2008/08/01--03 湖水地方登山記録/感想文 (by まさ)

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総括

山域
Lake District/Patterdale/Hart Crag, Borrowdale/Gillercombe
参加者
クローディア、まさ
期間
2008/08/01--2008/08/03 (2泊3日)
(以下、リンクは特記しない限り ukclimbing.com へのもの)
様式: AL = 交互リード, O(s) = オンサイト, F = フラッシュ, (A) = (助言少々), G = グラウンド・アップ, Hp = ヘッド・ポイント, D(og) = ザイルぶら下がり
宿泊
Patterdale で Wild camping
天候
  • 2008/08/01 曇時々雨
  • 2008/08/02 雨時々曇
  • 2008/08/03 雨一時曇

登山編

クローディアと湖水地方に。 2006年 8月(そして 先の 4月)の時と同じく、 クローディアが仕事の関係で西海岸の方に週末に滞在しているので、 僕が来て落ち合って、という次第。

クローディアは 先の 4月のクライミングで 墜落して以来、膝がまだ完治には至っていない、という。 1カ月前1週間前の岩登りで 問題なかったくらいだから、大丈夫のようではあるが、気をつけておきたい。

この夏、僕は、沢登りがしたいなぁ、と以前からクローディアに 言っていた。今週末、特に土曜日は雨がちの様子、それならば 沢登りもいいかもね、と金曜午後にクローディアから連絡が入る。 よしきた、と沢登り用具を装備に加えて、いざ湖水地方へ!

08/01

インターチェンジ近くでクローディアを拾って、湖水地方へ。 どこに天幕を張ろうか……とうろうろした結果、 2年前に泊まった場所を 捜し当てることに成功! わぉ、それは予想外。明日、朝は雨がちのようだから、ここなら ゆっくり眠れそう。

08/02

11時起床。 1時過ぎに駐車場を発つ。 予報通り小雨が降ったりやんだりの天気。予定通り、沢登りに向かう。 雨量は大したことはないので、川が増水して困る、ということは無いと予想。 場所は、ここ Patterdale の Link Cove Gill

1時間あまり歩いて、目的の川(沢)の前へ。 僕は、1年半前に日本の秀山荘で購入した沢靴他の沢登りグッズを身に付ける。 今日がデビュー! アプローチは、防水でない靴だったので、随分気を遣ったが、 沢靴を履いた途端、百人力の気分(ラン♪)。泥も気にしなくていいし、 小川を横切るのもじゃぶじゃぶと入っていけるのだからすばらしい!

クローディアが小川を飛び越えるところで、僕は川に入って手を貸した のだが……滑って、じゃぶんと入ってしまった。諦めませう。 腹ごなしして、いざ、(小)川の中へ。 道を歩くより遅いけど、気分いいね、とクローディア。そうこなくちゃ!

最初の滝は、ガイド本によると左から登ることになっているが、 右から登る方が、しぶきを浴びて楽しそう! というわけで、 僕が右から登る。沢登りはしぶきを浴びてなんぼ、ってわけね。 クローディアも続く。

そしてすぐに次の滝。今度は本気で濡れる! これぞ沢登り! クローディアもびしょ濡れになって楽しそう。

やがて暗く狭まった向こうに滝が見える。ここがガイド本に言う核心だろう。 ザイルを薦める、とガイド本にある。水量の多い今日は、ザイルを 使ってさえ登れるかどうか。僕が左からトライする。緑エイリアン(サイズ 1/2)を 親指ほどのフレークによって支えられている下向きのクラックに極めて (当然、信用できない!)その上をトライする。ブリッジして両足をせり上げて 右手で上の丸っこいレッジを取るが……、つるつる滑ること! 2、3度試すが、自信が持てない。落ちるわけにはいかないので、 諦めてクライム・ダウン(なお、後から考えると、その上にもう少し まともな支点をセットすることはできたと思う)。

クローディアが横から巻いて、上にトップロープをセットしてくれる。 それを頼りに登る — やはり例の丸っこいレッジがとっても 嫌らしい。落ちずに登れはしたが、やっとの思い。クライム・ダウンして 正解だったと言えよう。確保を交替して、次はクローディアが登る。 何度も落ちたが、最終的に登ってきた。ここは難しい。歩登攀グレード 3 (クライミングで VDiff らしい)? 今日の条件では、4c ムーブをつるつる滑る岩で、ということに なるから、5b/5c は固いぞよ。水量が(ずっと)少ないと、横の滝の中に いいホールドがあるのだろうか。

この後も滝が連続していく。登れそうなら登り、そうでないと横から巻く。 高巻くのは常にごく簡単で、高度もほとんどない、という安全な感覚が嬉しい。 そして最後、ほとんど突如として、平坦な場所に出る。沢登りの終わりの地点。 すばらしい沢登りだった!

休憩後、右手の Greenhow End を歩登攀して、ハート・クラッグ(Hart Crag)山の 山頂を越えて、下山していく。満足な一日だった。

08/03

天気予報では、にわか雨があるかも知れないが、今日日曜は、 運が良ければ晴れ間が見えることになるはずだ。 昨夜、クローディアに翌日(日曜)何をしたいか尋ねた。 土曜は濡れた一日だったから、(明日月曜から仕事だし)日曜は乾いた日にする? それとも沢登り?

返事は、どちらでも — 沢登りでもいいわよ、と。 すばらしい! そう来なくちゃ。確かに、用具はもう濡れそぼっている以上、 せっかくだからまた濡れた遊びを致しましょう!

