△第79号: 風雪のフォースト・ビバーク (ベン・ネビス) (後編)
- 発行日
- 2008/09/16
- 発行者・筆者
- まさ (坂野正明)
まさです。
今回は、風雪のフォースト・ビバークの翌々日、満を持して 冬期登攀に行った時の記録を主とします。
この 4日間は僕の住んでいるところから 800km 離れているにも関わらず、意外に「社交的」な山行になりました。 2日目には、ピーク地方の岩場ローチズで僕を見かけた、と言う人が 声をかけてきて、 そこのルートの一つ、Valkyrie (第48号参照) の 話で盛り上がりました(実は先々週、またまたばったりその彼に 再会しました……)。
3日目には、その日(英国最高のクライマーの) Dave MacLeod の初登攀 の挑戦に付き添ってきた 山岳写真家に出会って、 彼が1984年に Toyokawa という日本人クライマーと一緒に登った、と言う話を聞きました (どなたか、Toyokawaさんというクライマーを御存知ありませんか? 当時、冬のスコットランドまでわざわざ来られたのですから、 相当のクライマーだったと想像します)。 僕は Dave のボルダリング教室に参加したこともあるので、 ひときわ親近感があります。実は最近 Dave が英国最難(世界最難?)の 伝統登攀の岩登りのルートを初登攀した折に、メイルを 送ったところ、Dave は (1回しか会っていない)僕のことを覚えて くれていて嬉しく思ったものでした。
そして最終日には、天幕の前を通りかかったのは……地元の登山仲間のドムでは ありませんか — (山中で!)お茶菓子をふるまったのでした。 思いがけない出会いがいっぱいの山行で、そういう意味でも楽しめました。 山仲間の世界は狭い、とも言えるかも知れませんね。 では、お楽しみ下さい。
目次
登山記録編 〜〜 風雪のフォースト・ビバーク (ベン・ネビス) (後編) 〜〜
(前号からのつづき)
今日こそ登攀の日。 ルートは、Good Friday Climb
(難易度 III) を選ぶ。 1年前に目指すも (第50、51号参照)、
当時、時間の関係でルートに入る前に断念したものだ。 このルートの最終ピッチは山頂に突き上げ、最後の確保支点として
英国の最高点、すなわち山頂の三角柱(=三角点)を使うのが伝統、 という点に強く惹かれる。そして季節も悪くない! Good
Friday
とは、英語で復活祭直前の金曜日の意味 — つまり一昨日のこと、 ほぼどんぴしゃりの時期だ!
弱層テストの結果が芳しくなく、若干怖かったものの やがて取付の岩壁に達する。雪のルンゼの第1、2ピッチの後、 核心の第3ピッチへ。氷壁を右にトラバースした後、数メートルの 氷の垂壁を登る。素晴らしいピッチ! 幸い、ここはスクリューも悪くなかった(ように思う — 当然、試して いないけれど)。 右に見える Tower Ridge 他の景観も壮観。Ridge を行く 豆粒のようなクライマーの姿も見える。 クローディアもちょっと怖い思いをしながらも楽しくフォローしてきた様子。 「見事なリード (Incredible lead)!」と賛辞を頂戴した。
そして第4ピッチ。最後、2.5m ほどの雪の垂壁を登ると、 急に頂上稜線に踊り出た。これが最終ピッチでしたか。 三角柱は 30m ほど右方に見える。 それでは使えない。ちょっと残念だが、まぁご愛敬。 やがてクローディアがひょこっと顔を出して登り切ってきた。 おめでとう!
19時、気温 -8℃。急速に暗くなってきている。 思いの他時間がかかってしまったので、下山ルートを大廻りながら 相対的に安全な方に変更。 とはいえ、両側絶壁にきのこ雪が発達したここベン・ネビスの下山路は 悪名高い。新雪でトレースも消えたホワイトアウトの中では 真剣なナビゲーションが要求される。苦労の末、午前 1時半、天幕に 無事帰り着き、ささやかな夕食としたのだった。 素晴らしき一日!
△以上、記録の一部。全文は、以下に載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20080321_bennevis.jis.html
同ページ先頭からリンクを張っている英語版の方が臨場感あるかも?
登山ミニ知識編 〜〜 スコットランド冬期登攀難易度 (その二) 〜〜
(第75号「スコットランド冬期登攀難易度 (その一)」からのつづき。)
岩登りの英国式難易度が、形容難易度と技術難易度との組合せで 表されるのと同様に、スコットランド冬期登攀難易度も、 ルート全体として総合的に見てどれほど困難か(Overall difficulty, Seriousness) という点と、技術的に最も難しい場所がどれほど難しいか (Technical grade)という点の 二点で表されます。
前者は(大文字の)ローマ数字で表され、後者は通常のアラビア数字で 表されます。一例として、IV 5
という感じになります。 目安としては、ローマ数字とアラビア数字が一致するのが最も標準的な 組合せとされます。たとえば、IV
5
であれば、IV にしては 難しい箇所が存在するものの、その箇所は短いかあるいはごく安全か、
もしくはその両方だと予想できます。 以下、難易度の大雑把な目安の表を掲載します。
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難易度: 説明
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I: 易しい(岩の)稜線歩きか、傾斜角 45度程度の雪のガリー
(ルンゼ)。きのこ雪はあるかも。
II: I の中に相対的に難しい箇所、たとえば短い氷のピッチや岩壁
が含まれるもの。稜線なら、夏なら易しい歩登攀になる程度。
III: II よりも困難で、ミックスのルートなら、夏なら Moderate
程度の難しさになるもの。
IV: 氷なら傾斜角 70度までの長いピッチか、短い垂直の氷壁を
含む。ミックスなら夏の Difficult から Severe に相当する
もので、トルキングなども必要になってくるもの。
V: 氷なら傾斜角 70度以上の長いピッチに垂直の氷壁まで含まれ
る。ミックスなら最難で夏の VS に相当するものまで含まれる。
VI: 氷なら垂直の氷壁が長く続き、また氷の質もよくない可能性が
少なくない。ミックスなら夏の VS に相当。
VII〜 : さらに困難。2008年現在で、XI が最高難度。
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△前回と併せ、さらに加筆した全文を、以下に載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/trivia/climbinggrades.html#gradeswinterclimbing_scotland
Webページ更新情報
- この記事は、以下にも載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/magazine/backnumber/eu079.html
次回予告
次回は… 「ピーク地方石灰岩地帯の丘歩き (ダブデイル)」
See you later!
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