: 確保器、下降器など
: 各用具選びのワンポイント・アドバイス (その二)
: ハーネス (安全ベルト)
カラビナを形で分類すると、大雑把に、HMS型、(変形)D型、楕円型に分けられま す81。HMS型は、誇張すれば二等辺三角形のような形をしているため、確保 用に最適です82 -- 特にイタリアン・ヒッチ(半マスト結び)で2本のロープを使って確保 することを考えると、HMS型以外では、ロープが絡み付くこと請け合いです。加 えて、HMS型は、厚みがあるため、制動がかかりやすく、ザイルが傷みにくいよ うになっています。(変形)D型は、それ以外の用途、特に中間支点などでロープ (スリング) がむしろカラビナの中で一カ所にとどまったまま動いて欲しくない 場合に最適です。楕円型は滑車(的用途)やカラビナブレーキに最適、たぶん数は 必要ないけれど、ギアの中に二つほどあれば時に役立つこともあるでしょう。
(登攀用の)カラビナの横の部分には、必ず、3種類の耐過重が書かれています。 2004年冬の段階で、日本の登山専門店で、耐過重が 6kN しかないものも売られて いました。現在の欧州の基準は 7kN ですから、古いものでしょうか83。購入時には少し注意 しておいて損はないと思います。具体的には、CE マーク、UIAA マークがついて いれば、大丈夫です。なお、(安全環付)HMSカラビナの場合、ゲートが開いた時 の耐過重は最低 6kN でも基準を満たしているようです -- しかし、HMSカラビ ナの場合、D型カラビナと違って、構造上、カラビナの背骨の部分から離れたと ころに過重がかかるので、万一のことを考えると、ゲートが開いた時の耐過重は 大きめのものにしておいた方が無難でしょう。
2005年現在で、筆者が注目している通常カラビナは、ひとつは、キャンプ(Camp)社 のナノ・ワイヤー(Nano Wire)、普通のカラビナより小型にすることで、十分な 強度を保ちつつ、最軽量(28g)を達成しています。夏場のぬんちゃくへの使用や、 小さいもの(たとえばナッツ・キー)をハーネスにかけるのに最適でしょう。 もうひとつは、DMM社のシールド(Shield)です。一般に、ワイヤーゲートの カラビナでは、特にロープをかける時に指が引っ掛かるような感覚が残ります が、それをほぼ無くすことに成功しています。つまり、普通のベントゲートの ような感覚で使えます。同時に、同社のカラビナで最軽量(30g を少し上回る)な のも嬉しいところ。
安全環つきカラビナの場合、カラビナが反転することを防ぐための後付けの 治具(「アンチフリップ・プロテクション」など)も利用できます。安全に 万全を期すときは一考の余地があるでしょう84。一方、ロープクリップ用カラビナ では、ロープをクリップする直前まで開いたままで、クリップした瞬間にゲート が閉じるような構造になっているものもあります。限界クライミングに挑戦する 場合は有用かも知れません。
2004年、DMM が、回転軸つきのカラビナ(「レボルバー」; revolver)を売り出し ました。ザイルの引きずりが目に見えて減る、と言われます85。言い換えれば、 中間支点への負担を減らす、ということでもあります。滑車(プーリー)代わりに もなります86。しかも普通のカラビナに比べて重さも遜色無く軽い(44g!)、 というすぐれもの。特にシングルロープで登る時やアルパイン用途ならば、数個 入手しておく価値はあるでしょう87。
アルパインや冬期登攀に行くならば、ぬんちゃくのスリングに衝撃吸収できるも のを持参するのは、いい考えです。特に信頼できない支点を使う時に威力を発揮 するでしょう。一方、カラビナをボルトにかけると、カラビナの内側の表面が傷 つき、それが次にロープを通した時にロープを傷めるおそれがあります。だから、 (人口壁も含めて)ボルトのルート用のカラビナは、それ以外のルート用と別に用 意する方がいいでしょう[19]88。 あと、特にぬんちゃくの場合は、まとめ買いすることで安くなることがあること を付記しておきます。
また、特にアイス・スクリューを手早く取ってくるために開発されたプラスチッ ク製のカラビナがあります(Black Diamond社の Ice Clipper、Petzl社の Caritool など)。実はこれは、ベルト型ハーネスやギアループが少ないハーネス に取りつけて、ギアループ代わりに使うことも可能です89。なお、これらは当然、 登攀用途(確保用)には使えません。一方、重量は、最軽量登攀用金属カラビナと 同程度です(たとえば Caritool は 30g、Camp社の軽量カラビナ(Nano Wire)は 28g)。
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