2009/03/21 ローチズ登山記録/感想文 (by まさ)

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総括

山域
Peak District/Roaches
参加者
アダム・W、まさ
期間
2009/03/21 (日帰り)
Roaches/Lower Tier (以下、リンクは特記しない限り www.ukclimbing.com へのもの)
  1. Elegy Slab/Fledglings Climb (??m S 4a); Leader まさ (OF), 2nd アダム
  2. Kestrel Buttress/Kestrel Crack (??m HS 4b); Leader まさ (OF), 2nd アダム
  3. Kestrel Buttress/Rhodren (??m HVS 5b); Leader まさ (Os; 1 fall), 2nd アダム ← 断念
様式: O(s) = オンサイト, F = フラッシュ, (A) = (助言少々), G = グラウンド・アップ, HP = ヘッド・ポイント
天候
霞 (6℃ @ 11:00, 6℃ @ 17:30)

登山編

今日は久々に(週末に)天気がいい、という予報! 先々週末は岩場まで行ったところで雨が降り出して、 結局、人工壁になったし(翌日の日曜日は悪い予報だったのに、 悪くなかったらしい……)、先週末は空いていた土曜日は 天気が悪かったし……。

自宅を出る時はすばらしい天気! ところが、ローチズ(Roaches)最寄りの 村に着く頃になると、あらら霞がかかっている……そして、 岩場はもろに霞の中だった……。がーん! おまけに、Upper Tier にあるお目当ての二つのルートは、鳥が巣作りしている、 ということで(今の季節は)禁止されている場所に当たってしまった。

そこで、と Lower Tier に。 前から登りたかった Via Dolorosa (VS) を見ると……見事に green (緑)、つまり苔むしている。 昨夏、雨ばかりだったため、よく繁殖していたという次第。 そして天気もよくなく、寒いだけ。

のろのろぐずぐずと行動に移って、 Fledglings Climb を僕がリードすることに。決定版ガイド本では Severe、 RockFax では HS。中間支点に乏しいらしい。でも所詮、その程度、 問題ではあるまい。

……実は結構、問題だった。 最初の支点は WildCountry Zero No.3 (灰色)。 次の支点は Metolius TCU No.2 (黄色) — 僕のリーチでは 安全地点からは届かず、少し登って急いでセットして下降する必要があった。 どちらも十分信用できない。そして、クライム・ダウンは 難しいタイプのルート。ちょっと怖い思いをしたものだ — Severe なのに……。

その上まで登り切れば、十分な中間支点がある。しかし核心はすでに 過ぎているのであんまり嬉しくないか。一方、セカンドのアダムは、 石灰岩みたいなルートだねぇ、と言って楽しそうに登ってきたのだった。

次は HS (RockFax のガイド本では VS)の Kestrel Crack。 最初にルーフを回り込んでアレットに達するのに、ジムナスティックなムーブが 要求されるとか。僕は準静的に登れたが、確かに HS としてはかなり難しく、 4b というより 5a に感じた。(高さは大したことはないが)高度感があって なかなか楽しいムーブ。

その上にオフ・ウイドスのクラック。ムーブがなかなか見えず、戸惑う。 結局、レッグ・ジャムまで使った格闘で越える。これもなかなかいい!

そして最後が、またオフ・ウイドスのクラック。こちらはフェイスも使えるが、 アームバーも使って登り切る。いいルートだった! アダムは、最後の部分で休憩を入れて登り切ってきた。 アダムの得意なタイプのルートではないとはいえ、 割と楽しんだ様子。なにより。

今日の最後として、HVS 5b の Rhodren を選ぶ。有名な、そして僕も気分が乗った時に是非登りたいと思っている、 The Mincer のウォーミング・アップとして丁度いいとか。 先の 4月に登った Curbar Edge の Green Crack (リンクは、rockfax.com) によく似た感じ(難易度も同じ)で、ルーフの部分をアンダークリングで 右にトラバースして上に抜けるところが核心。ただし、 こちらの方が、 Green Crack より核心部がずっと短い。2メートル少々か。 もちろん、 The Mincer も同じような感じだ。

短いだけに簡単だろうとたかをくくって登り始める。 どうしてどうして! 核心に着くまでにコーナーを登っていくのがそもそもひと苦労! 肝腎なところにホールドが無く、のっぺら……。 肩近くまで足を挙げるハイステップで何とか切り抜ける。

そして核心のトラバース。 苦労して(→ 僕のリーチでは安定地点からは届かない)、 アンダークリングの中間部手前に中間支点をセット。悪くないもの。 しかし……、トラバース中に使うべきスタンスが見当たらない! 下から見ると、水平な波打った構造が見えたのだが、それは 実は逆目で全く使えないことが、ここまで来ると判明している。 唯一、壁から突き出した孤独な小石一個が使えそうだが……、 それだけではトラバースを完了できそうにない。

悩んだ挙げ句、可能性あるムーブを計算してとにかくチャレンジ。 例の小石一個は、足を載せた時は極めて不安定ながら、重心を 移動させると悪くないことが判明。一方、手のホールドはよくない。 特に、一番いい場所を中間支点が占拠しているのが皮肉な話になっている。 そして……、またもやリーチ 不足で肝腎の次のホールドに手が届かない! 近くのスローパーに右手を 載せて、体を引き上げる — 左足が離れる — 手が持たない — 落ちた。墜落距離は 50cm 程度でどうってことはないとはいえ、 HVS で落ちるなんて、とショック! これは難しいぞよ。

気を取り直して、再挑戦。少しムーブを変えてみる。 体をうんと右に振って、左足で、頭の高さのスタンスを取る。 右手を限界まで伸ばして……サイドホールドを取ってみる。 これはいけるか? 左手をシャフル、右足をスメアに移行、 斜め右上に登り抜けた。ふぅ。

楽しいムーブだったが……、僕にはこれは 5b ではあり得ない。 ハードな 5c というところ。そしてムーブの見極めが試される、 という意味で、オンサイトはさらに厳しい。 Green Crack の場合、スタンスは十分にあったから、これよりずっと簡単だった。 このルートが The Mincer のウォーミング・アップ? 同じ HVS 5b なのに? ほんまかいな……。

フォローのアダムは、何度も落ちて、ザイルに半分体重を預けながら、 何とか核心前にたどり着く。最後の中間支点は、トラバースの最中な もので、ザイルに体重を預けている状態では、取りようがない。 というわけで、最終的に諦めてロワーダウン。それだけ、後で上から 下りて回収と相成った。HVS 5b? いえいえ、冗談! 楽しかったからいいんだけど。


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まさ