総括
- 山域
- Lake District (South East)/Glasmere
- 参加者 (レスター大学山岳部)
- ローレンス、サラ、エルスペス、ニック(ロバーツ)、ビッキー、ラーニー、 G (以上、幹部)、バーニー、ジョン(マイルズ)、トビー、ジョン(サージャ ント)、ライナス、トム(ハーベイ)、ローレン、レイチェル、リッチ(ブルー ス)、リッチ(シドルズ)、ニッキー、アンディ、ローラ、ロイ、トム、リッ チ×2、ベン、ジョー、スティーブ、ヘイリー、まさ
- 期間
- 2003/11/28 -- 2003/11/30 (2泊3日; 以下の記録はまさの参加分)
- 2003/11/28 Leicester夜発 ... hut (Glasmereから3mile程北)
- 2003/11/29 Glasmere湖一周ウォーキング
- 2003/11/30 Hodge Close (懸垂下降)
Glasmere 夕方発 Leicesterへ帰る
- 宿泊
- hut (Glasmereから3mile程北)
- 天候
-
- 2003/11/28 小雨
- 2003/11/15 雨
- 2003/11/16 曇後雨
登山編
今回は Christmas Meet、山岳部最大の行事だ。ミニバス3台で毎年恒例の湖水 地方は Glasmere に繰り出す。晩は幹部が英国伝統のクリスマス・ディナーをご 馳走してくれる、という趣向だ。というわけで、山よりも晩のパーティーの方が 主眼の山行になるようだ。私は、Christmas Meet への参加は初めてだ。ちょっ と風邪気味なのが気にかかるが、この機会は外せない!
11/28
時折雨がちらつく中、1時間以上遅れて、レスターを出発(私が乗ったミニバスが 最後)。夜半を回ってからhutに到着。すでに先着2台の連中はできあがっている 感じ。暖炉を囲んで歓談後、私は1時過ぎにベッドへ。後から聞いたところでは、 6時頃まで飲んでいた連中もいるらしい!
11/29
9時半頃起き出すも、大半はまだお休み中。外は雨。暖炉の前でしばしくつろぐ、 と。ディナーの準備を始めた幹部を尻目に、昼前に私も含めて第一陣がグラスメー ル湖の一周ウォーキングに行くことにして、発つ。ウォーキングクラブの幹部で もあるニッキーは来たことがあるらしく、悪くないわよ、と。歩き出す頃には雨 は本降りになっている。ちょっと速足で雨の中の小1時間の散策を楽しんだ。完 全武装の私はよかったが、、、ロイに貸した帽子が搾れば水が出る状態で返って きたことから、雨の降りが分かろうと言うもの。ロイは靴の中もずぶ濡れになっ てしまったそうだ。
実はこの間、トビーとリッチとがクライミングに出かけていたらしい。早立ちし て、6ピッチのSevereのルートに。雨の中 crazy な話だ、と噂していたら、1ピッ チだけ登って撤退してきた、と後から聞いた。「got stupidly wet」と嘆くトビー。 天候に恵まれないね。
グラスメール湖からはアンブルサイド(Ambleside)に移動。他の連中とも自然に 合流して、登山用品店を見たり(アン ブルサイドは、登山用品店が非常に充実している街)、カフェで軽食を取っ たり。15時半には発って、hut に帰る。あとはク リスマスディナーを楽しむだけ。私は2時に就寝。当然、まだまだ残ってい る連中は少なくなかったが。
11/30
昨日以上に皆、起きるのが遅い --- 容易に予想された状態。
13時を回る頃、ようやく私も含めて第一陣が、「下降」に出発。池のほとり
に50m懸垂下降のルートがあるらしい。トム(ハーベイ)と私とで支点をセット、
11mmの60mロープ1本。私が最初に降りさせてもらう。つるつるの垂壁に、最後は
空中懸垂で地面に降り立つ。60mのロープが残り数mしか残っていない、まさに 50m懸垂だ。楽しめた。
