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2000年7月29--31日 白峰三山登山記録/感想文 (by まさ)

作成者:admin 作成日:2004/03/28 - 00:29


  • 総括
  • 登山編

総括

山域
南アルプス/白峰三山
参加者
A氏、まさ (ラリグラス)
期間
2000/07/29 -- 2000/07/31 (2泊3日)
  • 2000/07/28 中央本線にて、甲府駅へ。駅ビバーク。
  • 2000/07/29 広河原〜大樺沢右俣〜北岳肩の小屋〜北岳往復; 北岳肩 の小屋にて幕営
  • 2000/07/30 北岳肩の小屋〜北岳往復〜北岳〜間ノ岳〜農鳥小屋 (小屋泊; 自炊)
  • 2000/07/31 農鳥小屋〜農鳥岳〜奈良田
宿泊
  • 2000/07/28 甲府駅ビバーク。
  • 2000/07/29 北岳肩の小屋にて幕営
  • 2000/07/30 農鳥小屋; 自炊

登山編

以下、ラリグラスの会報に寄稿したもの。


白峰三山縦走記

南アルプスの白峰(しらね)三山(北岳、間ノ岳、農鳥岳)を、 2人で縦走してきました。連れの A氏は、私を初めて北アルプスに誘って くれた恩人で、それ以来、何度か一緒に山行に出かけたことがあります。

2000年7月28日夜、筑波発、東京経由甲府まで(特急「かいじ」)。 途中A氏同乗。甲府着午前0時過ぎ。 (金曜夜ということもあってか)甲府駅は立派な荷物を横に寝ている 人でいっぱい。気がねなく銀マットを敷いてしばし仮眠。

さて1日目。
2時30分、起きて、バス停へ。えらく人が多いと思えば、 バスはなんと6台もやってきた! 一路、広河原へ。 今日は、ちょっと雲が多いけど、でも晴れていていい天気。悪くない。 水を汲んで、ストレッチングして、ザックと靴の紐とを締め直し、 さぁ、出発。5時25分。

吊橋を渡って、最初はゆるい登り。そして大樺沢方面へ向かう川沿いの道。 しかし…、人気コース、それも土曜の朝、というだけあって、 人の多いこと、多いこと。皆登り。必然的にペースも落ちる。 いわゆる"制限速度でしか走れない"状態。 まして、まれに下ってくる人は、ろくに動けず、可哀想。

大樺沢(おおかんばさわ)二俣から、右俣と左俣への分かれ。 右俣コースを取ると、急に人が少なくなって、気持ち良く歩けるようになる。 右俣は、最短コースで、かつ(左俣と違って)バットレスからの 落石のおそれもないのに、なぜに?

バットレスを登る人がいないかと探し見てみるが、見当たらず。 鳳凰三山が立派に見える。 上を見ればちょっとガスっているのが気になるところ。 しばし登ると、一面、お花畑の中を登っていく道。 気持ち良し!

白根御池小屋方面からの合流点で休憩。9時40分。 この辺で、すでに天気悪し。雲(ガス)が辺りを行ったりきたり。

最後の急登を越えて、稜線に出る。 稜線沿いに北岳肩の小屋へ。10時35分、北岳肩の小屋着、ガスがひどい。 速攻でテントを張って、昼食。おなかすいた〜! 昼食が終わる後、外は雨となる。 早めにテントを張って良かった!

天気は雨が降ったりやんだりで、一向に晴れる兆しなし。 でも、明朝、暗い中を登ることも考えて、北岳に登っておくことにする。 軽装で14時50分発。30分弱で山頂へ。目一杯ガスの中。30分くらい 待ってみるが、全然だめ。あきらめて肩の小屋まで戻る。でも、 行動中、雨に降られなかっただけ、まだ運が悪くもなかったかも。

夕食。寝る。 寝る前に少しだけ明るくなり、鳳凰三山が見えるようになる。 甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳もそれぞれ一瞬だけ見える。 甲斐駒ヶ岳は、噂通り、形のきれいな山だった。行ってみたいな。

