2008/08/08--10 湖水地方登山記録/感想文 (by まさ)

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総括

山域
Lake District/Patterdale/Priest's Hole
参加者
クローディア、まさ
期間
2008/08/08--2008/08/10 (2泊3日)
(以下、リンクは特記しない限り ukclimbing.com へのもの)
  • 2008/08/08 Leicester ...(車)... Patterdale
  • 2008/08/09 Patterdale ...(車)... 駐車場 ... Priest's Hole (フォーカスト・ビバーク)
  • 2008/08/10 Priest's Hole ... Patterdale ...(車)... Leicester
宿泊
  • 2008/08/08 Patterdale で Wild camping
  • 2008/08/09 Priest's Hole でフォーカスト・ビバーク
天候
  • 2008/08/08 晴
  • 2008/08/09 雨
  • 2008/08/10 雨

登山編

先週に引続き、 クローディアと湖水地方に。今回、事前の天気予報では土曜日は雨、 特に湖水地方は強い雨が降る可能性が強いらしい。日曜日は にわか雨の可能性もあるが、うまくいけば雨に会わずに済むかも、 といったところ。

もし強い雨なら、沢登りも危険そうだ。 丘歩きがせいぜいだろうが……、単に歩くだけでは芸がない。 ここは一丁、山中で豪勢なディナーと張り込むのはどうか? もっとも、幕営だと調理もままならない。そこで思いついたのが、 Patterdale で 2年前に立ち寄った 山腹の洞穴 Priest's Hole、 あそこなら、広々としていて調理に申し分ない。外の雨を見ながら ディナーを頂くのもなかなかおつではないか? それに、そこは一度ビバークしてみたかった場所でもある。 運が良ければ、晩には晴れ間が広がって、星空を楽しむこともできるかも?!

というわけで、クローディアに提案、受け入れられる 今回、観光でもいいかなぁと弱気だったんだけど……、 それいいかもね、とクローディア。

08/08

明日の目的地は Patterdale なので、 先週と同じ場所 (2年前にも泊まった場所)に 天幕を張って、幕営。星空がきれい! これで明日が雨なんて ちょっと信じにくいくらい。

それから明日のディナー(=昼夜食)の下準備をして、僕が天幕にもぐりこんだのは 午前 1時40分。この頃には空の半分は雲で覆われていて、天気予報の 正しさを裏付ける感じだった。

08/09

今日は、洞穴 Priest's Hole に行って、食事をして寝るだけ。 歩くのは 2時間にも満たないはずだから、急ぐ必要は全然ない。 11時前にゆっくり起き出して、天幕撤収、朝食、移動、そして 13時に駐車場 を発って歩き始める。予報に違わず、雨の中。

今日、僕は 80リットルの大ザック。 生肉生野菜他食材はもちろん、ストーブを 2セット、燃料のガソリンとガスボンベ、 俎にコッヘル 7個に各種調味料に、水 5リットル、食卓用のナイフとフォーク、 極めつけは圧力鍋を歩荷。 目的の洞穴は、駐車場から水平距離約 5km、標高差 550m。 雨で大荷物とは言え、2時間かからずに着けるでしょう。 2年前に立ち寄ったから、 大体の場所は分かるし。

というわけで、雨の中、登っていく。 途中、少し道を外したので、右にトラバースして、やがて岸壁の前に立つ。 洞穴に直接通じる道があったはずだけど、見過ごしたか。 滑りやすい急斜面を洞穴求めて左にトラバースして行く。 ……しかし、一向に見つからない! 一体、どこだ?! 地図には、洞穴の名前 Priest's Hole は書かれてあるものの、 具体的な場所は書かれていない、つまり、この辺り 400m くらいのどこか、 ということ。恐ろしく滑りやすい急斜面を重い荷物を担いで探索するのは 非常に困難……。

左端まで行って、かなり上部まで登った後、下降してまた右に登り返す。 登り切ったところで、僕は相当に疲労が溜っている……。ザックをおろして、 今度は右側をクローディアと手分けして探索。 これは、2年前に見た記憶が微かにある ような、という場所に出てしばらく後、呼び子の音が聞こえる。 クローディアが遂に Priest's Hole を見つけた、という!
嗚呼、すばらしい……。この雨の中、もし発見できなかったら 涙ちょちょぎれるところだった。

