▲欧州的登山生活▲

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第53号: 最高の天気と怠惰の北ウェールズ(トレマドッグ他)

発行日
2007/06/26
発行者・筆者
まさ (坂野正明)

まさです。
先の週末は確保支点訓練学習会を主宰しました。参加者(友人)の 一人(女性)が、僕のレモン色のソーンスリングを見て、

「わぁ、それ、いいわねぇ。」
「なにが??   (——普通のスリングやん?)」
「色が。スリングってなかなかいい色が無くて。」
「……」

登攀用具の領域にまでファッションの要素が浸透してきているとは 恐れ入りました。確かに、「好みの色の恰好いいヘルメットを!」と いうのが最近のペツル社の売り文句ではありますが。メーカーとして は経営的に正しい方向性だとは思います — ついでに大量生産 効果で価格が下がるなら僕も言うこと無し!

さて、今回は、2月初めのトレマドッグでの岩登りに触れます。 僕の英国での初めて の泊りがけの山行が、ここトレマドッグでした。 以来、訪ねる機会がありません でしたが、僕にとってはちょっとした思い出の地です。 併せて、トレマドッグの簡単な紹介、フリークライミングの難易度 の解説(その二)を行なっています。お楽しみ下さい。

目次


登山記録編 〜〜 最高の天気と怠惰の北ウェールズ(トレマドッグ他) 〜〜

僕は 9時20分起床。外に出てみると、素晴らしい快晴! ウェールズでこんな天気なんて望んでも得られない!! でも、大勢はまだベッドの中……。 辛抱強く待った後、 3人で 3ピッチの VDiff ルート Oberon を登って、 ほどなく上に着く。 素晴らしい日! 雲一つ無い。 しかし、いかんせん、小屋を発ったのが遅過ぎる(12時頃)。この頃には 短い冬の日は傾いていて、ここでお開きとあいなった……あーん(号泣)

翌日。今日もいい天気。皆は昨日以上に怠惰。 おまけに(!)、こんな素晴らしい岩壁のふもとの小屋に泊まっていながら、 ランベリスのスレート石切場跡に行くことになった。 そんなの、行くだけで、時間かかるやん! それに、秒速で乾くスレート石に、 何もこんな滅多に無い晴れ続きの時に行くことはなかろうに……。 結局、岩場に着いたのは 14時15分。この素晴らしい日を こうして浪費していく我々だった……。

△以上、記録の一部。全文は、以下に載せました。
 http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20070202_nwales.jis.html


英国の山紹介編 〜〜 トレマドッグ (Tremadog) 〜〜

トレマドッグ(Tremadog)は、北ウェールズはスノウドニア(Snowdonia)の 端、Porthmadog の近く、海岸からそう遠くないところに位置する独立した 岩場です。純粋に伝統登攀のみの岩場です。 3ピッチくらいまでのマルチピッチのルートが目白押しで、 バリエーションも豊かなことから、英国のクライマーにはメジャーな岩場の一つです。

垂壁から望むアイルランド海の眺めはなかなかのものです。 そして垂壁の天辺では、突如、牛が草をはむ平らな台地が開けます。 そういう意味では、のどかな雰囲気の中で岩登りが楽しめる場所、と 言えるでしょう……(以下、略)。

△この記事の全文は、以下に載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/info/wales.html#tremadog


登山ミニ知識編 〜〜 フリークライミングの難易度 (その二) 〜〜

(第52号「フリークライミングの難易度 (その一)」からのつづき。)

前号で、英国式の フリークライミングの難易度は他と違う独特の方式と書きました。 まず、英国式難易度(グレード)は、オンサイト・グレード、つ まり、オンサイトで登ることを前提とした難易度です (オンサイトについては、第48号 の解説、または拙サイトの 「登山に関するミニ知識」 をどうぞ)。 他の方式は、レッドポイントを前提にしています(レッドポイントは、 ルートをどのように何回試しても(落ちても)いいが、最終的に下から 上まで落ちずに一気に登り抜けること; 要するに好きなだけ練習していい)。 英国の場合、初めて登るように、というのがそもそものコンセプトであるとい うのがひとつ、また、ボルトを使わないので、そもそも落ちるのに リスクが伴う、というのがそれ以上の理由でしょう。

それに加えて、英国式では、難易度は 二つの値、形容難易度(adjectival grade)と技術難易度 (technical grade)で表されます。前者は、そのルート全体の難易度 を表したもの、後者は、ルート中、最も難しい場所(=核心)の技術的 困難さを表します。 たとえば、核心の技術的困難が同じでも、それと同じか少し易しい程 度のかなりの困難の場所が連続するルートと、核心以外は余裕のよっ ちゃんのルートでは、違った形容難易度が与えられるでしょう。また、 ナチュラルプロテクションが前提なので、どれほど信頼できる中間支 点をセットできる(可能性があるルート)か、つまり安全性も大きな要 素です。たとえばのっぺらぼうの岩の表面を登るルートならば、中間 支点が取れない危険なルートになるので、技術的困難さが同じでも、 高い形容難易度が与えられます。 また、たとえば、ルート途中に、ジャンプ(「dyno(ダイノ)」といいます) して、手がかりを掴まなければ登れない場所があって、しかもその手がかり は下から登っている最中には隠れていて見えないもの、とします。ただし、 一旦、その場所さえ知っていれば、ジャンプしてそれを掴むのは技術的に 比較的容易としましょう。 この時、レッドポイントを前提にしている米国式などの場合、比較的低い 難易度が与えられるでしょう。一方、オンサイトが前提の英国式の場合、 極めて高い難易度が与えられるに違いありません。想像してみて下さい、 地上 20m の垂壁の真中で、あるかどうかも不確定な手がかりに対して ジャンプしなくてはいけない --- つまり、期待に反して手がかりが なければ落ちる、という状況を。

本メルマガで時に登場する VS 4c などの用語で、前者が 形容難易度、後者が技術難易度です。次の機会に、その詳細を解説 します。

(つづく)


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次回予告

次回は… 「晴天の湖水地方歩登攀単独行 (Cam Ridge)」

See you later!


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