総括
- 山域
- スイス/ツェルマット(Zermatt)
- 参加者
- 父、母、ゆき、まさ
- 期間
- 2007/08/03 -- 2007/08/04 (2日)
- 宿泊
- ホテル (@Zermatt)
- 天候
-
- 08/03 曇一時雨
- 08/04 快晴
登山編
夏休みに両親とゆきとが欧州に遊びに来たので、スイスで合流して 一緒にスイス・アルプスでトレッキングを楽しむことにする。 事前にどこに行くかかなり考えたが、結局、ツェルマットにする。 スイス北東に着くので — 僕らが着いたのはバーゼルだが、チューリッヒでも 山への距離と言う意味では同じこと — (アイガーで有名な)グリンデルワルドも ツェルマットも時間距離はそれほど変わらない。前者が 4時間、後者が 5時間。 だったらツェルマットにしますか。よさそうな山歩きのルートも見つけたし。
元々は 8/2 午後早くにツェルマットに着いて、軽いトレッキングでもするつもり だったのだが、その日はあいにくの雨。明日には回復しそうということなので、 明日に備えて早めに床につく。
08/03
曇。まぁ、雨でないだけよしとしましょう。
今日の目標はオベロットホルン(オーバーロートホルン; Oberrothorn)山、3414m。 山歩きと言えば 登山電車の上の駅からの下り道か、等高線に沿った平行道がほとんどの スイスアルプスでは珍しく、山頂まで普通に歩いて行ける山ということで 選んだ次第。実際、ツェルマットから普通に歩いて山頂まで登れる山としては 抜群の最高高度。
ツェルマットからモノレールを乗り継いでウンテロットホルン(Unterrothorn)に到着。 ここが山歩きの始点。天気はあいにく下(ツェルマット)よりも悪くて、 オベロットホルンも見えない。Furggji を過ぎて 九十九折の道を登っていく。一面のザレ場という感じ。
九十九折が終わって頂上に続く稜線に出た頃には、完全に雲の中。 視界 100メートル? 風は強くないが、小寒い。道は必ずしもはっきりしないが、 稜線を進む限り迷う心配はない。 稜線の右側は急だが、左にスペースはたっぷりあるので、びびることはない。 30分後、オベロットホルン山頂に到着。 しかしそれにしても視界が無い。。。何も見えない。 そんな日でも(そんな日だから?)、頂上までの間に登山客10人ほどと行き違った。 それなりにはポピュラーなルートなのでしょう。それもそうでしょうね。
まずは来た道を帰る。九十九折の途中から天気がよくなる。いや、単に 雲を抜けただけで、天気自体が回復したわけではないのだけど。 途中で(行きの道から離れて)左に曲がり、フルーエ (Flue) 近くの山小屋 (レストラン)に向かう。 山小屋で小休憩している間に一瞬だけ雲の合間から、マッターホルン (Matterhorn)が見えた! 急いで記念撮影。いやはや、ほんの少しとは言え、見えてよかった。 ツェルマットまで来てマッターホルンを拝まずに帰るのは残念だから。
ここからは、スネガ(Sunnegga)の登山列車の駅(行きに乗り換えた中間駅)まで なだらかな山道を下りていくことになる。山小屋からすぐのモレーンの縁に 立ち、上方の巨大なフィンデル氷河(Findelgletscher)を近くに望む。 両親やゆきは氷河を見るのは初めて。マッターホルン側は曇っているながらも、 氷河側は眺望があってよかった。
ところどころに広がるお花畑を見ながら、ゆっくりと下っていく。 天候は回復しつつあり、時折、マッターホルンも顔を出す。 最初のうちは、あっ、見えた、と写真を撮ってみるも、 そのうち、写真を撮る頻度が減ってくるのも道理。 スネガに着いて、駅の横の戸外カフェで一服している頃には、 頂上が見えるのは当然、横にかかるあの雲が無ければ、全景が見えるのに、 と贅沢なことを言うようになっていた僕たちだった。
そして、最終近くの登山列車(ケーブルカー)で 6時すぎにツェルマットに 降り立った時には、マッターホルンがその全景を現していた。
おぉっ、こんなに近くて見事だったとは! ツェルマットが人気なのも頷ける。ゆきはもちろん写真を撮る
のに忙しい。横では、通りがかりのおのぼり日本人観光客が、いいねぇ、と 言いながら写真を撮っている。 「もうっ!
あんたら、そんな軽々しく!! この貴重さが分かってないやろ!」
とぶつぶつつぶやくゆきの気持ちも分からんでもないかな?
(笑)
08/04
今日は、まず、ここヴァリス山群随一の展望を誇ると言う ゴルナーグラート(Gornergrat)まで登山列車で登る。
そこから登山道を下るハイキングの後、リッフェルゼー(Riffelsee)
に映る有名な逆さマッターホルン
を拝んで、登山列車の中間駅から 降りてこよう、というのが今日の趣向。
今日は快晴。昨日とはうってかわって素晴らしい天気だ。 当然、朝から、ツェルマットの横にそびえるマッターホルンを拝める。 登山列車の終点ゴルナーグラート駅(3089m)で降りると、また違った角度で、 マッターホルンがなかなかの眺め。隣に連なる山々もいい顔つきだ。 上に展望台があるようなので、一応、登ってみますか。
一応? とんでもない!! そこには、圧巻の 360度特大パノラマが 拡がっていた!
