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ナッツ、ヘキセントリック

ナッツは、標準のサイズは 1〜9 (または10) です112 が、最近は、10 を超えるサイズ、1未満の サイズ(マイクロナッツ) も色々揃っています。どのサイズが有用かは状況によ るので一概に言えませんが…、一般にはやはり標準サイズが最もよく使われます。 ただし、冬山の場合は、小さいサイズは、使いにくくなります113。逆に、岩のルートの場 合は、マイクロナッツは時に替え難い道具となります。広いクラックはナッツを 重ねるなどして対処可能ですが、細いクラックは道具がなければどうしようもな いので。

ナッツは色々なメーカーから出ていて迷うところでしょう。大事なポイントは、 最大耐過重です。大きなものだと結局十分な耐過重があるので問題になりません が、小さなもの(サイズ1 など)では、その差が致命的になる可能性があります。 目安は 7kN、それ以下の場合は、注意が必要です。だから、標準サイズならば、 たとえば、ワイルドカントリー社とDMM社とのもの(それぞれ Rocks、Walnut)は 優れていると言えるでしょう。

特に極小サイズ(=マイクロナッツ)の場合、真鍮でできたもの(例えば HB社の Brass Offset) が硬く、最大耐過重が大きい傾向があります。さらに、極小サイ ズの場合、通っている針金の部分が完全に溶接されているタイプのものの方が、 最大耐過重が若干(1kNほど?)大きくなります[41](マイクロナッツ の場合、わずか 2kN でも基準を満たしますから、この最大耐過重の違いは非常 に重要です)114

ナッツは、その昔は変哲もない直線の形だったものが、今では色々なカーブがか けられていて、うまく使えば、カムのように梃子の原理も働かせられます。自分 でスリングを通せるものもありますが、多くは針金がすでに通っているものでしょ う -- そして、針金が通っているものの方が優れています。指さえ入らないク ラックに正確にナッツを極める時、針金なしでは困難を極めるでしょう。なお、 登攀中(おそらく軽量化に気を配った結果として)手持ちのぬんちゃくが足りなく なった時は、この針金をぬんちゃく代わりに使うこともできます。最近は、サイ ズごとに色を違えているものがあり、目を惹きます。

普通の左右対称のナッツだけでなく、左右非対称のオフセットナッツも存在しま す。平行から程遠いようなクラックには、オフセットナッツの方が優れています。 「手持ちのナッツのセットを拡充しようとしているなら、普通のナッツを単に 2 セット、3セットとするのは避けましょう。(代わりにオフセットナッツを考える べし!)」[30]。

なお、ナッツを使う場合は、原則として、ナッツキーを忘れないようにしましょ う(冬山の場合は、ピッケルで代用できます)。DMM社などのナッツキーは、はまっ てしまったフレンズを取るのにも便利なようにデザインされています。

六角ナッツ(ヘキセントリック115)は、ナッツよりはかさばり、重くなります。しかし、 一旦、極まったら、非常に安心感があります。特に、冬山では、もっとも頼りに なる支点を最も素早く作れます[33]116。スリングを通す(通っている)ものが多いですが、 中にはナッツのように針金が通っているものもあります。手が届かない場所にセッ トするのに有効です。「(特に冬期登攀では)若干重くなるのを差引いても持つ価 値がある」[33]117。数社から出ていま すが、1980年代にワイルドカントリー社が出したもの(ロクセントリック)が、カー ブをかけたデザインにより、革命的(極まる可能性が増した) -- 今でもお薦め です。ちなみに、ヘキセントリックは、岩に挟まってしまったナッツを取り出す ときに即席ハンマーの代わりになること、不安定な中間支点への重しつきぬんちゃ くとして使えること、は覚えておいて損はないかも知れません。

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坂野正明 2005年 10月 8日