初めて。クローディアも同じ、と言う。 ま、これも経験ですね。

風が強いので、二人で寝ながら足の部分でツェルト(=テント)を 押えながら、ということになる。 僕がようやく眠りについたのは、25:45。二人とも疲労困憊。 ホテルのように快適とは言い難いものの、生存には全く問題、不安なし。 快眠とは言わないまでも、それなりには眠れそうだ。

03/22

昨夜、夜中に何度か起き出して、ツェルト(=テント)を調整する必要があった。 小屋の壁に遮られているとは言え、回り込んできた風にツェルト(=テント)が めくれあげられることがあったためだ。 とはいえ、無事、朝を迎えて、人の声で起き出した。 CIC小屋はベン・ネビス北壁登攀のクライマーの多くの通過点であり、 ここ(小屋の外)でひと息入れる人が多い。そんなクライマーの声で 目を覚ました次第。10時すぎ。

同じくクローディアも。 (透湿性のないビバーク袋のため)内側からの蒸れがひどかった、と言うが、 まずまず眠れたようだ。

さて、これから、どうしますか。 テントは応急処置はしているとは言え、半分壊れている。 突風には耐えられないだろう。それに二人とも疲れている。 やむを得ない。今日は一旦下山して、下界でどこかにゆっくり泊まって 疲れを癒した後、(4日間の予定期間の 3日目に)日帰りで登りに来るか?

そんなことを考えている折、クローディアが提案してきた。 「(僕らがビバークした)ここにテントを張ったらどうかしら」

ふむ、確かに、ここ(=小屋の壁の風下側)ならば、風からは最も守られている。 ぎりぎりテントを張れるだけのスペースもありそうだ。 ではそうしますか? 君の積極思考には感動です、クローディア!

この場だと、地肌が見えている場所が少なくないので、ペグの半数以上は 地面に直接打込める。加えて、小屋の金属構造も支点としてちょっと 借用させてもらう。褒められた行為ではないが、泊めてくんなかったん だから、それくらいは勘弁して頂きましょう (笑)。 クローディアと二人、工夫して、できるだけの耐風能力が出るように テントを張っていく。
「こういうのも悪くないわねぇ。私、結構楽しんでるわよ」とクローディア。 君は真の登山家だね、お見事です!

こうして無事、天幕設営できた。昨夜よりは風も弱いし、 なんと言っても小屋に遮られているのが大きいから、もうまず大丈夫だろう。

現在、2時すぎ。 3月半ばとは言え、スコットランドの短い日照時間を考えると、 ルートに出向くには既に遅過ぎる。とは言え、僕が当初思ったように 下山するよりははるかに成算的だった!
雪上に乗り出して、4時間弱、雪上訓練に費やす。 これで明日への準備万端!

雪上訓練メニュー

  • 雪崩ビーコン訓練
  • 滑落停止
  • 弱層テスト (ハンドテスト)
  • bucket belay
  • buried axe(s)
  • Stomper belay (スタンディング・アックス・ビレイ)
  • Boot-axe belay

03/23

7:00 起床。 今日こそ登攀の日。 ルートは、Good Friday Climb (難易度 III) を選ぶ。 1年前に目指すも、 当時、時間の関係でルートに入る前に断念したものだ。 このルートの最終ピッチは山頂に突き上げ、最後の確保支点として 英国で最も高いもの、すなわち山頂の三角柱(=三角点)を使うのが伝統、 という点に強く惹かれる。そして季節も悪くない! Good Friday とは、英語で復活祭直前の金曜日の意味 — つまり一昨日のこと、 ほぼどんぴしゃりの時期だ!