23時半、起き出す。空は思いっ切り晴れている! 星座早見表の出番だ。 真上に夏の大三角形がきれい。白鳥座の羽ももちろんばっちり。 鷲座の羽まで見える。ペガススの頭も尻尾も。 みなみのうお座のフォーマルハウトまで見えるではないか! 東の空が明るいのだけが残念。甲府の灯だろうか。 明日の日の出を楽しみに、冷えた体をさすりつつテントに戻っておやすみなさい。

2日目。
3時20分起床。なんか周りはガスばかり…。昨晩晴天だったのに…。嘘でしょう…。 サブザック片手に3時50分発。暗い中、北岳山頂へ。 ヘッドランプだけでは暗くて、道標もなかなか見えない。 前日に一旦登っていてよかった、と心底思う。 4時半、北岳山頂着。この頃には、ランプがなくても周りはよく見える。 向こうの山だって…ガスさえなければ。 ぽつぽつと人が上がってくるが、 あいかわらず山頂はガスの中。 お湯を沸かしつつ、日の出を待つ。たまにガスが切れるが、展望は ほとんどなし。一瞬だけ富士山が見えたのがせめてものなぐさめか。 雲の向こうに太陽の形をわずかに認めること一、二度、あきらめて 肩の小屋に帰る。 あいかわらず山頂はガスの中。

ゆっくりと朝食。それから水を汲みに往復30分(?)の下り登り。 「水場まで100m」の看板は、きっと標高差を表しているに 違いない。それも(推定)199m を切り捨てて! まぁ、稜線上の小屋で水場があるだけましか。 実は小屋で水を安く売ってくれるので、それでもよかったのだが、 気分の問題で水を汲みに行った次第。

テントを撤収、出発は7時50分。天候回復の兆しなし。 三たび、北岳山頂へ。されど…、 あいかわらず山頂はガスの中。 かすかな望みをこめて休憩すれど…、 あいかわらず山頂はガスの中。 A氏曰く「ほんま、きただけやなぁ。」 思わず笑ってしまった自分はすでに疲れている?

ガスの中、白峰三山縦走路を行く。 展望はほとんどきかないが、時に見える右手の谷間のグリーンが美しい。 雷鳥らしき鳥も見かけた。 縦走路だけあってか、人もぐっと少ない。 北岳山荘着 9時50分。小休憩。ガスが雨に変わり始める。

レインコートを着込んで、出発。中白峰(なかしらね)のピークを 越え、11時40分、間(あい)ノ岳に着く。日本第四の高峰も、ガスの 中では展望も0。昼食にぴったりの広い山頂も…、この天気ではね。 休憩後すぐ出発。 ノンストップで農鳥(のうとり)小屋着 12時50分。

雨がちの天気ということで、今日は山小屋泊に変更。 遅い昼食。ちょっと寝て、今度は早い夕食。 天気は相変わらず。翌朝、西農鳥岳山頂で御来光を拝むことを計画するが、 この天気で下見に行く気はしない。下から見える限り、 山小屋のおじさんに聞ける限り、地図で調べられる限り、 入念にコースを確認。

日没間際(寝る間際)、ようやく少し晴れる。 甲府の夜景が見える。意外に近い。 アルプスに来て、夜景が見えるとは思わなかった。 山深い南アルプスのイメージに反するようで、あんまり嬉しくないような。 間ノ岳もようやく見える。 北岳は全然だめ。西農鳥岳や農鳥岳も、あいもかわらず雲の中。

せっかくの3000m漫歩、ひたすらにガスにつきまとわれた2日目であった。

3日目。
3時30分起床。ちょっと寝坊だ。 外には星が見える。…晴れているではないか! 速攻で、かつ静かに仕度。4時10分、全荷物を背に出発。 農鳥小屋周りは確かに晴れているのだが、西農鳥岳山頂付近は ガスがかかっている。う〜ん、でももう行くだけだ。 昨日と違って晴れている分、薄明るく、道も見やすい。 これは迷うおそれない。 しかし、風は大変強い。ザックを背負っても、バランスを崩されそう。 山頂に着くころには、ライトはもう完全に不要。 そして、ガスも晴れつつあるではないか! 4時46分。

