△第85号: コーンウォール花崗岩の数々 (後編)
- 発行日
- 2008/12/26
- 発行者・筆者
- まさ (坂野正明)
メリークリスマス! まさです。
先週のフランスへの氷壁登攀の旅は、天候とコンディションに 恵まれて素晴らしいものでした。
今季の冬期登攀の出だしを飾る山行として申し分ありません でした。楽しい冬になることを願っています。
今回は前回に引続き、5月に行ったコーンウォールでの 花崗岩の海岸壁岩登りの旅から、 セネンでの記録を中心とします(セネンは、当メルマガ 第61号でも採りあげました)。 併せて、岩登り難易度の感覚的解説を試みています。 お楽しみ下さい。
余談ながらこのコーンウォール 3日間岩登り三昧の合間、中日の夕方には、 ランズ・エンド近くの野外劇場である ミナック劇場に 出かけてジャズ生演奏のショーを堪能しました。 ステージが海側にあって、観客は段々になった上から眺め下ろす 恰好になるので、パフォーマーと海の景色との両方が一度に 楽しめるよい雰囲気でした。もし近くに寄られることがあれば お薦めです。
目次
登山記録編 〜〜 コーンウォール花崗岩の数々 (後編) 〜〜
グレアムとセネン (Sennen)へ。
まずは、セネン と言えばこのルートを登らなくては、と Demo Route
をグレアムに勧める。オフウイドゥス(=中途半端な大きさ)のクラックのルート (24m, HS, 2ピッチ)。
カナダの花崗岩でクラックに目覚めた君なのだから、やっぱこのルートは 登っておかないとね!
そしてグレアム、お約束通り(?)、そのオフウイドゥスの部分で 悪戦苦闘している。あはは。楽しんでるかい? いぇーぃ!
次のルートの後、 遠くからも目につく、ルート名の通りの見事なそそるライン、 Zig Zag を 選んでリード。 垂壁に箱型の窪みが斜めに連なる、シングルピッチの HVS 5a。 見る限りではそう難しくはなさそう。
ひとつの箱から次の箱へと登るのがなんか楽しい。 上部になると……難易度が増してきた。あれ? ふむ、フィスト・ジャムが なんとか極った、それで越える。そして最後はオーバーハングを 立派なホールド頼りに。思いのほか楽しめるいいルートだった! 三つ星を進呈したい。
フォローのグレアム、後で曰く、「簡単そうに見えたんだけど、 君がジャミングを使っているのを見て、『むむむ、そうではないのかも……』と 思った」と。そして実際、その核心で落ちていた。 グレアムの手は大きすぎて、フィスト・ジャムができなかったという。 ということは、グレアムはある意味、登り方の読みと言う意味で オンサイトできた(せざるを得なかった)のだから、それはそれで楽しかったかもね?
最後に僕が (去年登り損ねた) Africa Route をリードして締めとする。 最後なので、フォローのグレアムにボルダリング・マットを 一緒に引き上げてもらうように頼む。そうしてグレアムは登ってきたものの……、 途中でずいぶんと手間取っている様子。何をしているのかと思えば、 マットがうまく引き上げられず、 結局、途中のレッジで 滑車システムを作ってそれで引き上げていたそうだ。 あらら。(大回りながら)登山道経由でマットを持って登ってきた方が速かったか。 まぁ、一旦始めたものは仕方ない、 フォローが(そういう機転がきいて技術のある)君でよかった。
△以上、記録の一部。全文は、以下に載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20080509_cornwall.jis.html
登山ミニ知識編 〜〜 岩登り難易度の感覚 (その二) 〜〜
(前号「岩登り難易度の感覚 (その一)」からのつづき。)
前号で初心者が登る場合の(英国式)難易度の感覚を解説しました。 今号からザイルワークをマスターしてリードする場合の感覚を 解説していきます。
まず、リードを始める場合、Diff(icult) (UIAAで II級くらい)や VDiff から始めるのが推奨されています。 初心者でも一般論としては(緊張はするにしても技術的には)ほぼ苦もなく登れる程度。 理由は、とにもかくにも中間支点をちゃんと取れる技術を身につけない ことには永久に安全な登攀は不可能で、その技術は、自分に余裕のある 状態、つまり易しいルートを登る中で習得すべきだからです。仮に中間支点を セットして、それが実は信頼できないものでもしそこで落ちたら、地上まで 落下する可能性があります。だから、自分の技術に自信が持てるようになる までは、絶対に落ちないレベルのルートを登るべきです。
加えて、慣れないうちは、しっかりした中間支点を取るのに相当の 時間を費やさざるを得ないことが多いものです。また、力の抜き方、 うまくスタミナを温存する仕方もまだよく分かっていないでしょう。 めまいしそうな高度感にめげずに、こわばった腕で時には 長時間ぶら下がりながら中間支点をしっかりとセットするのは、 楽ではありません。もし自分の限界に挑戦していれば、 腕や体がそれだけ疲れてしまった段階で、完登は望み薄、つまり 落ちる可能性が現実のものとなります。この点で 単に登ればいい、というフォローの立場とは決定的に異なります。 だから、リードを始める場合、この難易度から始めるのが推奨されて いる次第です。
なお、普通落ちない、とは言っても、ルートとその人の相性に よっては例外もあるので要注意です。VDiff になると、一箇所くらい オーバーハング(バルジ)があってもおかしくありません。 有名なキュウリン・リッジ横断の核心は VDiff のオーバーハングですが、 初登時にリーダーは落ちたと聞いています。 僕も(雨の日だったとはいえ) Diff の核心のオーバーハングで 落ちたことが一度あります……。
年に数日登るか、というクライマーなら、何十年も (リードなら)この難易度までで登り続けるかも知れません。実際、岩場に行くと、 この難易度のルートだと、先に登っている人がいる可能性が少なからずあります。 一般に、難易度とルートの質(どれくらい楽しいか)とには必ずしも 相関はありません。つまり、この程度の相対的に易しいルートでも素晴らしい ルートはたくさんありますから、本人が楽しんでいればそれで大いに結構です!
(つづく)
Webページ更新情報
- この記事は、以下にも載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/magazine/backnumber/eu085.html
次回予告
次回は… 「中央ウェールズ初訪問 (カデー・イドリス)」
See you later!
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