[Japanese / English]
総括
- 山域
- North Wales/Snowdonia/Ogwen, Snowdon, Anglesey/Holyhead
- 参加者
- グレアム・B、まさ
- 期間
- 2008/08/15--2008/08/17 (2泊3日)
(以下、リンクは特記しない限り ukclimbing.com へのもの)- 2008/08/15 Leicester ...(車)... Cwm Idwal
(Idwal Slabs, Glyder Fawr) ... Clogwyn y Tarw (The Gribbin Facet)
...(車)... Gwern Gof Uchaf (幕営)
- Cwm Idwal/Idwal Slabs/Hope (135m VD); Leader グレアム (OF, MT), 2nd まさ
- Cwm Idwal/Holly Tree Wall/Javelin Buttress (40m VS 4c); Leader グレアム (OF), 2nd まさ
- Cwm Idwal/Continuation Wall/Continuation Crack (18m HVS 5b); Leader まさ (OF), 2nd グレアム
- Cwm Idwal/Glyder Fawr/Central Arete (200m VD); Leader グレアム, まさ (AL, MT, OF)
- Ogwen Valley/Clogwyn y Tarw (The Gribbin Facet)/Trouble with Lichen (36m E2; 18m 5b, 18m 5b); Leader まさ (Es), 2nd グレアム (1-pitch終了後、撤退)
- 2008/08/16 天場 ...(車)... Pen Y Pass ... Crib Goch ... Snowdon ... Y Lliwedd ... Pen Y Pass ..(車)... 天場
- 2008/08/17 天場 ...(車)... Anglesey/South
Stack ... Holyhead
Mountain ... South Stack ...(車)... Leicester
- Holyhead Mountain/Quartz Wall/Black and Tan (28m VS 4c); Leader まさ (OF), 2nd グレアム
- Holyhead Mountain/Quartz Wall/Bruvers (25m HVS 5a); Leader グレアム (Os, Dog), 2nd まさ
- Holyhead Mountain/Yellow Wall/King Bee Crack (37m HVS 5a); Leader グレアム (Os, Dog), 2nd まさ
- Holyhead Mountain/Yellow Wall/Bran Flake (30m E2 5b); Leader まさ (Es; 7m 墜落後、断念)
様式: AL = 交互リード, MT = コンテ, O(s) = オンサイト, F = フラッシュ, (A) = (助言少々), G = グラウンド・アップ, Hp = ヘッド・ポイント, D(og) = ザイルぶら下がり, E(s) = 諦める/エスケープ, C(d) = クライム・ダウン
- 2008/08/15 Leicester ...(車)... Cwm Idwal
(Idwal Slabs, Glyder Fawr) ... Clogwyn y Tarw (The Gribbin Facet)
...(車)... Gwern Gof Uchaf (幕営)
- 宿泊
- 幕営 (Gwern Gof Uchaf)
- 天候
-
- 2008/08/15 晴後雨
- 2008/08/16 曇時々雨
- 2008/08/17 曇後雨
登山編
グレアムと北ウェールズに。 グレアムは、Idwal Slab にまだ行ったことがないそうなので、 そこを第一目標にする。とすると、天場も定番 Gwern Gof Uchaf で決定。金曜日早朝発で、3日間の週末を登山三昧(の予定)!
08/15
Cwm Idwal (Idwal Slab) に。 実は僕は、 1カ月前にアダムと来た ばかり。その時、僕がリードしたクラシック VDiff 135m の Hope をグレアムのリードでコンテで。気持ち良く登り切る。
さて、Idwal Slab の特徴は、さらに上までずっと登り抜けられること。 1カ月前にアダムと来た時は 時間の関係で、Hope の後で下降することにしたが、 3年前に来た時は、 さらに上まで登っていったものだった。 今日は、Hope をコンテで飛ばしたこともあって、当然、さらに上まで登る! Holly Tree Wall の VS 40m の Javelin Buttress をグレアムのリードで。 途中、少し苦労していたものの、これは VS、グレアムは問題無くリード、 僕もフォローする。
続くは、その上、 Continuation Wall の HVS 18m の Continuation Crack を僕がリードする。きれいなクラックのそそるライン。 ジャミング、レイバック、フェイスを組み合わせて、登り切る。 なかなかいいルート!