下る途中、岸壁にボルトを見かけた。英国でボルトを見たのは初めてかも知れな
い。確かにここは、ボルト確保しかあるまいというスラブ岩。
後続が降りてくる時、万一に備えてメインロープを引っ張る態勢で見ていた。と ころが、3人目のリッチの時に、大きな落石を何回か落としてくれた。2回目はよ けなければいけない場所に…。怖くなって、ロープを持ちつつも、(空中懸垂部 の下の)窪みに逃げ込んだ。…落石には注意しませう。
そのうち、上から横にロープが垂れてきた。もう一ルート作るためだろう。が、 一向に地面に届かず、数m上でぶらぶらしている。50mロープか? 末端に結び目が あるからすっぽ抜けることはないが…? と、そのロープが激しく揺れ出した。ぎょっ、 トムが結構な勢いで降りてきているではないか。「ストォォプ!! 短いぞ!」。ト ムの体重で伸びたロープのおかげで、ぎりぎり、地面の岩の上に降り立つことが できた。(伸びない)固定用ロープでなくてよかった。
暗くなってきたので、歩いて登って、下にいるローレン、リッチ(ブルース)のた めのライトなど持ってくることにする。下降は、懸垂で。雨に濡れているせいか、 滑りが異様に悪い。全体重をかけてもなかなか降りてくれない。と、かなり降り てきたところで下を見ると、リッチ(ブルース)がしっかりロープを引っ張ってい るではないか。お前か、犯人は! 緩めてもらうと、途端に加速したのであった。
そして帰る頃には再びそれなりに降り出していた。 こうして、「下降」はあれど「クライム」はしていない山行は終わったのだった。
生活編
クリスマス・ディナー
クリスマス・ディナーは、七面鳥のロースト(おそらく丸焼き)にクランベリーソー ス(本格的だ!)、ソーセージのベーコン巻き、つけ合わせにサリーを使ったスタッ フィング、マッシュポテト、極小キャベツを炊いたもの、ソースはグレービーソー スだった。デザートは何ときっちり一人一人に希望を訊いていて、クリスマスケー キ(フルーツケーキ)、アップルケーキ、とあとひとつ何か(忘れた)からの選択、 それにカスタードソースを希望に応じて、だった。本格的な英国式クリスマス・ ディナーである。なかなか旨くて、感心したものだった。
そのディナー用の大部屋には、色々と飾り付けもして、(使い捨ての)テーブルク ロスまで持ち込んでいる辺りはさすがだと感心した。面白いのは四隅から頭上を 張って真ん中でクロスさせた、クライミングロープの編み物 --- 9mm×50mダブ ルロープを編んだものを二つ使って、四隅はカラビナや果てはナッツまで使って 固定させている。そして、そのロープから風船や…(なぜか)ヘキセントリックを 垂らして趣向を凝らしているもの。確かにカラフルなヘキセントリックは、飾り 物に見えなくはない…苦しい? ま、登山部らしくていいんじゃないでしょうか。 ちょっとエキセントリックで(なんて)。
乾杯時は、もちろん、クリスマス用のクラッカーを一人一人に用意していた。英 国の風習。隣の人と引っ張り合ってパチンと鳴らすと、中にちょっとした小道具 と、下らない(?)ジョーク/クイズと紙の王冠がある、というもの。皆、その紙製 王冠をその後かぶって食事、ということになる --- ちょっとお間抜けなんです がね。赤信号みんなで渡れば、というやつで。
食後、私はしばらく席を外していたのだが、その間、暖 炉の前でバーニーがアコーディオンでアイルランドの曲を奏でたり、愉しく過ご していたようだ。バーニーはアイルランドの血が半分(か1/4?)入っているせいか、 アイルランドの曲がお好みらしい。私も後で少し聴かせてもらった。感嘆する技 巧とは言い難いが、本人が楽しそうなのがなによりいい。いいクリスマスパーティー であった。
衝突
