2006/10/27--29 ウェールズ/クルウェド登山記録/感想文 (by まさ)

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総括

山域
South Wales/Clywed (Limestone)/Trevor Area, World's End
参加者
ガレス・N、レイチェル、アダム・H、ベックス、ニール、ベン・H、ドム、ジョン・M、サイモン・D、サイモン・W、ネス、アビ、ルーシー、アレックス、ティム、オリバー、ピート、マーク、まさ (ULMC)
期間
2006/10/27--2006/10/29 (2泊3日)
宿泊
Carrog Station Campsite にてビバーク
天候
  • 2006/10/27 曇
  • 2006/10/28 曇一時雨
  • 2006/10/29 晴

登山編

今回、初めて、北(中央?)ウェールズのクルウェド(Clwyd)に来る。 石灰岩地帯の岩登りが楽しめる。山岳部としても、去年、来たのが 初めてのことらしい(部員の一人が近くの出身だったという縁のようだ)。

10/27

ここは、レスターに比較的近い — と言っても、3時間はかかるわけだが。 宿泊は天場で各々幕営だが、僕は、ボルダリング・マットの上でシュラフカバー に身を包んでビバークとした。雨さえ降らなければ十分快適。

10/28

岩場が点在するクルウェドの中、今日は Trevor Area に出かける。スポーツ・クライミングのルートが主だが(大半の連中はそちらに 出かけた。ちなみにジョン・M とニールとは、今日はカヤックをして過ごした)、 中に伝統登攀のバットレスもある。僕は当然、伝統登攀の岩場 (Railway Buttress) の方に。

一緒に来たアダムとアレックスとが、今日、初めての Severe のリードをしたい、 と言う。そこで、僕が最初に HS のルート (Puffing Billy; HS 4b 11m) のリードをする。それが問題無くフォローできるなら、Severe のリードも 問題なかろう。実際、二人とも問題無くフォローしてきたので、早速、 アダムが Severe 3c (12m) の James the Red Engine をリードする。Severe の中でも易しい部類だろうから、最適だろう。 実際、アダムは特に苦労なく、リードした。 続いてアレックス、同じルートでは面白くないと思ったのか、 隣の Severe 4a の方 をリードする。途中で小雨が降り出したのが気がかり だったが……、無事、リードを終えた。僕がフォローして、二人で取付き まで戻った頃には、雨はやんでいたのだった。

気を良くしたアレックス、近くの HS 4b の Ivor the Engine (12m) もリードすると言う。おいおい、大丈夫か? 若さか勢いか、特に問題なくリードした。すると見ていたアダム、 闘争心が働いたかどうか、自分もリードする、と言い出した。 はいはい、どうぞ — 無事、リード。
嬉しそうな二人だった。

ここで場所を移動、同じく伝統登攀の The Quarry の方に行く。なかなかそそる、 特にアレットの The Silver Line など大いに唆るが……、夕暮れ時なので、今日は諦めることにする。 結局、僕としては大したクライミングができなかったのがちょっと残念では あったが、それはまたの機会に譲ることにしよう。

10/29

今日は、別の伝統登攀の石灰岩岩場 World's End に出かける。 僕はまずアレックスと組んで、アレックスが HS 4b の Flakeless Groove をリード。1/3 ほど登ったところで、満足する中間支点がなかなか取れずに 苦労している。かなり格闘した結果、結局、支点を外して、クライム・ダウン して来た。落ちるよりははるかにまし。懸命な判断か。

次いで僕が、HVS 5a の Cornucopia に。地上数メートル、右のクラックから左のフェースに移るところで、 どうも摩擦に自信が持てない。何度もクライム・ダウンして休憩しては 再挑戦。3番ナッツとマイクロ・ストッパー4番(?)とに負荷分散をかけて いるから、中間支点は大丈夫なはず。行くべし!

というわけで突入。しかし、フェースのホールドが思ったほどに良くない。 なによりかにより、もうすでに疲れている。だめだ……落ちた。HVS 5a なのに (あとで、RockFax のページを見ると、グレードが厳し過ぎるという意見が 多かった)! 負荷分散をかけていたのが幸いしたか、中間支点が持ってくれたのは 幸いだった。諦めてそのナッツ二つを回収するのにえらく手間取った — それ だけ等分に荷重がかかったというわけだから、負荷分散をかけた甲斐があったと いうものだ。

この回収作業の合間、左手から、「Shit!」という叫び声のすぐ後に、どすん、 という嫌な音が……!! ガレスがグラウンド・フォールしたらしい! 支点回収を終えて、ガレスのもとに行った頃には、顔から血を流しつつも 平静な様子だった。ほっ。