3年前に来た時は、 ここで登攀を終わりにして、後は歩登攀で上の稜線まで登ったもの だったが、実は、この上にもまだルートはある! 少し右に歩いて、 Glyder Fawr の VDiff 200m の Central Arete をコンテで登る。交互リードで。 下から見ると、さっぱりに見えたものだったが……、どうしてどうして! 実際に登ってみると、思ったより高度感があって、両側に切れ落ちていたり して、なかなかのルートではないか! 二人して大いに楽しんだ。
ここまで登ると、さすがに岩場がない。頂上ももうすぐそこ。 ざれ場を少し登って、Glyder Fawr の山頂に。 素晴らしい連続登攀の一日だった!
ただ……、欲張りな僕は、まだ登り足りない気がする。 山頂から降りてきて、Idwal Slab の取付を過ぎ、駐車場に戻る途中、 東側に岩場 Clogwyn y Tarw (The Gribbin Facet) があるとガイド本にあるので、そこに行く。
今日一番のハードなルート、E2 (2ピッチ; 5b, 5b) の Trouble with Lichen を僕のリードで。 1ピッチ目は、ちょっと緑か。5b ムーブのこのピッチの核心の前の中間支点が 心許ない。E2 だからそんなものでしょう。緊張しながらも無事登り、 左にトラバースして、1ピッチ目終了。 フォローのグレアムは、核心は超えたものの、その後のトラバースが あまり乗り気でない様子。落ちると、振られるから。おまけに、 小雨が降り出してきた。結局、トラバースの途中で、中間支点を頼りに ロワーダウンすることになった。僕が中間支点を回収してから、 歩登攀で下に降り(1ピッチ目の終了点は、幸い歩登攀でアクセスできる)、 今日はここでお開きとした — 雨の中、E2 を登るのはとてもとても。
最後のルートは残念だったものの、 今日、総計 400m の岩登りをしたことになった。 僕の個人記録! グレアムというよきパートナーに恵まれたことが大きい。 素晴らしい一日だった。
08/16
今日は、天気が思わしくない。 岩登り日和ではない。 そこで、スノウドウ(Snowdow)山の馬蹄形一周をすることとした。 ウェールズ一番の歩登攀ルートと僕は思う。 2004年1月に初めて 来た時、感動したものだった。
グレアムは、スノウドニア(Snowdonia)には何度も来たし、 馬蹄形の部分部分はそれなりに登ったことがあるようだが、 馬蹄形を完了したことはない、という。 実は、僕自身も、厳密な意味では、 今に至るまで馬蹄形を全て完了したことはない。 2004年1月に 来た時は、Y Lliwedd から少し降りたところでビバークして、 翌日に(そのまま下降するのでなく)スノウドン山まで敢えて 登り返したし、 2005年3月に 馬蹄形一周を目指した時は、核心の Crib Goch のナイフリッジで、 ミックスの条件下、初心者と一緒だったこともあって時間がかかり 過ぎたもので、スノウドン山頂にさえ達することなく下山したし、 2007年11月に Y Lliwedd に登攀に来た時は、登攀終了後に馬蹄形一周に つなげるはずが、深夜までかかって懸垂下降による撤退を 余儀なくされたものだったから。
時折、雨が降る天気の中、Pen Y Pass を出発して、 Crib Goch そして核心のナイフリッジのトラバースへ。 何度来ても、この Crib Goch の高度感あるトラバースは素晴らしい。 イングランドとウェールズとで最高の歩登攀のルートだと 改めて思う。
スノウドン山頂から、エ・ヒェッズ(Y Lliwedd)山頂(難易度 1)を回り、 下降に入る。この急な下降路が今までに僕が通ったことが なかった部分。ウォーキングをゆっくりと楽しみながら 今日の山行を終えた。
08/17
今日も天気はもう一つだ。 西の Anglesey に行ってみることにする。 Anglesey は一応は島だが、細い海峡でウェールズ本土から 隔てられているだけなので、橋で渡れる。 Anglesey の天候は、スノウドンなどの内地が雨の時も 晴れている時があると聞く。
そして、Anglesey の西海岸 Gogarth は、ウェールズいや英国
に鳴り響く有名な岩場。ハードなクライミングのルートがひしめく。 なかでも、HVS (Gogarth としてはうんと易しい!) の
Dream of White Horses
は 文字通り、多くのクライマーの「夢のルート」となっていて、
僕たち二人もその例外でない。 同ルートは第一ピッチが潮の影響を受けるものの、時間を選べば
今回は大丈夫そう、ということもあり、行かいでか、という次第。 僕たち二人とも、Anglesey には一度も行ったことがないし、
せっかくの機会でもあるから。
しかし……、Anglesey に向かう最中に雨に出会うことになった。 Gogarth のマルチピッチの海岸岩場に出向いて、途中で雨に 降られると、進退窮まる。というわけで、Gogarth まで出向いたものの、 岩場を上から覗くだけに。 代わりに、すぐ近くの Holyhead Mountain に行くことにする。こちらは水晶岩の普通のシングルピッチの岩場 なので、天候が悪化すればいつでも撤退できる。
