△第76号: 硬砂岩超伝統の豆鞘ルートへ挑む
- 発行日
- 2008/08/20
- 発行者・筆者
- まさ (坂野正明)
まさです。
この夏は毎週末泊りがけで山に出かけてます。この夏、 英国はひたすら雨が続いていて残念なのですが……、雨に負けていては
登山家はつとまらないとばかり、あの手この手で山を楽しんでいます。
さて今回は、先の 2月、冬山の合間に岩登りに行った時の 記録を主とします。超がつく伝統のルートを、 何とか登ったのでした。あわせて、その岩場、カーバー・エッジの 紹介文と、登攀に使う細かい地形の英単語についての紹介(その一)も 書きました。お楽しみ下さい。
目次
- 登山記録編 〜〜 硬砂岩超伝統の豆鞘ルートへ挑む 〜〜
- 英国の山紹介編 〜〜 カーバー・エッジ (Curbar Edge) 〜〜
- 登山ミニ英語編 〜〜 登攀地形英単語 (その一) 〜〜
- Webページ更新情報
登山記録編 〜〜 硬砂岩超伝統の豆鞘ルートへ挑む 〜〜
ピーク地方のグリット石(grit; 硬砂岩)の岩場、 カーバー・エッジ(Curbar
Edge)へ。 ここには The Peapod
という超がつくクラシック・ルートがある(ガイド本には、 Mega classic
と)。 Peapod
とは、えんどう豆の鞘のようなもの。 ルートの中央がちょうどそういう形に
なっていて、そこを全身を使ったバック・アンド・フット(背中と両手両足と を使って登る技術)で登る、というのがこのルートの標準的な登り方
— いや、 それ以外の登り方は多分不可能だ。
さて、何とかチムニー(豆鞘)部に達して 中間支点を取った後、意を決して、バック・アンド・フット開始。 平行ではないチムニーだけに……思ったより消耗する。 スタミナが減ってきているのを自覚しつつ、 最上部でチムニー脱出を試みる。ここが核心。
最初のトライ、失敗。二度目。何とか落ちずに済んでいるものの 力が抜けていっている……。 「引いて!」叫びつつ、最上部の中間支点を 掴んで体重をかけた後、残念ながら確保者頼りにレストとなった。
レスト後、登れるか? 登れるか? 登れるはずだ。登れんでか。 葛藤。内心の不安を打ち消す。登れるはずだ。
バック・アンド・フットでじりじりと。 問題は上部の狭くなったところだが、上のレッジに手が届けば 何とかなるはず。登る。狭くなってくる。
まだレッジに手が届かない。あともう少し体をせりあげて……、 右手が届いた。今や、足が狭いところにロックされていて、クライム・ダウンは
もう困難、つまり登るしかない! この状態なら少しは保持できるとは言え、 そうしたところで体力が減るだけで益はない、今が安定を捨てる時、
右に外方に体を振ってチムニーから抜けて……、さぁ、上に登る。 フットホールドは不安定ながらある。しかし、レッジのさらに上に何か
左手のホールドが無いと……探る、探る、おぉっ、かかりのいいホールドが クラックの中に! これは登れそう、いや登る!
体を引き上げる。もう少し。 ましなフットホールドに足がかかる。眼前のクラックに待望の次の中間支点 を極める?
いや、まだだ。この体勢は不安定、このレッジまで登った方がいい。 落ちる可能性の不安をかなぐり落とす。
自分を信じて、登る……登れた!
こうして格闘の末、核心を越えた。立派な中間支点を極めてひと安心。 肩で息をしている。ハードだった。精神的にも肉体的にも。
その後のフィナーレもまたなかなかのもので、本当に 素晴らしいルートだった!! 僕が今まで登った中で、グリット石の HVS
のルートとして 最高級のルートと言える。ブラボー!
△以上、記録の一部。全文は、以下に載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20080223_curbar.jis.html
英国の山紹介編 〜〜 カーバー・エッジ (Curbar Edge) 〜〜
カーバー・エッジ (Curbar Edge) は、東部ピーク地方のグリット石地帯で、 フロガット・エッジ 南方に隣接する岩場です。 実際、カーバー・エッジは、フロガット・エッジと同じく、その昔には石切場としても 使われていたようで、切り立つ垂壁が広がります。
ルートは、ハードなルートが揃っていることで有名です。 HVS 5b の The Peapod を旗印に、上は……(後略)
△この記事の全文は、以下に載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/info/peakd.html#curbar
登山ミニ英語編 〜〜 登攀地形英単語 (その一) 〜〜
登攀の時は、極端な場合、岩面上の小指の爪より小さいとっかかりを 頼りに登ります。そこまでいかなくても、50cm
離れると予定と異なる ことは珍しくありませんし、3m 離れれば全然違った難しさになるのは
むしろ普通です。だから、圏谷
(カール)や稜線と言った 山の大きな構造よりはるかに小さい構造を表す用語が必要になります。
以下、そういった構造の英単語を紹介します。
- route: ルート。登る道筋。登山道。
- line:
ライン。ルート上で、ルートよりはるかに精密な意味で、実際に通る道筋。端的には、1m の精度で語る。
例:このルートは登るには、あそこの黒い岩の 50cm 横のラインを取るべし
- slab: スラブ(岩)。凹凸の少ないなめらかな(一枚)岩。昔は傾斜角 45度程度までだったが、最近の岩登りの世界では 80度程度でもスラブと言うことがある。
- face: フェイス。ほぼ垂直な岩壁のこと。中でも特に平たい部分を指す。クラックと対比して使われることが多い。つまり、クラックの外側の部分が、フェイス部。
- overhang: オーバーハング。前傾壁。「かぶった」岩。岩壁上で垂直以上に切立った部分のこと。
- roof: ルーフ。オーバーハングの極端なもので、ちょうど天井のようになった部分。
- crack: クラック。岩の割れ目、裂け目。
参考: 割目の種類 (@山どんの資料室) - chimney: チムニー。原義は煙突。人間の体がすっぽり入るくらいの大きさのクラックのこと。
△以上、以下の「登山ミニ英語編」にも載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/lang/english.html#topo-climbing
Webページ更新情報
- この記事は、以下にも載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/magazine/backnumber/eu076.html - この前の週の Rivelin Edge の岩登りの記録を以下に載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20080217_rivelin.jis.html
次回予告
次回は… 「風雪のフォースト・ビバーク (ベン・ネビス)」
See you later!
◎発行: まさ
WWW page: http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/
email: alpin…@s…
このメイルマガジンは以下のサイトのシステムで発行しています。
- めろんぱん
- http://www.melonpan.net/
- melma!
- http://www.melma.com/
- まぐまぐ!
- http://www.mag2.com/
メイルマガジンの登録・解除は以下のページからどうぞ。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/magazine/
お便りについて。
歓迎します! お便りはマガジン上で紹介させてもらうかも知れません。 ハンドル名(と差支えなければ居住都道府県)をお書き添えください (無指定の時は平仮名略字表示にします:「世界の環境ホットニュース」 方式)。逆にもし紹介して欲しく無い場合はその旨、明記下さい。