出発前、用具の最終確認をしている段階で、僕のクランポンが無い ことに気付いた。……冗談。クランポン無くしては、冬山では 文字通り何もできない……。ここまで持参したことは間違い無い。 昨日の雪上訓練でもクランポンは使わなかったから、無くしたのは その前、つまり、2日前の夜に天幕設営で格闘している時か、 昨日朝に今の場所にテントを張った時か、いずれか、ということになる。

テント周辺を堀返してみるも、クランポンは見つからない……。 2日前の夜の場所は、完全に雪に覆われて、多少堀返してみるも、絶望的。 僕は自分へ呪詛の言葉をかけて、テント周辺を堀返そうとするものの、 ほぼ諦めてしまった。クローディアの方が熱心に探してくれている。 ……そして、声が。「あった!」

えーー! 本当に!??
テントと小屋の壁との間のすき間の雪の下から僕のクランポンを見事に 掘出してくれた。ありがとう、クローディア!! 今回、何回、君に助けられたことか! 君は最高のパートナーです。

そしてようやく、遅ればせながらクライミングに出発する。10:15。 緩斜面を登って、Observatory Gully に入ったところで、弱層テスト(ハンドテスト)。 前には併せて 10人くらいの登山者が登ってはいるものの、 自分の身は自分で守らなくては。

肘を入れて引いたところで、すぱっと上部 10cm が切れ落ちた。 昨日、違う斜面で実行した弱層テストの結果と同じだ。 うーむ、必ずしも芳しくない結果だ。 幸い、今日は日は照っていないし、ここ 2日、温度の急変化もない。 周りに明らかな雪崩跡も見られない。 斜面の角度はそう急ではないので、角度的には雪崩の起きる可能性は比較的低い。 谷の小高いところから右の壁の方に進めば、危険地帯の滞在時間は最小限に 抑えられると思うだろう。 また、弱層は 10cm だから、万一雪崩が起きても、比較的小規模で 済むと予測する(無論、十分致命的になる可能性はあるにせよ)。

……と判断して、歩を進めることにした。 この谷でゆっくりしているのは愚か、なるべく早く通過して ルートに達しましょう、ということだ。

谷の右上部(7割くらい登ったところ)、岩壁のところで短い休憩を入れる。 僕らの前方に、Gardyloo Gully、Gardyloo Buttress 方面に向かう 登山者がいる。おそらくそのせいだろう、その方向から雪が 常時、流れてきている。つまり、極小規模の表層雪崩。

Good Friday Climb の取付は、前方左側。 Observatory Gully 自体の構造から言えば、雪崩の危険度という 観点から見て、もっと上までまっすぐ上がってから左にトラバースしたい ところだ。しかし、この極小規模の表層雪崩の通り道を進むのは むしろその方が危険度が高いと判断、この地点から左斜めに取付まで 直登する方を選ぶ。
その雪崩の通り道を 2秒で横切って、その後も なるべく急いで取付近くの岩壁に達する。ひと安心。 確保支点を作って、ここから僕がリード開始。

第1ピッチと第2ピッチとは、ほぼ、雪のピッチ。横にある氷も そう悪くはない。でも、ほとんどの場所では、スクリューの効きを 完全に信用できるほどではない。確保点は何とか岩から(も)取れたのが よかった。第2ピッチの終了点では、相当、雪をかきだす必要があった とは言え。

そして核心の第3ピッチ。氷壁を右にトラバースした後、数メートルの 氷の垂壁を登る。素晴らしいピッチ! 幸い、ここはスクリューも悪くなかった(ように思う — 当然、試して いないけれど)。 右に見える Tower Ridge 他の景観も壮観。Tower Ridge を行く 豆粒のようなクライマーの姿も見える。

氷の垂壁の後は、半分凍った急斜面を 30m(?) ほど登って、 雪を大量にかきだした後、何とか岩から確保支点が取れた。 クローディアもフォローしてくる。「見事なリード (Incredible lead)!」と賛辞をくれた。 それだけ難しかったようだ。でも、数年のブランクの後としては、 落ちずに登ってきたのだから立派なもの。何といっても楽しんだようで何より!

そして第4ピッチ。雪の急斜面。最後、2.5m ほどの雪の垂壁を登った後、 急に頂上稜線に踊り出た。これが最終ピッチでしたか。 三角柱は残念ながら 30m ほど右方に見える。ザイルの長さも足りないし、 仮に足りたとしてさえ、そこからでは最後の雪の垂壁をちゃんと確保できない から、使えない。というわけで、ピッケル 2本を埋めて、通常通り、 雪の確保支点。やがてクローディアがひょこっと顔を出して登り切ってきた。 おめでとう!