独立峰マッターホルンの存在感が減るわけではないとは 言え、アルプス第二の高峰モンテ・ローザ(Monte Rosa;
4634m)を筆頭に、 ブライトホルン(Breithorn)、双子の山
カストールとポリュックス、
ダン・ブランシュ(Dent Blanche)などなど、数え上げればきりがないほど、 4000m級の急峻な山々が
360度全面にそびえたつ! もちろん、昨日登ったオベロットホルンも手前に綺麗に見える。
雲一つない快晴の日にここに来られたとは何と運のいいことか!! 感動の体験であった。
十分に楽しんだ後、 登山列車の線路に沿うように走る広い登山道をのんびりと下りてゆく。 30m おきくらいに同じく下っていくハイキング客がいる。 混んでいるとは言わないまでも、ポピュラーなルートのようで。 道は馬が行き違うのに全く差し支えないくらいは広いので、何の問題もない。
あとは、ローテンボーデン駅から登山列車に乗ってツェルマットへと 下り、荷物をまとめてスイスアルプスを後にしたのだった。 昨日の登山中は天候に恵まれなかったが、今日はまさに最高、 もともと 3日間弱しか時間を取ってなかったのにそういう日に 巡り合えたことは、幸運に感謝しなくては! 特に日本から遠路はるばるやってきた両親とゆきとに いい旅の日となって本当に幸いだった。
情報編
ツェルマット
言わずと知れた、スイスアルプスで最も有名な登山基地の村。 マッターホルンを見上げる眺めは感動。 ツェルマット村内では、ガソリン車、軽油車は禁止されていて、 結果、電気自動車と馬車とが行き交う。おかげで静かで空気がきれい。 ブリーク(Brig)発の BVZ登山鉄道のツェルマット駅が、 ツェルマットの入口、何を話すにもここが起点となるようだ。 駅に面して教会まで伸びる 300m がメイン・ストリートで、それが ツェルマットのほぼ全て、というこじんまりとした村だ。
観光局は駅のすぐ横にあり、たとえば宿泊手配などがここでできる。 登山用品店は、当然、何軒もメイン・ストリート沿いにある。 キャンプ場は駅から戻った(北側)方角に、一方、ユースホステルは 南南西のはずれにあるそうだ。
ツェルマットは、とにかく日本人密度が高い。欧州で東洋人を 見かけると中国系の可能性の方が高い昨今だが(韓国系もそれなり)、 ツェルマットではほとんど全て日本人だった。メイン・ストリート 東側にある書店兼土産屋は経営陣に日本人がいるらしく、日本人店員 も応対していた。レストランも日本語メニューがあるところが少なくない。 一方、山に入って、登山列車の駅から少し離れてハイキングコースに入ると、 ぴたりと日本人の影は消えたものだった。
ツェルマットは、(名前から想像できるように)独語圏に入る。しかし、 仏語圏との境界も近いせいだろう、街では仏語もかなり幅をきかせている 印象を受けた。そして英語はもちろん共通語。英語が使えれば 何も困らない。店員やホテルの従業員は、客によって独仏英の三か国語を 当たり前のようにぺらぺらと使い分けている人をたくさん見かけた。 地理から考えて、伊語を使う人も少なからずいるのではないか? つくづく多国語の街だ。
地図、ガイド本
マッターホルンを含めて、ツェルマット近辺は、 「2515 Zermatt Gornergrat」の 1/25000 地形図がカバーしている (ツェルマットがほぼ中心に位置する)。 スイスの地形図なので、等高線間隔は 20m。
日本語のハイキングのガイド本としては、 「スイスアルプス・ハイキング案内」(小川清美著、山と渓谷社、1991年、ISBN 4-635-53605-X) がある。題名の通り、スイスアルプス(とシャモニー近辺も含む)全体を 含む本。ツェルマット近辺が最初を飾る。写真が豊富で見て楽しく、 地図も詳しく分かりやすい、と僕は感じた。 今回のルートは、いずれも同書に載っているものだ。
洋書では、Lonely Planet社からハイキングのガイド本があったが、 いまいちの印象を僕は受けた。
タイム・テーブル
時刻 | 行動 | 高度(m) | 温度 (℃) |
歩数 (複歩) |
|
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計器 | 地図 | ||||
表注: 温度は、その場にあった表示を採用。 |
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2007/08/03 (Zermatt → Unterrothorn → Oberrohorn → Flue → Sunnegga → Zermatt) |
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06:50 | 起床 | ||||
09:00 | Zermatt ケーブルカー駅発 | 1600 | |||
09:30 | Sunnegga 駅発 | 2288 | |||
10:00 | Blauherd 駅発 | 2571 | |||
10:22 | Unterrothorn 駅発 | 3104 | |||
10:36 | Furggji | 2981 | 460 | ||
10:50 | 九十九折れ開始 | 約3030 | 310 | ||
11:00 | 九十九折れ二段目開始 5分休 |
330 | |||
11:26 | 稜線 | 約3330 | 720 | ||
11:50 | Oberrohorn | 3414 | 370 | ||
12:11 | 発 | ||||
13:05 | Furggji分岐 | 約2975 | |||
13:17 | 発 | ||||
13:30 | Flue/Blauherd分岐 | 約2800 | |||
13:55 | レストラン@Flue | 2618 | |||
14:21 | 発 | ||||
氷河観望 | |||||
14:50 | 発 | ||||
途中 20分くらい休 | |||||
16:20 | Sunnegga 駅 | 2288 | |||
2007/08/04 (Zermatt → Gornergrat → Riffelsee → Rotenboden → Zermatt) |
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07:00 | 起床 | ||||
Zermatt 登山列車駅発 | 1605 | ||||
Gornergrat 駅・展望台着 | 3089 | ||||
11:00 | Gornergrat 駅 | 10 | |||
11:20 | Gornergrat 駅発 | ||||
Riffelsee | |||||
12:30頃 | 昼食 | ||||
12:45 | 発 | ||||
13:03 | Rotenboden 駅 | 2815 | |||
Zermatt | 1605 | ||||
20:00 | Zürich | 24 |
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まさ