2009/06/02 チャーンウッド・クォーリー登山記録/感想文 (by まさ)

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総括

山域
Leicestershire/Charnwood Quarry
参加者
グレアム、まさ
期間
2009/06/02 (日帰り)
  1. Determination (E4 6a); Leader まさ (Hp), 2nd グレアム
  2. VS 4c; Leader グレアム (OF), 2nd まさ
  3. HS 4b; Leader グレアム (OF), 2nd まさ
様式: AL = 交互リード, MT = コンテ, O(s) = オンサイト, F = フラッシュ, (A) = (助言少々), G = グラウンド・アップ, Hp = ヘッド・ポイント, D(og) = ザイルぶら下がり, E(s) = 諦める/エスケープ, C(d) = クライム・ダウン
天候
晴後曇 (23℃@21時)

登山編

今日こそヘッドポイント(headpoint)の日。 二日前の 練習の成果を忘れないうちに、そして天気がいいうちに、 チャーンウッド・クォーリー(Charnwood Quarry)を再訪して、 件のハードなルートをリードするのだ! 難易度は E4 6a 程度のはずだから、僕の限界ぎりぎりとは言わない までもかなり近い。気合いが入る、というものだ。 パートナーとしてグレアムがつき合ってくれる。

登る前、上部から懸垂下降して、掃除する。実際、ホールドに砂や 小石が落ちているのが当たり前なので、自分の限界近いルートを 登るにはこれは結構重要な準備。 ストレッチしながら、気分を落ち着ける。 二日前から全てのギアは既にハーネスにセットしてあるので、 セットの順番を最終確認。 そしていざ登攀開始。

下部のフィンガーのクラックは易しく感じる。 最初にオンサイトを目指して登った時には、この時点ですでに 難しく感じていたものだが、今日の調子は悪くない。 クラック上部に中間支点を極めて、難しいムーブの始まり、 まずは左への股裂きトラバース。右足のスタンスを間違えて ムーブをやり直す羽目になったものの、無事終える。 こんなしょっぱなから間違えていては……と先が思いやられる ものの、無理矢理不安を打ち消す。

核心前の最後の支点のナッツをセット。これも予定よりは少し戸惑う。 ナッツをねじ込む場所を最初に少し間違えてしまったものだ。 ホールドは完璧ではないだけに、こんなところで 力を浪費したくないのに。焦らない、焦らない。

そして核心のオーバーハング。 左手の二本指(middle-two)を頼りに、 右手で悪いクリンプ。左手でそれよりも悪いフィンガーホールドに マッチ……の前に、右足がスタンスから外れた! 何とかこらえて 態勢を立て直す。岩が脆かったか? 一昨日は大丈夫だったのになぜだ?

気を取り直して、左手をマッチ、 両足をシャフル、そして右にフラギングするはずが、体がそうは 動かない……でも右手で上の横クラックが取れたのでひと安心。 オーバーハングの上に乗り越す。ほっ。

中間支点をセット。まず一つ。さらにもう一つ……の前にまた 右足のスタンスが吹っ飛んだ。ホールドがしっかりしている ために難なくこらえたとはいえ、あぶない、あぶない。 「Relax!」と自分に声をかける。確保のグレアムも 「そう、リラックス!」と合唱してくれる。二つ強固な支点を セットしてから深呼吸。技術的な核心は越えたとはいえ、 まだまだとても油断はできない。叫ぶ。「Relax!」

ムーブを再確認して、上へ体をせりあげる。 マイクロナッツ(BD MicroStopper No.3)をセット。 どれほど極まったかよく確認できないが、気にしない。 いずれにせよ、落ちないように登るだけだから。

この上が、第二の核心。ホールドが遠く見える。 「Relax!」グレアムも一緒に合唱してくれる。

心を決めて右にロックオーバー、上の悪いフィンガーホールドを 取ってから、その上のフレークに……手が届いた。 左方のホールドを取る。砂がついていて嫌らしいとは言え、 ここまできて落ちるわけにはいかない。 慎重に上へ次のホールドへ上へ……最上部に手が届き、慎重に 体をせりあげていって……登り切った!!

感動!!

4/18に目をつけて 以来 1カ月半、2回トライして敗退して、1日練習して、 とこのルートのために頑張ってきた努力がついに実を結んだ次第だ。 それも E4 6a という僕にとっては大変立派な成果だ。 一目置かれるであろう難易度でもある。

また、僕にとっては、初めてのまっとうなヘッドポイントでも あった。Dave MacLeod が、「ヘッドポイントの薦め」を 著していて、僕はその本に刺激を受けたものだったが、 デイブの言うことは今は分かる気がする。 伝統登攀の真髄がオンサイトにあることは言を待たないまでも、 ヘッドポイントにはヘッドポイントの意義も楽しみもある、 ということが実感できた。素晴らしい経験だった。

なお、フォローのグレアムは核心で散々落ちた後、ザイルで 重みを僕が一部負担してなんとか核心を超えた。上部でも、 壊れるかなぁと思って取ったホールドがやっぱり壊れて、 そこで落ちていた(その(今はなき!)ホールドはちょうど都合いい位置に あったもので、それを取りたい気持ちはよく分かる!)。 難易度はグレアムも同意してくれた。……もっとも、僕ら二人 どちらにとっても、これだけ高い難易度になると、判断に 自信は持てないまでも。誰か登ってくれるのをゆっくり待つことに しましょうか (E4 だからなかなか期待できそうにありませんが)。

ルート説明

Charnwood Quarry/Lower Tier/H78 Wall/Determination (E4 6a)

(First climbed by Masa Sakano on 2 June 2009.)
(Style: Headpointing.)
So far the best route on this H78 wall. Climb the obvious finger crack at the centre of the wall to the overlap, then traverse to the left for 1 metre to reach the niche. Establish yourself on the upper wall directly above with a desperate pull. Arrange good protections. Follow the black streak directly above to the top with a series of difficult moves on suspect rocks. Microwire might protect (or might not).

後日、ロビンがこのルートの二登者となった。 相当、クリーニングをやり直して、練習した上でのリード。 クリーニングの結果、十分な中間支点が取れた、という。 安全なルート、という次第。 というわけで、難易度は、E3 6a に落ち着いた。 これはなかなかのルートだよ、この難易度として人気出るのでは、 という感想で、嬉しく思ったものだった。


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Masa