2002/02/01 Froggatt Edge 登山記録/感想文 (by まさ)



総括

山域
Peak District/Froggatt Edge
参加者 (レスター大学山岳部)
キャプテン・ジョン、ジョン・ボイ、ライナス、ロブ、クレール、 バーニー、ガレス、リック、まさ
期間
2002/2/1 -- 2002/2/3 (2泊3日; 以下の記録はまさの参加分)
  • 2002/2/1 Leicester夜発 ... hut (深夜の懸垂下降; Great Slab Area)
  • 2002/2/2 Froggatt Edge
    (Sickle Buttress Area/Slab Recess Direct, 15m, HS 4b (#116);
    Gamma, 12m, VD (#118))
  • 2002/2/3 Froggatt Edge 夕方発 Leicesterへ帰る
    (Sunset Slab Area/Sunset Crack, 10m, VS 4b (#48);
    Froggatt Pinnacle, 数m;
    Chequer Buttress/Pedestral Crack, 14m, HVS 5a (#142))
宿泊
?????? hut (self-catering)
天候
  • 2002/2/1 曇時々雨
  • 2002/2/2 雨一時曇 (強風)
  • 2002/2/3 曇 (強風)

登山編

Froggatt Edge は、有名な Stanage Edge に近い、石灰岩の岩場である。 様子も Stanage Edge に似ているよ、とキャプテン・ジョンから行く途中で聞い たが、まさにその通りだった。なだらかな丘の頂上近くに10mから20mの垂壁がずっ と横に延び、その上は台地になっている --- ウォーキングの人をたくさん見かけた。 季節的には、フリクションが最高に効くので、石灰岩のルートは面白いはず --- 雨さえ降らなければ。

初日の晩、hut (山小屋) に着いて、ひと息ついたら、早速ガレスの音頭で出かけた --- どこに? 懸垂下降に!
まさ「どこで懸垂するの?」
ガレス「さあ?」
まさ「じゃあ、誰が(懸垂の)場所、知ってんの?」
ガレス「んー、誰も知らないよ。」
・・・。いいねぇ! こういう行き当たりばったりのわけわからん遊び、大好き。 暗闇の中、おそるおそる懸垂したのだった。懸垂の時間、ひとり1分。往復全部 で1時間以上。うーん、ぜーたく。

翌日 2/2、小雨ながら決行する。そう、英国では雨を恐れていては、岩登りなど できないのだ。適当にペアを組んで登り始める。私はキャプテン・ジョン(リー ド)と。皆、雨の中、苦労している。登っている途中でルート変更を余儀なくさ れたり。キャプテン・ジョンは、Slab Recess Direct を登る途中、一度落ちて、 そこで断念した。なにしろ、ルートは、クラック沿いながらもスラブ、核心はフ リクションの勝負。雨の中で登るルートじゃないって…?

隣のルートに変更して、簡単にクリア。上から先のルートにロープを垂 らして、支点のナッツを回収しようとするが、これがびくともしない。リードの 墜落負荷がかかると、外すのは大変なんだ、と実感(結局、翌日、大工道具のハ ンマーを持ち出して何とか回収した)。同ルートをトップロープで登っておく。

この日、クレールは、挑戦したルートがついに登れず、残念、と落ち込んでいた。 バーニーは完登したらしい(皆、トップロープ)。しかーし、キャプテン・ジョン の断念したルートは HS に対し、クレールらのルートは E1。やるー!

翌日 2/3。雨はやんだが、どんよりと雲って、風がやたら強い。岩から滴り落ち る水滴が、真横や時には斜め上に飛んで行く。ロブのリードしたルートを何人か で登る。しかし、風が強過ぎて寒くて、次のルートへの足は鈍い…。

ぐずぐずするのも飽きた頃、ここで一番の岩峰 Froggatt Pinnacle に登ってみる。途中の台地からなので、数m (下 から登ると20mの好ルートだが難しい)。リー ドはロブ、ショルダーでスタートして、最初の核心のハングをかわした。フォローは トップロープ。しかし…、バランス、力に加えてリーチが必要なルートで、私は お手上げ。ランジにロープを合わせてもらって、半分引き上げても らった感じで、何とか登り切る。岩峰の頂上で、英国に来て初めてボルトを見た。 さすがに支点にするようなものがないので、やむを得ないか(クラッ クでも困る…回収できないから)。とは言え、付近の最高峰である当岩峰に登り 切って初めて見えるボルトだから、見る分には、やっぱり「きれい」。