洞穴の中は、十分、乾いている。時折、上から雫が垂れることがないわけ ではないが、御愛敬のレベル。素晴らしい!! 早速、ロープを横に張って、濡れた服を干す。

2年前もゴミがたくさんあって、 クローディアが根性で大量に持ち降りたものだったが、今回は それにもまして多い気がする……。まったくぅ、きれいに使えないものかねぇ。 しばらく見渡していたクローディア、私、片付ける、とゴミを整理し始めた。 一方、僕は今日の御飯の用意を。

英国では、本格的な食事 — たとえば日曜やクリスマス — は、 昼食が最大のものになる。つまり、ゆっくりと時間をかけて豪勢な昼食を 頂いて、夕方(夜)は軽く済ませる感じになる次第。たとえばフランスでも 同じ(いや、フランスの方がもっと極端?)と聞いているので、 欧州では割と普遍的なことなのかも知れない。 というわけで、この日は、ここ洞穴で豪勢な昼食をゆっくり食べて あとはのんびりくつろぐ、という予定だった。……しかし、時間が相当 遅くなってしまったので、最早、早い夕食の時間になっている。 それも悪くないか。

2つのストーブを使って、ほどなく料理完成! メニューは以下の通り。5コースのディナー。

スープ
長葱(leek)とじゃが芋のポタージュ
サラダ
有機無農薬トマト
前菜
胡麻豆腐
メイン
豚肉のビネガーソース、パスタ、いんげん豆の付合わせ
デザート
レモンケーキのカスタードクリーム添え

我ながら立派なディナーとなった。 洞穴内は雨からは守られている。しかし、雲の中にいるため、 外の景色で見えるものはガスだけ。とは言え、乾いた状況で 上等のディナーを頂くのはなかなかオツなものであった。

デザートと紅茶の後は、しばしトランプに興じた。それから寝る前に、 クローディアとの 4月の湖水地方山行以来の 僕の山行のデジタルカメラの写真を一通り披露して、今日の締めとした。

08/10

今日は雨が降ってもせいぜいにわか雨、運が良ければ晴れという 天気予報だったのだが、目を覚ましてみても、外の様子は 昨日と全く変わり映えしない……(寝ながら外を見られるのはビバーク ならでは!)。 10時頃ゆっくりと起床。

朝食を済ませた頃には天気は少しは回復してきたか? 何百メートルか向こうの山が見えるようになってきたから。 相変わらずの雨ではあるが、視界があるだけまし。

今日は、昨日この洞穴でかき集めた大量のゴミを下界に降ろす作業が待っている。 瓶や半分割れた缶などもあるため、輸送には注意が必要だ。 クローディアは、それら全てを残されていた寝袋の一つに詰込み、 さらにそれを(これもそこにあった)ビバーク用袋の中に入れる。 最後に(これもそこにあった)マットでそれを包んで、僕が提供した 細引でぐるぐるに縛る。下界まで引きずっていく、という心積もりだ。

僕自身はその戦略はかなり疑問で、途中で破れて問題が出そうな 気がしたものだ。とはいえ、もし破れてきたら、細引で巻いて二人で 運べばいいので、とりあえず引きずっていくのは別によかろう。 いずれにせよ、クローディアが仕切っているところだし。

もともと僕自身、大型リュックサックを持参しているし、 相当量のゴミを歩荷して下山することになるか、という予想はあった。 しかし、人間大の大型袋一杯のゴミを持ち帰ることになるとは、 思ってもいなかった……。君はすごいよ、クローディア。 大した発想と行動力です!