そこで選んだのは、ボロデイル(Borrowdale)のサワーミルク川(Sourmilk Gill)。 歩登攀の難易度 1〜3 の三つ星ルート。湖水地方の沢登り(gill scrambling)の ルートの中で一番人気だとか。 予報に反して朝から小雨だが、幸い沢登りと決めた以上、大した問題ではない。 Seathwaite の駐車場まで行くと、右側に沢が一本、はっきり見える。 サワーミルクだ。

駐車場を離れてほとんどすぐに沢の取付。じゃぶじゃぶと川に入っていく。 小さな滝を 2、3越えた後、大きな滝の前に立つ。 気温 15℃程度でおまけに雨、お世辞にも暖かいとは言えない今日、 僕が(弱気に)どちらの側から巻こうかなぁ、と考えていたところ、 クローディアから声がかかる。
「あなた、先に登る? それとも私から行こうか?」
「登る……って、この滝を?」滝の中央を指差しながら僕が応答。
「もちろん!」

おぉっ! わずか 1日、数時間の沢登りの後、すでに沢登りの 楽しみ方を極めてくれているとは! お見事! 僕の方が経験もあり、登攀技術にも優れ、装備もしっかりしている以上、 僕が先に登らねばなるまい。
「オーライ……僕が先に登るよ。」

結局のところ、これは沢登り。濡れてなんぼでしょう?
滝に突入!
……全身びしょ濡れになった。あはは、素晴らしい!

この後は、濡れるのは構わず、登っていく。今日は水量が多く、 幾つかの滝はとても登れそうになかったが、巻けばいいだけ。 それだけ沢登りが楽しいとも言える。

この沢は横に登山道が走っている様子だ。 しかし雨の日の今日、ほとんど登山者は見かけない。静かなものだ。 顧みれば Seathwaite からその向こうの Stonethwaite Fell (山地)が望める。 いい感じ。

最後、右岸から滝を登ると、突如として前方の視界が一気に開けた。 平たい場所、つまり沢登りがここで終わる。昼食を取ってから、 右側のちょっとした歩登攀のルート (Seathwaite Upper Slabs; Grade 3) を登り、さらに前方の岩壁 Gillercombe Buttress に向かう。 ここの Gillercombe North-East Buttress が歩登攀難易度 3 のルートになっている。

相変わらず雨で、岩が濡れているのがちょっと嫌らしい。 一箇所、スラブで、僕がソロした後、クローディアを確保(半マスト結び)。 他は問題なく、歩登攀を終え、そのまま Brandreth山まで登り切る。 雨の今日、長居は無用、すぐに稜線上を Green Gable まで歩く。 ガスの中で視界がない。

方向だけ定めて歩いて行ったのだが……いつまで経っても 登山道らしきものに行き当たらない。おかしいなぁ、 と思っていた時、ガスが晴れ上がって、状況が掴めた! Green Gable と Base Brown を結ぶ稜線上の西側に行くべきところ、 少し右にそれ過ぎて、あやうく東側に出そうになっていたところだった。 あらら、横着せずにちゃんと地図を見ておくべきでしたね。 ちなみに、今日、Sourmilk Gill 付近で 2、3回見かけた後は、 他の登山者の影は全く見当たらなかった。Green Gable は それなりに人気ある山のはずだが、この天候ではそういうものか。

最後、Seathwaite に戻る頃になると、ようやく雨が止んでくれた。 そして……、駐車場から綺麗な虹が見えた! 割と低いところにかかる、 完璧な虹。 思えば、2年前に湖水地方に クローディアと来た時も、週末ずっと雨がちだったが、やはりきれいな 虹が見られたものだった。 雨も悪くないかも知れない。

ちなみに、車を出してすぐ、今度は、夕陽の方向に sundog まで見られた。 自分で sundog を発見したのは生まれて初めてのこと。感動。

湖水地方の歩登攀の僕の経験では、今までで最高だったのは 2006年 2月の Climber's traverse だったが、今回の 2ルートはほとんどそれに匹敵する。特に Link Cove Gill は素晴らしかった。 最高の湖水地方の週末だった。

Image of a rainbow


タイム・テーブル

2008/08/01-03 Lake District 山行タイム・テーブル (Masa)
時刻 行動 高度(m) 温度(℃) 歩数(複歩)
(計器) (地図)

表注:
高度の表記で (s) は高度計をその高度にセット。 なお、高度計は、TechTrail/AltiTech-2 を使用。 歩数は、その前の項目からの歩数[複歩]。 GR は、Grid Reference Number で、省略時の頭文字は NY。

2008/08/01
(Leicester → M55 → Patterdale)
17:17 Leicester発
19:00 Meir Park
19:17
20:35 M55 J1 Ibis
24:30 就寝 (Dockray近く)
2008/08/02
(Patterdale → Link Cove gill → Hart Crag → Patterdale)
11:00 起床
13:15
13:32 Bridgend発 (GR399144) 155(s)
14:30頃 10分休憩 282 19
15:00頃 昼食 281 17
Link Cove gill
18:24 沢終了 13
20:00 560 11
20:40 385 12
21:00 Bridgend 180 155 14
24:40 就寝 (Dockray近く)
2008/08/03
(Patterdale → Seathwaite → Sourmilk Gill → Brandreth → Green Gable → Seathwaite → Leicester)
09:10 起床
11:10
11:55 Seathwaite (GR235122)
12:22 125(s) 16
Sourmilk Gill
14:15頃 沢終了
14:30頃 349 15
15:33 Gillercombe Buttress取付発 459 14
16:30 終了
(10分休憩)
634 13
17:00 Brandreth山頂 707 715 12
17:23 Green Gable山頂 751 801 11
19:00頃 Seathwaite 151 125 14
21:25 M55 J1 Ibis
21:33
23:25 Holmes Chapel発
24:22 A50 J1サービス
25:05 Leicester

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まさ