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ヘルメット

一口に登山(クライミング)用と言っても、考えられる衝撃の状況は、登山の形態 によっても異なります。その違いまで考慮して、ヘルメットを選ぶことができれ ば、さらに安全性が高まるでしょう。

ヘルメットは、材質によって、大きく三つに分けられます。

  1. 硬い殻と内側に張り渡された紐とからなるもの(昔からある型)。内側に 張り渡された紐が頭と殻部との接触を防ぐ。
  2. 硬い殻と内部の(厚い)衝撃吸収剤からなるもの。
  3. 軟かい殻と内部の(厚い)衝撃吸収剤からなるもの。
これらのヘルメットに対し、英国登山協会(BMC)は、頭頂部への衝撃(欧州基準 EN12492に規定あり)と前方45度からの衝撃(EN12492に規定なし)に対する衝撃吸 収性能の評価実験を行い、以下のような結果を報告しています [28]。
  1. 昔からある型(1)は、頭頂部の衝撃に対して はずば抜けて性能が良い(衝撃吸収能力が高い)のに対し、前方45度から の衝撃に対しては、断然性能が劣る。(参考値78: 前者4.6kN、後者43kN)
  2. 硬殻/衝撃吸収剤の型(2)は、頭頂部の衝撃に 対しては基準を何とか満たす程度、前方45度からの衝撃に対しては、そ れよりは性能がはっきりと劣る。(参考値: 前者9.3kN、後者16kN)
  3. 軟殻/衝撃吸収剤の型(3)は、頭頂部の衝撃に 対しては硬殻/衝撃吸収剤の型と同様だが、前方45度からの衝撃に対して もほぼ同じ性能を示す。(参考値: 前者9.2kN、後者8.6kN)

つまり、端的に言って、上からものが落ちてくる(落石、氷など)可能性が高い場 所での登山ならば昔からある型(1)が、逆に、自 分の頭を何かにぶつける可能性が高い登山(ゲレンデでのロック・クライミング とか?)ならば軟殻/衝撃吸収剤の型(3)のものが、優れ ている、ということでしょうか。

いずれにせよ、ものが頭の上に落ちてきたために死ぬ人より、頭を何かにぶつけ て死ぬ人の方がずっと多いのは確かなはずですから、横や斜めからの衝撃に対し てあまり弱いのは気にかかるところです。不幸なことに、ヘルメットの耐衝撃性 能の情報は、各メーカーともまともに(少なくとも入手しやすい形では)公表して いないのが現状です。自分でメーカーに直接問い合わせるなどの努力が必要な ところでしょうか。

なお、カヌー用ヘルメットの欧州基準(EN1385)には横からの衝撃に対する規定が あると聞きます(未確認情報)。それが事実ならば、EN1385 も満たすヘルメット は、ひとつの目安になるかも知れません。

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坂野正明 2005年 10月 8日