ゴミと綺麗になった洞穴との証拠写真を撮って(「使用前」の写真を 撮り忘れていたのが残念!)、 洞穴にあった帳面にでかでかと「ゴミを残すな」の旨書き記して、いざ発つ。 巨大なゴミ袋を引きずっていくのはクローディア。最初は急なので、割と楽。 実際、手を離して、袋がごろごろ斜面を転がるのに任せたり。

最外殻のマットが随分と効いているようで、袋のダメージは意外に 少ない。いつでも(引き手を)替わるよ、と僕は伝えているも、 クローディアは一人でどんどん引っ張っていく。途中、数回、 ほどけてきた(擦れて、ずれてきた)細引を巻直しただけで、 クローディアは遂に独力で下界まで引きずり通した! お見事! 外のマットは一箇所破れ、その下のビバーク用袋も何箇所か 裂けてはいるものの、肝腎の寝袋にはダメージは全くなさそう。 強いものだ。恐れ入りました。

最後、ゴミ箱に入れるところで証拠写真を撮って、締めとする。 さすがに下山には通常の倍くらいの時間がかかったが、大したことはない。 所詮、3時間だし。雨で滑りやすかったのがちょっと難儀ではあったが。 クローディア、おつかれさまでした!


生活編

レシピ (豚肉のビネガーソース煮)

以下、
http://www.recipezaar.com/91160 (By: MizzNezz)
をベースにしたレシピ。豚肉を液体の中で密封保存するため、 夏場でも生肉の状態で一日は持つでしょう。

材料

主材料
ステーキ用豚肉 2〜4枚
(赤)パプリカ 1個 (お好み; ささがけにする)
マッシュルーム 数個 (お好み; ぶなしめじでもいいでしょう)
塩胡椒
ビネガーソース
  • 赤ワインビネガー: 1/4 カップ
  • 醤油: 1/8 カップ
  • 蜂蜜: 1/4 カップ (メープルシロップだとさらに美味らしい)
  • 生姜: ひとかけ、すりおろす (すでにすりおろして乾燥したものなら小匙 1)
  • にんにく: 1/4個程度、すりおろす (すでにすりおろして乾燥したものなら大匙 1 1/2)
  • 胡麻油: 大匙 2 (オリーブ油でもよい)
  • すりおろした辛子: 大匙 1/2 (お好み)

調理法

  1. 豚肉に包丁で何箇所か切れ目を入れて、塩胡椒をなじませておく。
  2. フライパン(鍋)に半量の油を入れ、ビネガーソースの材料を入れて、 弱火で全体が溶けて混ざるまで軽く温める。
  3. ジップロック(か密封できる袋)にソースを入れ、肉を加える。 袋から空気を抜いた上で振ってソースを肉になじませる。
  4. そのまま、1晩置く。可能なら、時折袋を振るとさらによい(油が 分離することを防ぐため)。
  5. 袋の中身を全て鍋にあけ、中火で沸騰直前まで火を通す。
  6. パプリカとマッシュルームを加える。落とし蓋をして、弱火に 落として、30分以上煮込む。スロークッカーを使うのもよい。
  7. 火から外す前に、半量の油を加え、風味をつける。
  8. 最後、肉と野菜を除いた後に、強火でソースを煮立て、 とろみをつけた上で、肉ともう一度からめるのもよい(お好みで)。

タイム・テーブル

2008/08/08-10 Lake District 山行タイム・テーブル (Masa)
時刻 行動 高度(m) 温度(℃) 歩数(複歩)
(計器) (地図)

表注:
高度の表記で (s) は高度計をその高度にセット。 なお、高度計は、TechTrail/AltiTech-2 を使用。 歩数は、その前の項目からの歩数[複歩]。 GR は、Grid Reference Number で、省略時の頭文字は NY。

2008/08/08
(Leicester → M55 → Patterdale)
17:25 Leicester発
19:20 Meir Park
21:25 M55 J1 Ibis
23:50 Dockray近く着
25:40 就寝 13
2008/08/09
(Patterdale → Priest's Hole)
10:50 起床
13:00 駐車場発
16:45 Priest's Hole
23:30 就寝
2008/08/10
(Priest's Hole → Patterdale → Ulswater → Leicester)
10:00 起床
13:20
15:40 Campsite
16:15 駐車場着
20:25 M55 J1 Ibis
21:25 Holmes Chapel
21:55
23:30 Leicester

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