ディナー時、机をロの字型に並べていた。デザート時くらいになると、あちこち で紙玉を投げ合うおふざけが自然発生していた。それはいいのだが…、ジョン (サージャント)がBB弾ピストルを持ち出して、風船に向けて撃つのはともかく、 それをGに向けて数発撃つに至ると、ちょっと度が過ぎる。怒ったGがジョンに飛 びかかって…弾倉を奪った。
当然、場は一瞬静まり返った。その後、GはBB弾の袋をどこからか持ってきて床 にぶちまけて、いずことなく外に出ていった。hut は、道路に面してはいるが、 辺りにはまさに何もない山の中…頭を冷やしに出た、というところか。数分後、 私はGを捜しに出かけることにする。Gは今のクラブで一番旧くからの私のよき友 人だし。上着とヘッドライトを取りに二階(寝室)に行ったら、偶然か必然かそこ にいたジョンが声をかけてきた。私がGを追いかける雰囲気、と察したらしい。 「わざわざ追いかけることなんてないよ。(He doesn't deserve it.)」とおっしゃ る。ジョンはジョンで頭に来ているようだ。「いや、Gの気持ちは分かるんだよ。 BB弾は確かに痛いよ。」と答えて彼らを後にする。
さて、hut を出たはいいが、Gは右に行ったか、左か…。右はさらに山の方へ(次 の街は相当遠い)、左は(彼方に)グラスメールの街の方へ。とりあえず右に行っ てみるが…、考え直して、5分後、左に行き直す。40分くらい暗い夜道を歩いて やっぱり右だったかも知れない、Gはもうhutに帰っているかも知れないし帰るか (田舎過ぎて、私の携帯電話は使えなかった)、と思っていた頃に道端に忽然とパ ブを見つけた。周りにほとんど家もないのに、なんでこんなところにパブが?? グラスメールの街まではまだ相当ありそうだし、ここを最後の希望として覗いて 見ると…、ウイスキー片手に独りでテーブルにトランプを並べているGがいた。 素晴らしい! 僥倖だった。
私を見たGはちょっと驚いたようで、独りかい、と念を押して、席を空けてくれ た。ピストルで人を撃って面白がっているのは許せない、と語り始める。御説ご もっともだ。ジョンを傷つけることなかった大人の対応に感心したよ、と私は応 えた。テコンドー歴3年以上のGは精神も鍛えてきた、というところか。その後、 二人でとりとめのない会話を交わしながら、ラミーにしばらく興じた。
1時間半ほども過ごしただろうか、ラストオーダーの鐘を聞いて少し経った頃、 ひょっこりとジョン(マイルズの方)とスティーブが顔を出してきた。心配になっ て捜しにきた、という。しかし、彼らもよく見つけたものだ。30分は歩いてきた、 ということだから…。そして、来たのがマイルズだったのもちょっと驚きだった。 Gとマイルズとはいがみ合っているわけではないにせよ、必ずしもいい友人関係 というわけではなさそうだったから。マイルズが大人、ということだね。見直し た。
hutに帰ってからバーニーに問われて、少し話をした。遠因はGにあるのよ、とい う話だった。詳しいことは私には分からないが、さもありなんという気もしない でもない。Gは現クラブ幹部だが、年齢的には大抵の連中より上だ。その点、Gに は他の連中が子供に見えてしまう点はあるだろうし、一方、G自身、自分の人生 や現状について思い悩んでいる節もあって、その辺りで意識せずに(自分が引き 受けた責任を果たさない、という点で)甘えているように見える点もある。勿論、 だからと言ってジョンの行動が正当化されるはずもないが。なーんて偉そうなこ とを言っている私はGよりも一世代上だもんなぁ。あぁ、年寄り。
翌日、「クラブではBB弾ピストルは禁止すべきだよ」なんて話題が出ていた。私 は確かに年寄りだと認めるが、それにしても・・・、お前ら、歳なんぼやねん!
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まさ