現在、19時、気温 -8℃。急速に暗くなってきている。 ガスも濃く、視界も限られる。 一人、東方に行く登山者が通りかかって短い会話を交わす。 僕らも元々はここから東方に行って懸垂ポストから下降する予定だったが、 この視界の中では、それは心許ない。懸垂ポストは見つかるだろうが、 その後、広い谷を下降していくのが、ナビゲーションという意味でも、 雪崩の危険度という意味でも、心配だ。 同様に、No.4 Gully もとても使えない。僕は No.4 Gully には行った ことがないので、ナビゲーションからして困難だ。取付を探すのが、 昼間でもそう明らかでもない、というくらいだから。

というわけで、山頂を経由して、一般道(pony track)経由で降りることにする。 大廻りだが……登山道はもっともはっきりしているので、時間はかかっても 最も確実に下降できるだろうから。

ただし……、雪に覆われたベン・ネビス山頂から踏み固められた一般道に 出るまでは、ナビゲーションへの挑戦として悪名高い (ベン・ネビス山紹介の拙文参照)。 僕は、 1年前にやはり視界が無い中、 このルートを使ったことがあるので、大丈夫だと知っているのが 心強い。とはいえ、今日のコンディションは、その時よりさらに悪い。 今日は新雪のため、雪の上の踏み跡さえ見えず、地面のすべてが 白色で全く同じに見える……。

クローディアの提案で、二人ナビゲーション技術を使う。 クローディアが先に行くのを、止まった状態のまま僕が角度をチェックし、 方向がずれたらそれを指示する。適当なところで止まってもらい(この場合、 ヘッドランプの光が見えにくくなったところ)、僕がクローディアに追付く、 ということを繰返す。おぉ、この技術は知らなかった! 確かにこれなら、 最も正確に方向を決められる。そして僕の鏡つきコンパスは、こういう時には 絶大な威力を発揮する! 精神的に疲れる登攀のリードの後、こういう信頼できるパートナーが いるということは、なにものにも替え難いというものだ。

延々と二人ナビゲーションのピッチを繰り返した後、 最終的に、pony track にたどり着いた。安心の時。 天幕まで戻ってきたのが、午前 1時半。軽く食事を摂って寝袋にもぐり込む。 素晴らしい一日だった!

確保、中間支点

第1ピッチ (60m; トラバース+ガリー入口)
確保支点(取付): Rock No.7
中間支点: スクリュー 2本
確保支点(上部): Rock No.2, TriCam 0.5
第2ピッチ (30m; ガリー雪斜面)
中間支点: Rock No.8, スクリュー数本
確保支点(上部): TriCam 1.5, Bulldog, 残置 Rock (+ スクリュー(次のピッチの最初の中間支点))
第3ピッチ (55m; 氷壁→雪斜面)
中間支点: スクリュー 4本
確保支点(上部): TriCam 3.5, スクリュー 1本, ピッケル(縦に雪に突刺す), 腰
第4ピッチ (50m; 雪斜面)
中間支点: Excentric 7, TriCam 2.5, スクリュー数本
確保支点(上部): ピッケル 2本 (縦+横)

03/24

大変な昨日の後、今朝はさすがに遅かった。 どちらにしても今日、下山してかつ長距離ドライブが待っているから、 急ぐこともない。 天幕の入口を開け放ったまま、中で遅い朝食を摂っていると、 前を通り過ぎる登山者と目が合って、彼が挨拶してきた。
こんにちは……? おぉ、まさじゃないか!

