▲欧州的登山生活▲

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第13号: あこがれのアルプス登山 (その二)

発行日
2006/03/13
発行者・筆者
まさ (坂野正明)

まさです。
今回、まず、英国登山協会(BMC)主催の Jonathan Conville Alpine Course (3日間の現地講習会)に参加しました。アルパイン・クライミング を現地でプロのガイド/講師から行動を共にしながら学べる、という 素晴らしい講習会です。BMC主催なので、当然、仏語ではなく、 英語なのもありがたいところです。

この講習会は若くしてアルプスに散った登山家の遺族が、若い人が 安全なアルプス登山を学べるよう比較的安価(相場の三分の一!)な 入門コースを用意する、という目的で、基金を設立したものです。 応募した人全員が参加できるわけではなく、いくつか条件があります。 今回、参加してみて、 参加者の大半は学生でした。ちょっと年を食い過ぎてる僕としては、 参加できたのは幸いでした。

では、以下、アルプスシリーズ第二回をお送りします。

目次


登山記録編 〜〜 あこがれのアルプス登山 (その二) 〜〜

  • 山域: 欧州アルプス/フランス・シャモニー
  • 期間: 2005/07/18--08/02 (15泊16日)
  • 参加者: まさ、スティーブ(師)、アレックス、ジェレミー他

(つづき)

07/20 (講習第一日目; Grands Montets)

今日は、講習第一日目。インストラクター一人につき、三人の受講者。 集合場所の天場から皆で歩いてケーブルカーの駅へ発つも --- ヤッケ ごと財布を集合場所に忘れてしまったのに気づいて、焦って取りに帰った慌て者 は僕……。

ほどなくグラン・モンテ(Grands Montets)駅へ到着。高度約3260m。さすがに冷 える。僕は、アレックスとジェレミーと共にスティーブ先生につく。駅から降り たらすぐ雪面だ。

まずは、ステップカットから。古の基本技術とは聞いていても、実は僕はちゃん と学習したことはない。日本では、ほとんど軟雪ばかりだったし。 ついで、滑落停止。ほとんど氷り気味の堅雪上。難しい……。

ここで、クランポン装着。歩行練習少々の後、堅雪上の確保を。斜面に アイス・スクリューを直接打ち込むのを見て、驚いた。そう、ここでは、雪を少 しかきわけると、すぐ氷の面が顔を出すので、スクリューが最適の確保なのだ。 続いて、Abarakov thread (アバラコフ・スレッド; アイス・スレッド)の実演。 さらに一人一人がアイス・ボラードを作る練習。実に骨が折れることだと体で実感。 下手すると、すぐ氷が剥離して いくし……。最後、雪面でピッケルを横に埋める支点の作り方 --- これも自分で実際 に行うのは、初めて。細かいポイントまで教えてくれるのが実に嬉しい。

昼食休憩後は、ロープの出番。数え方から、氷河上歩行用のコンテ のセット。そして、実際に、ルート(グラン・モンテ 北東稜)へと乗り出す。最初は、軟雪面だったが、 すぐに堅雪へ、そして岩のルートへと移る。 そしてさらに、再び堅雪、それも半ば氷化した堅雪上へ移動する ことになった。本来、Facile のルートのはずだが、現在のコンディ ションでは、これは PD (Peu Difficile) になるという。

スティーブが確保する中、2番手の僕がスティーブの場所にたどりついて、ステッ プを切るよう、指示される。堅い雪面、いや、氷面。泥が混ざっている色の関係 で僕は一見、土だという気がしていたのだが、実は堅い氷だった。そしてカット の最中、バランスを崩してしまって、あろうことか落ちてしまった……。あ ちゃぁ。

そのすぐ上は、堅雪上のトラバース。薄い雪のすぐ下は氷化している。ここでま たもや、僕は落ちてしまった……。滑落停止もスピードは緩めても、止まるまで はいかない。確保されていてよかったってもんだ。薄い雪を頼りにフラット・ポ インティングで登っていたのが間違いだった。すぐ下が氷化層だから、フロント・ ポインティングで登らなくてはいけなかった。なるほど、これがアルプスか……。 軟雪の経験がほとんどの僕にとっては、これは意外な未知の世界だった。

といったハプニングはあれど、ほどなく、ルート終了。エギーユ・デ・グラン・ モンテ(Aiguille des Grands Montets)山頂(3297m)に着く(山頂駅の展望台になっ ている)。ふぅ。

スティーブのキャリアの中で、2番目に怖い思いをしたよ、ってコメントだった。 いや、先生、びびらせてしまって誠に申し訳ない……。ただ、僕としては、確保 されている時に「落ちる」経験ができて、これは非常に貴重だった。いずれも、 落ちるとは思っていなかったところだった。つまり、ああいうバランスの時は、 落ちる危険がある、ということだ。

スティーブのコンテは、僕が知っているコンテとはまた少し違って、それもまた 有益な経験であった。学ぶことがたくさんあるぅ!!

07/21 (講習第二日目; クレバス救助)

講習第二日目。Le Tour から、ロープウェイ、リフトで、上の駅へ。そこ から歩いてアルベルト・プルミエ小屋(Albert 1er)に行く。一面のお花畑の中を歩く気 持ちいい道だ。途中、地図で「点線」の部分、つまりハイキングにしては「危な い」箇所を通過するが……、何のことはない、鉄の手すりなどがあって、安全こ のうえない。モレーンを右に見ながら、最後の登りの後、小屋に到着。今日はずっ と半袖で十分だった(上半身裸で登っている人もいた)。

一休みした後、明日の道筋の偵察も兼ねて(早朝、暗い中出発するのに備えて、 前日の明るいうちに偵察しておくのが常識)、氷河上へと出発する。 氷河上では、(昨日と違い)真剣な氷河上歩行。 そして、クレバス救助の練習を。やはり、現場での練習は、 緊張感、臨場感と現実感が違う。本で勉強した手順の一つ一つが納得できる。

小屋に戻って、しばらくして夕食、即就寝。先生からはアルプスの小屋生活の コツなども色々聞かせてもらった。ありがたいことだ。

(つづく)


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次回予告

次回は… 「あこがれのアルプス登山 (その三) 〜〜 アルパイン・クライミング講習会 (実戦編)」

See you later!


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