後から聞いた話を総合すると、こうなる。 ガレスは、今日最初にアレックスが登ろうとしていた Flakeless Groove をリードしていた。アレックスが中間支点のセットを諦めたところでは ガレスは特に何もセットせず、そのまま登り続け、次のポイントで 中間支点をセットしようとした。ぬんちゃくまでかけ、いざクリップという段に なってバランスを崩して……落ちた。状況はすでにランアウト。おまけに 下にはそれなりに鋭いフレークまであったのだが、幸い そのフレークの外側をかすめてさらに下まで落ちた。 確保地点の関係で、確保者より少し下まで落ちることになって、地面に激突 する前にはロープが張られたから、落下の衝撃は少しは和らいだことだろう。 何より件のフレークは、岩壁から 1.5 メートルくらい離れたところにあったから、 それを外すとは非常に好運だったと言えよう。もしフレークに激突していたら……、 大怪我になっていたはずだから。

結局、レイチェルらが近くの病院まで連れていき、検査と傷の手当を受けた。 上唇を何かが貫通したそうだが、歯や骨には影響がなく、少し縫う程度で 済んだそうだ。あとは多少の擦り傷程度。ガレスの強運や見事!

直後、皆がガレスの周りに集まったが、俺は大丈夫だから、クライミング 続けなよ、とガレス。 まず、ドムが、ガレスが登ろうとしていた Flakeless Groove を登る。ガレスが残した中間支点を回収する必要もあるから、それくらいなら まずはリードする、と。 ガレスが落ちたところで、ドム曰く、「立派な足場があるけれど、多分、 それに気付かなかったんだろうね。確かに、それなしには不安定かな」。 アレックスがフォローして、問題なく登り切る。自分がリードしようとして いたルートで(ずっと経験のある)ガレスが落ちたものだから、自分が 途中で諦めて心底ほっとしていた様子のアレックス。フォローとは言え 登り切って満足気。

HVS で落ちた僕、ドムのフォローをさせてもらうことにする。 HVS も登れないとは、摩擦の少ない石灰岩、感じが掴めない、のが大きいか。 ドムの登るハードなルートをフォローできれば、感覚も掴めるのではないか?

まず、E1 5a の Shabby Slab。 これが、先ほどと同じ 5a? うーん、ずっと簡単な気がする……。 確かに最初の 4(?)メートル、まともな中間支点が取れないのが問題だから、 E1 でもいいのだが、しかし、5a か?

続いて、E2 5c の Harvey Wall Banger を。最初の数メートルが結構難しそう、ということで、ボルダリング・マット を敷いて、数人集まってスポットして登り始めるドム。 実際、かなり難しそう……マットの上に落ちる! スポットする人がいて よかったってものだ。再トライ。今度は、ちょっとしたフレークまで何とか 登り切る。ナッツが無事セットされる。ほっとしたことだろう。ここで大サイズの フレンズなど不要と思われる登攀用具を下に放り投げるドム。 ここからは左にトラバースして、 アレットを回り込む……落ちた! 確保している僕も空中に浮き上がる。 最初のナッツはちゃんと墜落を受け止めた。 そしてレストの後、再トライ。 スタミナの問題の様子。 「俺、力が残っているかな……」と不安そうにつぶやきながらも、 今回は上まで登り切った。お見事。

僕がフォローしたが、これは本気で難しかった。何度ロープに体重を預けたか 数え切れない。リーチの違いで、ドムの登りは参考にならないので、自分で 一から考える必要があるが、いい足場がなく、とにかく難しい。特に最初の ナッツまでの登りが核心だった。なんとか、本当になんとか上まで登り切って、 今回の岩登りの幕とした。
この最後のルートはなかなかよかった! フォローだから登れたルートだった。


タイム・テーブル

2006/10/27-29 Wales/Clwyd 山行タイム・テーブル
時刻 行動 高度(m) (計器|地図) 温度(℃) 歩数(複歩)
表注:
高度の表記で (s) は高度計をその高度にセット。 なお、高度計は、腕時計を使用。 歩数は、その前の項目からの歩数[複歩]、 括弧「(...)」内は予測値。
2006/10/27
(Leicester → Clwyd/Carrog Station Camp site)
18:40 Leicester発
20:20頃 [S]Shurlberry
21:55 Carrog Station Camp site
25:00 就寝
2006/10/28
(Campsite → Trevor → Campsite)
08:05 起床
09:20
18:15 Crag発 15
22:50 就寝
2006/10/29
(Campsite → World's End → Leicester)
07:00 起床(冬時間になる)
10:30 World's End
17:30 World's End発
22:30 Leicester

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まさ