岩場が近付くにつれ、右斜め上に走る鮮やかな岩のラインが浮かび上がってくる。 Black and Tan (28m VS 4c)。 そのラインは、オーバーハングのすぐ下を走るクラック。 思いっきりそそるライン。これは登らなくては。 僕がリードする。
特に問題なく、クラックまで達する。 そして、肝腎のトラバースへ。高度感がいい。 ホールドはいいものの、あまり長居すると乳酸が溜る。 でも、中間支点をセットする必要があるから、そう理想通りにはいかない、 というもの。そして、作ったように、トラバースの最後が核心! 計算したムーブで、特にフットワークに気をつけてクリア。
乳酸のたまってきた腕で中間支点をセットして、 上の垂壁を乗り越える — これがまたなかなか。 トラバースさえ乗り切れば終わり、というルートではなかった、 という次第。難しいと言っても VS だから問題なくクリアしたが、 実に楽しめた。見事なルート、僕が今まで登った VSの中で 第一級のルートだった。
ちなみに、セカンドのグレアムは、トラバースの途中でパンプして、 ザイルを頼りに休むのを余儀なくされていた。これは、ハードだよ、って。 同意。
続いて、グレアムが、二つの HVS (クラックのルート)を連続してリード。 グレアム、いずれも途中でパンプして、落ちはしなかったものの、 ザイルに体重を預けて休む羽目になっていた。 彼にとっては今日はちょっと不本意な日かな。
最後、僕が、2日前のリベンジ(?)として、 今度こそ E2 を登るべく、挑戦することにした。 Bran Flake (30m E2 5b)。 クラックのルートなので、中間支点は問題なさそう。 5b の難しさが持続するということか? 相手に不足なし。
最初のクラックを登って、ちょっとしたレッジで休みを入れる。 この後、右に斜上して、そこで次の休みを入れて、垂壁のクラックに 臨む、というライン。 心を決めて乗り出す。斜上は、思ったよりは少し難しくて 乳酸が少し溜ったものの問題はなかった。しかし問題は、 休めると期待したところで、実はほとんど休むわけにいかなかったこと! つまり、じっくりとその上のクラックを登るムーブを見極める余裕もない。 フレンズを二つ極めて、とにかく登る。
クラックはなんとか登り切った。パワーを随分使ったが、 登れたからよし。上方左の小さいレッジに立ち込めたら、 そこで少し休憩を入れられそうだ。 レッジまで体をせりあげるためには、当然、レッジ上の ホールドを使う必要があるが……これが失望もの。 足場を替え、手を替え、少しでも回復を促進しつつ、 登り方を見極めようとする。右足を大きく右横に振って 体を支えて。力が萎えてくるのが分かる。振り絞る……
落ちた! 7メートル……。
右に振っていた右足がザイルに絡まる。体が反転。頭が下になり、 岩に背中をしたたか打ちつけることになった。
確保のグレアムを少し驚かせてしまったか。 打ち身で済んだのは幸いだった。 絶望的な努力の最中だったとは言え、いや落ちそうという自覚が あったからこそ、そういう状況で足をザイルに絡めるような 態勢にしたのは、大いなる反省点だった。
この後は、ロワーダウンしてもらい、僕が休んでいる間に グレアムが懸垂でギアを回収してくれた。ありがとう。 当然、これが今回の最後のルートとして、ここでお開きとした。 最後、墜落で終わったのはちょっと残念だったものの、 Black and Tan は最高だったし、 Holyhead Mountain は楽しかった。Gogarth もまだ訪ねていないし、この Anglesey、是非再訪を期したい。
タイム・テーブル
時刻 | 行動 | 高度(m) | 温度(℃) | 歩数(複歩) | |
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(計器) | (地図) | ||||
表注: |
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2008/08/15 (Leicester → Cwm Idwal (Idwal Slabs) → Glyder Fawr → Clogwyn y Tarw (The Gribbin Facet) → Gwern Gof Uchaf (天場)) |
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2008/08/16 (天場 → Pen Y Pass → Crib Goch → Snowdon → Y Lliwedd → Pen Y Pass → 天場) |
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2008/08/17 (天場 → Anglesey/South Stack → Holyhead Mountain → South Stack → Leicester) |
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