間ノ岳も鳳凰三山もよく見えるが、北岳はやっぱりだめ。 地平線の向こうには、ずっと雲がかかる。富士山は、 見事に頭を雲の上に出している。 かっこいい。 そして…、山頂到着の数分後、念願の日の出。美しい。 風吹く山頂にただ二人御来光を愉しむ、か…。なかなかオツな気分。 やっと報われた思い。 地平線の雲のおかげで、ぎりぎり日の出に間に合った。 雲も悪くないか、とは現金な感想。 振り返れば、西の赤石岳に続く山脈に西農鳥岳の影がくっきりと映える。 これも見事。

時々、西から来るガスにまかれる。そして、ガスに、きれいな 円形の二重の虹が見え、中心に自分の影が映る。すばらしいブロッケン!! それも一瞬のできごと。シャッターチャンスを逃さじ、とA氏、 東へ西へと慌ただしい。

次いで、農鳥岳へ。40分の行程、6時前に到着。 農鳥岳はガスに覆われていたのだが、我々が着くころに、きれいに 晴れ上がる。

西は隣の尾根筋(安倍荒倉岳など)がずっと見え、北は間ノ岳、 北北東に八ヶ岳、北東に遠く見えるは日光白根山(?)、それから 奥秩父(金峰山?)、南東には立派な富士山。 確かに雲も少なくなくて、北西から南西(赤石岳、中央・北アルプス方面)は 見えないし、甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳もだめだけど、でも農鳥岳周辺は よく晴れ上っている。見晴らしは悪くない。 南アルプスの山神は最後に褒美を下さった。 それにしても…、北岳山頂は見えそうで見えない。雲がどきそうでどかない。 徹底的に嫌われた模様。3回も登ったのになぁ。

熱いキムチスープ、チョコレートドリンクを頂きながら、 ゆっくりと景色を堪能する。朝食はカロリーメート。 さて、気づいたらもう7時。山頂には大分人が集まってきていて、 もう出発している人も少なくない。 靴紐をうんと締め直して、我々も行こう。これから実に標高差2200mの 下りが待っている。

大門沢下降点への分岐、7時30分。 地図の通り、ここからは本当に急降下。 大門沢小屋着 9時30分。あとはなだらかな下り。 それにしても…、いい天気だ、今日は。 でも上の方は…、やっぱりガスがかかっているんだな、これが。 厳しいもんだ、南アルプスは。

川沿いに、いくつかの橋を越え、最後は舗装道を歩いて歩く。 温泉が待っていることを心の支えに。奈良田(町営)温泉着 12時半。着いた!

奈良田の温泉はぬるぬるしている割に硫黄臭はあまり感じない。 ぬるめの温度で気持ちいい! 唯一の不覚は、この時のためだけに 3000m をしょって歩いた 剃刀を風呂場に持っていくのを忘れたこと…。


白峰三山は、登山道はずっとよく整備されていて、危険なところは なかったです。実際、手を使う必要があるところはかなり少なかったです。 まさに稜線漫歩の世界。天気さえよければ、本当にすばらしい眺望のはず。 小学生と一緒の親子連れも見かけたコースでした。

農鳥岳から大門沢への下りはかなり急ですが、やはり、そう危険なところ はありません。但し、雨が降って下が濡れていると、川を渡る何本かの 木の橋のところでちょっと緊張するかも。

反省点:

  • 読図がまだまだ甘い (是非、御指南下さい)。 (因みに、今回は、読図が問題になるコースでは全くないです)。 下りで、読図のミスで緊張感が切れたのは、極めてよくなかった。
  • ものは減っているのに、ザックはどんどん膨れ上がっていった…。
  • ゴアテックス製レインコートは偉大なり。
  • サバイバルシートは使い手がある。必携品か。
  • 東京行きの高速バスの車内に大型ザックを持ち込むのはかなり 厚顔な神経が必要 (トランクを開けてもらおう)

紅顔の美青年(???) まさ


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まさ

© Masa Sakano


Source URL (modified on 2004-03-28 00:29):https://www.saferclimbing.org/ja/record/japan/20000729_kitadake.html#comment-0