何とその登山者は友人ドムだった! これは驚き! ちなみにドムに本格的な冬山を教えたのは僕、 2005年 7月のアルプスの時だった。 というわけで、ドムとその友人に紅茶と茶菓子をふるまい、 ちょっとしたいい時間を過ごしたのだった。

実は、今回の山行は、「つき合い」という意味でも悪くなかった ものだった。 2日目には、Adam(と Ed)と名乗る登山者が、 僕らの天幕のそばで声をかけてきた。僕と(ピーク地方の) Roaches で 会ったと言う。申し訳ない、僕は覚えていなかった……。 でもきっとその通りなのでしょう。そして、Roaches の VS ルート、 Valkirie が如何に素晴らしいルートか、二人熱く語ったのだった。

3日目には、Observatory Gully を登っている間、 カビー(Cubby)という登山写真家に出会った。巨大なズームレンズと三脚とを 抱えていて目立つ人だった。聞くと、その時、(英国の超一流クライマー) Dave MacLeaod が Observatory Gully のあるルート(夏の E2 という)の冬期初登攀しようと しているところで、彼がその写真を撮ろうとしているのだという。 確かに、遥か上方に Dave の姿を認めることができたものだ (残念ながらこの日は結局、Dave は途中で断念して降りてきたそうだ)。 僕は、Dave のボルダリング教室と講演会に出たことが一度あるので、 親近感がある 一方、そのカビーは、1984年に、Toyokawa(?)(豊川?)という日本人クライマーと 一緒にスコットランドで冬期登攀をしたと言っていた(英国登山協会(BMC)が 毎年、国際登山週間を設定していて、その時に来たそうだ)。 残念ながら僕は寡聞にして存じないのが残念。どなたか Toyokawaさんに ついて御存知の方、いらっしゃいません? (御連絡下されば幸いです)

カビーはこの時 Dave に僕と会ったことを話す、と言っていた。 後日談になるが、この半年後(8月)に Dave が英国最難の伝統登攀の 岩のルートを登った時、記念に Dave の直販店から DVD を購入した。 その時、Dave とメイルで会話したところ、Dave は僕のことも覚えて くれていて、ちょっと感動。

そして、今日は、友人ドムに出会った。 登山家の行き交う場所、ベン・ネビスと言ったところか。

イングランドに帰った後、この復活祭の休暇中、英国全域雨降りの ひどい天気だったと聞いた。一方、僕らのいたベン・ネビスは特に問題なかった。 復活祭の休暇はベン・ネビス山にて、というのが正しい過ごし方、ということだね!


タイム・テーブル

2008/03/21-24 Ben Nevis 山行タイム・テーブル (まさ)
時刻 行動 高度(m) 温度(℃) 歩数(複歩)
(計器) (地図)

表注:
高度の表記で (s) は高度計をその高度にセット。 なお、高度計は、TechTrail/AltiTech-2 を使用。 歩数は、その前の項目からの歩数[複歩]。

2008/03/21
(Leicester → Fort William → CIC hut側)
04:06 自宅発
05:50 Claudia宅発
07:20頃 Sandbachサービス
運転交替(@J35 と J36 の間)
10:00頃 サービス(スコットランド最初@M6)
13:27 Balloch
14:30 Crianlarich
(15分休)
16:00 Fort William
18:20 North Face駐車場発 1
21:00過 CIC hut
25:45 就寝 (フォースト・ビバーク@CIC hut横) -3
2008/03/22
(CIC hut側 → 雪上訓練 → CIC hut側)
10:00過 起床
天幕張る
14:30頃 雪上訓練開始 5
18:30 終了 -3
22:30 就寝
2008/03/23
(CIC hut側 → Observatory Gully → Good Friday Climb → Ben Nevis → Pony track → CIC hut側)
07:00 起床
10:15 700(s) 1
11:00 Observatory Gully 弱層テスト終了 0.5
11:40 Observatory Gully 右側
(20分休憩)
-2.3
12:30 ルート開始 -2.3
19:00過 ルート終了 -8
25:30頃 天幕 -3
27:15 就寝
2008/03/24
(CIC hut側 → Fort William → Leicester)
起床
13:30 684 -1
16:00 29 6
16:43 North Face駐車場発 684 -1
17:37 Fort william発
21:05 サービス発
24:55 A50(Meir Park近く)
26:15 Leicester

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まさ