最後は、下部にルーフ状ハング、上部がチムニーのルートにチャレンジ。キャプ テン・ジョン、途中で断念…。今回、さっぱりね…。同情。でも、無理せず降り てくるところは、偉い。確かな判断である。ロブが引き継いで、完登。ジョンも トップロープなら問題ない。リック、何度も落ちながらも何とかクリア。ガレス、 チムニー部の入りで断念。私は、こういう大きめのクラックルートが割と性に合っ ているらしい。さほど苦労せず、楽しく完登。

しかし今日は寒かった。完全に風冷え。秋装いできてしまった私は、ずっと震え ていた。ちょっと見込みが甘かったか。


生活編

hut

今回の hut (自炊方式、管理人はいない) は、ちょっとびっくりした。車が家の 横に着くと、自動的にライトが灯ってお迎えしてくれた。中も、別荘と言ってい いくらいの充実した設備だ。電気、ガス、水洗トイレはもちろん完備、シャワー まである。絨毯の上に靴を脱いで上がって、木製ソファのクッションの上でくつ ろいだりなんかすると、「山行」というより、「休暇」という感じである。

集中給湯・暖房システム(central heating system)も勿論完備。夜もほかほかだ。 映画で、欧米の男が、上半身裸で寝ている姿をよく見かける。で、実際に、皆、 そうしている。腹を冷やしそうな私にはとても真似できない。因みに女性が周り にいてもお互い全然気にしていない。

中日、午前一時、そろそろお先に寝ようかと歯ブラシを取ったところ、バーニー とライナスとに「カスタードクリームとケーキと食べない?」と誘われた。私は 眠いんだ、第一、こんな夜更けにそんなもの食べるなんて体によくないじゃない か。仕方なく、喜び勇んでつきあわせてもらった。代償は翌日の寝坊。

チェッカー

今回、初めてチェッカー(ドゥロート)をする機会を得た。昔、初めてルールを知っ た時は、全然面白くなさそうだったのだが、いやそれほど捨てたものではない。 ライナスとの熱戦の末、敗れ去る。

パブ

中日の夜は当然、パブだ。旅館と兼ねているようで、食事が結構充実していた。 英国としては悪くない。バーニーが、ラウンド(飲み代を順々に払う英国式慣習) の注文を取りにライナスに声をかけたところ、ライナスが何か手をこねまわして いる。バーニー、○○ね、と納得してカウンターに向かった。手話のアルファベッ トで伝えたらしい。ライナスは遊びで試してみたらしいが、ちゃんと通じていた とは偉いもんだ。日本で何割の人が手話でこんなやり取りができるだろうか? 私 は全然知らない…。

そして帰り路

Peak District のいいのは、レスターから近いこと。最終日、ゆっくり帰っても 21時過ぎには、レスターに着いた。人通りが途絶えた道、前を横断する仲良さそ うなカップルの前に、(皆を乗せた)ミニバスは一時停車。「ん? あれ、ベンじゃ ない?」「おぉ、そうだ! 隣は?!」「アンヌだ!」「(一斉に)おぉーー!!」かくし て山岳部内の新しいカップル発見せり。「(皆に回覧する、山行の)報告メイルの 内容は決まったな」とキャプテン・ジョン。よりにもよって、こんなマイナーな 場所、時刻に、一同揃っている時に見つかるなんて、不幸な奴! …ところで、ベ ンって、イタリア人(かオーストリア人)で、私に遅れること3ヶ月、約半年前に 英国に来た男だ。うーむむむ、やはり同情するのはやめだな、これは。


タイム・テーブル(?)

2002/2 Froggatt Edge 山行タイム・テーブル
時刻 行動
2002/2/1
(Leicester から Froggattへ)
18:30頃 University of Leicester発 (ミニバス)
深夜 Froggatt Edge まで懸垂下降に出かける (ライナス、クレール以外)
2002/2/2
11:00頃 hut発
夕方 hutに戻る、近くの街にガスボンベの買出し
パブに行く(キャプテン・ジョン、ロブ以外)
26:00頃 就寝
2002/2/3
10:30 hut発
夕方 hutに戻る
18:00頃 hut発、レスターへ帰る
21:30頃 レスター着

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