スイスの山情報

概観

欧州の山を語るなら、この国は外せないのがスイスですね。 アルプスの少女ハイジで名高いように、 ほぼ全土をヨーロッパ・アルプスが覆う国ですから。 アルプスの最高峰(モンブラン)こそフランスに譲るものの 他の数多くの有名な山々が連なります。

中でもスイス第一の山塊が、スイス南西部、イタリア国境にまで拡がる ヴァリス(Wallis)山群です。アルプスの顔と言うべきマッターホルン (Matterhorn; 4478m)、アルプス第二の高峰モンテ・ローザ(Monte Rosa; 4634m)を はじめ、数々の 4000m峰が軒を並べます。中心登山基地のツェルマット(Zermatt)は 人気の観光地でもあります。

スイス中央部に広がるのが、東西 100km に及ぶ広大な ベルナー・オーバーラント(Berner Oberland)山群です。 中でも最も有名なのが、アルプス三大北壁を有するアイガー(Eiger; 3970m)として 異論ないでしょう。広大なだけに登山基地は散在しますが、最も有名なのが グリンデルワルト(Grindelwald)、その門前にあたるインターラーケン(Interlaken)も 有名な観光町です。

スイス第三の山塊、スイス東南部のイタリア国境地帯に広がるのが、 ベルニナ(Berninagruppe)山群です。前者二つに比べると相対的に穏やか、 牧歌的なアルプスだと聞きます。

これらの山塊が欧州アルプスの背骨をなします。 しかし実際は他にも、スイス全土山に囲まれています。 山好きにはこたえられない地でありましょう。

スイス・アルプスのハイキング

夏季には、スイスアルプスはたくさんのハイカーで賑わいます。 ただし、雪と氷の世界のアルプスでは、ほとんどの 山頂はハイカーを寄せつけません。結果的に、ハイキングとしては、

  • 等高線に沿うように山の中腹をトレッキング(登り下りは登山列車など)
  • 登山列車などで高い所まで登って、そこから下るハイキング
  • その逆に、登山列車の駅まで登るハイキング

というパターンがほとんどのようです。 2007年8月に 僕が登った Oberrothorn (3414m) は、その稀な例外になるようです。

とはいえ、そういうハイキングでも、素晴らしい眺望とお花畑の山道の 魅力は少しも減じるわけではありません。むしろ、登りが少ない分だけ、 周りをより楽しめる、心地よいハイキングとなりましょう。

日本語のハイキングのガイド本としては、 「スイスアルプス・ハイキング案内」(小川清美著、山と渓谷社、1991年、ISBN 4-635-53605-X) があります。題名の通り、スイスアルプス(とシャモニー近辺も含む)全体を 含む本です。写真が豊富で見て楽しく、地図も詳しく分かりやすい、と 僕は感じました。

洋書では、Lonely Planet社からハイキングのガイド本があります。 ただ、個人的には、いまいちの印象を受けました。

公共交通

スイスの国際空港は、大きい順で以下のような感じです(もっと小さい マイナーな空港はあると思いますが)。

  1. チューリッヒ(北部東)
  2. ジュネーブ(西部)
  3. バーゼル(北部中央)

アルプス西部、特にフランス側に行くならば、ジュネーブでしょう。 ツェルマットも、ジュネーブから列車でアクセスできます。 北部からツェルマット方面、インターラーケン/グリンデルワルト方面に (列車で)アクセスする場合、結局、ベルン(首都)経由になるようです。 そして、チューリッヒからもバーゼルからもベルンまでは列車で 1時間。 つまりどちらでも同じです。日本から直行直帰の場合は、チューリッヒの 方が選択肢が多いでしょうが、もし欧州でどこかを経由するなら、 バーゼルは一考の価値あります — 相対的にマイナーなだけに 格安航空会社が便を出していたりします。

列車は、ベルンからで、以下の程度、時間がかかります(2007年夏現在)。

ベルン(Bern) ⇔ ツェルマット(Zermatt) (3時間ほど)
ベルン ⇔ ブリーク(Brig) (1時間半)
ブリーク ⇔ ツェルマット(1時間20分)
ベルン(Bern) ⇔ グリンデルワルト(Grindelwald) (2時間弱)
ベルン ⇔ インターラーケン(Interlaken) (1時間)
インターラーケン ⇔ グリンデルワルト (40分)

村々

ツェルマット

言わずと知れた、スイスアルプスで最も有名な登山基地の村。 マッターホルンを見上げる眺めは感動。 ツェルマット村内では、ガソリン車、軽油車は禁止されていて、 結果、電気自動車と馬車とが行き交います。おかげで静かで空気がきれい。 BVZ登山鉄道(ブリーク(Brig)始点)のツェルマット駅(終点)が、 ツェルマットの入口、何を話すにもここが起点となります。 駅に面して教会まで伸びる 300m がメイン・ストリートで、それが ツェルマットのほぼ全て、というこじんまりとした村です。

観光局は駅のすぐ横にあり、たとえば宿泊手配などがここでできる。 登山用品店は、当然、何軒もメイン・ストリート沿いにある。 キャンプ場は駅から戻った(北側)方角に、一方、ユースホステルは 南南西のはずれにあるそうだ。

ツェルマットは、とにかく日本人密度が高い。欧州で東洋人を 見かけると中国系の可能性の方が高い昨今だが(韓国系もそれなり)、 ツェルマットではほとんど全て日本人だった。メイン・ストリート 東側にある書店兼土産屋は経営陣に日本人がいるらしく、日本人店員 も応対していた。レストランも日本語メニューがあるところが少なくない。 一方、山に入って、登山列車の駅から少し離れてハイキングコースに入ると、 ぴたりと日本人の影は消えたものだった。

ツェルマットは、(名前から想像できるように)独語圏に入る。しかし、 仏語圏との境界も近いせいだろう、街では仏語もかなり幅をきかせている 印象を受けた。そして英語はもちろん共通語。英語が使えれば 何も困らない。店員やホテルの従業員は、客によって独仏英の三か国語を 当たり前のようにぺらぺらと使い分けている人をたくさん見かけた。 地理から考えて、伊語を使う人も少なからずいるのではないか? つくづく多国語の街だ。

地図、ガイド本

マッターホルンを含めて、ツェルマット近辺は、 「2515 Zermatt Gornergrat」の 1/25000 地形図がカバーしている (ツェルマットがほぼ中心に位置する)。 スイスの地形図なので、等高線間隔は 20m。


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