△第55号: 復活祭のスコットランド春山紀行 (前編)
- 発行日
- 2007/07/12
- 発行者・筆者
- まさ (坂野正明)
まさです。
今年の英国の初夏は、ひたすら雨、雨、雨です。すばらしき 6月 のはずが、ジューン・ブライドが泣いてしまいそうな感じです。
さる友人も「ゼロ・クライミングの月だったぁ」と泣いていました。 そんな中、先週末は、実に久々に晴れ間の続く週末でした。そこで
ピーク地方に初めてサイクリングに行って、楽しんできたものでした。
さて、今回は、復活祭(イースター; Easter)の休暇に一人で行った スコットランドの山行の記録を中心とします。英国では、 クリスマス(スコットランドは例外で大晦日の晩)が第一の 祝祭日(期間)で、第二の祝祭日期間が復活祭になります。 復活祭は旧暦で数えられるようで、3月末から 4月上旬まで 年によって日付が変わります。 復活祭の日は必ず日曜日で、前後の金曜と月曜とが祝日、 つまり全国的に 4連休になります。 今年の復活祭は 4/8 でした。
そんな今回の山行の最大の目的は、雪洞での一泊でした。 さてどうなったか、以下でお楽しみ下さい。
目次
登山記録編 〜〜 復活祭のスコットランド春山紀行 (前編) 〜〜
4月に確実に雪が残っている……来る場所は一つしかない。 英国最高峰のベン・ネビス(Ben Nevis)北壁。 7月でも雪が見られるという場所。 シーズン最盛期には、 (今はなき)避難小屋が完全に雪に埋まったりしたそうだから、 この時期でも残っているのではないか?
4/7 朝 10時過ぎ、Fort William の登山口から登り始める。 天気のいい今日、そして何と言っても英国最高峰のベン、人の数も 多いこと! 登山客がひきもきらない。時にピッケルを 持っている人もいれど、幾らなんでもそんなんで大丈夫か、という ピクニック気分のハイカーも散見される。とはいえ、 山頂への一般登山道から北壁へのアプローチ道に別れたところで、 登山客の数は激減。 喧騒から離れていい感じだ。
CICの山小屋を過ぎ、 やがて目標の Coire Leis(谷)が最奥部まで全て見渡せる場所に来る。 右側には、岩壁がそびえていて、その 基部なら十分雪はあろう。しかし、特に雪が融解の傾向あるこの時期、落石が怖い。 実際、雪面にいくつもの落石の跡が走っている — そこは問題外。 前方を一通り眺めて、ここなら、という ところに目星をつける。
クランポンも装着して、登っていき、 やがて目星をつけた場所に達するも……、全然だめだ、こりゃ。雪が少な過ぎる。 やむを得ない。そのまま雪面を稜線、そして山頂まで登る。 稜線までは天気はよかったのに、山頂だけ、ガスの中。 16:00着。山頂は、20人ほどの人で賑わっている。一般道から 来た人がほとんどだろう。 中に、服を脱ぎ始めた人がいて、何事かと思いきや、半裸になって ガウンを羽織って、ギターを担いで記念写真を撮っている。 聞けば、ロック・グループの 3人組で、宣伝用に使うというこの写真の ためだけにギター他を担いでえっちら登ってきたそうだ。ばかですねぇ。 いいですねぇ。
さて、このまま麓まで今日中に下りることもできるが……、 せっかくビバーク道具一式まで担いできた以上、 山頂でビバークとする。ベン・ネビスの山頂には、小さな小屋があって、 緊急用のシェルターとして使えるようになっている。 でも、もの好きでビバークする僕はお呼びでなかろう。 小屋の壁を風避けにしてツェルトを張ることに決定。
人の影もほとんど途絶え、 ツェルトを張り終えた後、風の方向が変わった……殺生な! 設置状況上、逆側には、スノー・ブロックを積みにくい。 気温は約 0℃、風も強風というわけでもないので、少々の風の吹き込みは 我慢することで妥協することにした。
ずっとガスの中だった山頂だが、ツェルト設営中に、一瞬だけ晴れ間が見えて、 周りの山々が見えた。これぞ孤独なビバークの醍醐味! 来た甲斐があったと いうものだ。
(つづく)
議論提起編 〜〜 雪洞 〜〜
今回、雪洞を掘り損ねたのだが、今から考えると、雪洞に泊まることは 可能だったと思う。
ある本で、最も実用的な雪洞は、(斜面でなく)平原の まっただなかに掘ったものだ、と書かれていた(本ではなく、プロのガイド に聞いたのだったかも?)。今まで、平原のまっただなかに掘るなんて、 ずっと手間だろうし、風避けはどうするのか、と思っていたのだが、 今回、スノーブロックを掘り出していた時に気付いたことがあった。
平原で四角いスノーブロックを掘り出すことは難しくない。 しかも、掘り出したスノーブロックはそのまますぐ横に並べて壁と することができる。つまり、掘り出す深さは、実質、半分で済む。 1回につき高さ 20cm のスノーブロックを掘り出すとしたら、 2層分掘り出した段階で、実質上 80cm の深さが確保できる。3層分 なら 120cm、十分だ。そういう意味では、掘り出す量は、斜面に掘る場合に 比べて、半分で済む! しかも、二人いれば(そしてショベルが二つあれば)、 二人ほぼ同時に作業することも可能だ。
問題は上が開けっ広げになっていることだが、ツェルトがあれば、 それを雪で固定すれば、十分だろう。 ただし、夜間に雨雪がたくさん降る可能性があるなら問題か。 また、上の厚みが無い分、斜面に掘った雪洞に比べて 少々寒いかも知れない。逆に利点としては、天井が落ちてきて 生き埋めになる心配をしなくて済む。
今回、ベン・ネビスの斜面には十分な雪は無かったが、頂上稜線上には
水平雪洞を掘れる程度の十分な雪があった。今回、その可能性に気付いたのは、
ツェルト設営中、ちょっと遅かった。次は是非、試してみたいものだ!
雪洞経験のおありの皆さん、よかったらご意見をお聞かせ下さい。
△この文章は、以下にも載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/doc/snowbivvy.html#flatsnowcave
Webページ更新情報
- この記事は、以下にも載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/magazine/backnumber/eu055.html - 3月に行った Roaches の岩登りの記録を以下に載せました。 第48号で採り上げた Valkyrie が再び焦点になっています。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20070310_roaches.jis.html
次回予告
次回は… 「復活祭のスコットランド春山紀行(中) 〜〜 ビバークの朝」
See you later!
◎発行: まさ
WWW page: http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/
email: alpin…@s…
このメイルマガジンは以下のサイトのシステムで発行しています。
- めろんぱん
- http://www.melonpan.net/
- melma!
- http://www.melma.com/
- まぐまぐ!
- http://www.mag2.com/
メイルマガジンの登録・解除は以下のページからどうぞ。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/magazine/
お便りについて。
歓迎します! お便りはマガジン上で紹介させてもらうかも知れません。 ハンドル名(と差支えなければ居住都道府県)をお書き添えください (無指定の時は平仮名略字表示にします:「世界の環境ホットニュース」 方式)。逆にもし紹介して欲しく無い場合はその旨、明記下さい。
