▲欧州的登山生活▲

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第17号: あこがれのアルプス登山 (その六)

発行日
2006/04/06
発行者・筆者
まさ (坂野正明)

まさです。
山中一泊の旅を終えた後、比較的軽めの一日を送った、それが今日の 記録です。ただし、技術的には、前日より若干難しいルートです。

アルプスの世界では、ルートの難易度が、仏語で表されます。 最も簡単なのは、F (Facile; 易しい) です。ハイキングも F に分類されますが、 ザイルが不可欠の氷河歩行や(比較的易しい)雪稜/岩場登りもやはり F です。 無雪期の北〜奥穂高縦走ならば、F に相当するでしょうか。 次いで PD (Peu Difficile; 少し難しい)、さらに、AD (Assez D; 結構)、 D (Difficile)、TD (Tres D; 非常に)、ED (Extrement D; 極端に)、 と続きます。今回、僕らが取ったのは、PD のルートでした。

そして、それは、講習会の初日に訪れた場所から見えた、あの頂。
アルプスシリーズ第六回です。
※来週から 3週間留守にするので、今週は二回配信します。

目次


登山記録編 〜〜 あこがれのアルプス登山 (その六) 〜〜

  • 山域: 欧州アルプス/フランス・シャモニー
  • 期間: 2005/07/18--08/02 (15泊16日)
  • 参加者: ドム、まさ

(つづき)

07/27 (Petite Aiguille Verte)

今日も幸い天気は悪くなさそうだ。 再び Grands Montets駅に来て、今度は PD のルート(西陵)経由でプティット・エ ギーユ・ベルト(Petite Aiguille Verte)を目指す(同山では、一番 簡単なルート)。先に登ったカレンらによれば、とにかく混み混み だから早立ちに限る(彼らは 1時間半で登って、4時間かけて降り る羽目になったとか)、ナッツの 7番は必携ということだった。 一方、昨日偶然シャモニーで会ったナオミらによれば、残置スリング やピトンを頼りに、ナッツ無しで十分だった、ということだった。 僕は、9番まで奇数番のナッツを持参した。

ドムは昨日午後遅くから軽い雪盲だっ たようで、昨晩から、ちょっと目が痛む、という。昨日、 ゴーグルをはめた時には、時すでに遅かったようだ。 今日(と翌日)は朝からゴーグルをして、静養に努めていた。それが功を 奏して大したことはなかったようで幸いだった。

さて、駅から雪面を登り、やがて岩稜に達する。 僕のリードでコンテで、時に ドムを確保しながら、慎重に進んでいく。気持ちのいい岩稜歩登攀。 2, 3 組に抜かれるが、気にしない。 確かに人気ルートだ。人が多い! 昨日までの静かな氷 河歩きとはえらい違いだ。

やがて山頂(3512m)に達する。 今日もまた、遥か彼方の エギーユ・ヴェルトはじめ、すばらし い眺望を楽しめた。狭い山頂に後から後から人が来るので、そうゆっ くりもしていられないのが残念なところか。

少し"よじ"降りた後、残置スリングの場所に着く。懸垂 下降のポイント。人がひっきりない西陵を離れ、北稜方面に 懸垂下降することにする。最初を懸垂したら、その後は、普通に下降 できることを期待して。

しかし……結局、懸垂 3回に、加えて間にドムを二回確保する必要も あった。普通に下降なんてとんでもない。最後の懸垂で、ザイルを投 げた時、大きなクレバスの中に落ちていった。「クレバスの中だぞ〜」 と右手から声が届く。見れば、コースで一緒したジェレミーが 下にいるではないか。昨日はナオミらに会うし、今日はジェ レミーに会う。いやはや、シャモニーとは狭い場所だ。

ここは、懸垂のままクレバスを飛び越えて、向こうに着地できた。 その後の雪面をコンテで移動の最中には、 僕は両足が雪で隠れたクレバスに落ち込む経験をした。一応、 自力脱出できる範囲だったが、怖 いものだ。あんな場所にクレバスがあるとは……。全く予想外。

結局、西陵を普通に下るよりも、時間がかかったかも知れない。 しかし、ドムにとっては、初めての真剣な長い距離の懸垂下降だったと いうことで、大いに楽しんでいた様子。なによりだ。

(つづく)


登山ミニ知識アルプス編 〜〜 必要装備 〜〜

夏のアルプス登山装備は、基本的に日本の春山(=春の雪山)装備でいいのですが、 いくつか注意点はあります。

必携用具
クランポンの着雪防止プレート
(横からの光もきっちり止める型の)サングラス
アイス・スクリュー (氷河他、氷だらけ。一人 1本は最低必要)
アイス・スレッダー (Abarakov thread を作るための道具)
ナッツいくつか (岩が入るならば)
プルージック用スリング (2〜3本。氷河歩きでは常時必要)
(登山用)ヘルメット
(ドライ加工された)ザイル(30〜60m; 長さはルートと人数次第)
(レッグループ)ハーネス、(安全環付)カラビナ、スリング
(多分)不必要なもの
スコップ (雪面でフォーカスト・ビバークするなら、別かも)
雪崩ビーコン、ゾンデ棒 (面発生雪崩地点は多くない)
ボルト (よほどの冒険行ならいざ知らず)
その他の注意点
衣類は、(好天ならば)耐寒性能よりむしろ、暑い時にどう対 処するかがポイント。モンブランは例外で、寒くなり得る(-15℃?)。
ルートによっては、悪天時を想定してGPS携行がお奨め。
シャモニー近辺の山ならばほとんどの場所で携帯電話が通じる。
(小屋から小屋まで)通常一日、長くても二日で終える もののよう。可能な限り重量を減らして迅速行動するのが致命的に重要。
ザックの容量は、ビバークなしなら、 40リットルあれば十分のようだ。25リットルで行動している人もいた。
ストーブは、Prius 関係のものがメジャー。つまり、キャンピングガス系 ではない。

Webページ更新情報


次回予告

次回は… 「あこがれのアルプス登山 (その七) 〜〜 ついに…4000m峰」

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