△第91号: 英国湖水地方で沢登り入門
- 発行日
- 2009/05/30
- 発行者・筆者
- まさ (坂野正明)
まさです。
日本に独特の登山文化に、沢登りがあります。 渓流を文字通り沢づたいに、水の中にばんばん入って、時には
泳ぎさえしながら、登っていく登山の形態です。 杜の国の日本は渓流にこと欠かず、
山の恵みの源泉ともなっていますからこれを楽しまない手はありません。
沢登りがなぜ日本に特有か? まず、沢『登り』のためには、 急峻な渓流が必須です。流れているかどうかも分からないような アマゾン川では日が暮れる……。あるいは、木がなくて、 砂漠や広大な牧場の中の川だと、これもまた少し興醒めです。 それから、気候が温暖でないと水の中に入る気もしません。 一方、熱帯だと、今度は困った虫や蛭や魚や蛇や あるいは鰐が待ち構えていて、命の危険があります……。 適当な条件を兼ね備えた気候は世界でもそう多くありません。 しばしば箱庭にたとえられる日本の風土こそ最適なのです。 沢登りが実質上日本に特有な登山形態である由縁です。
さて、では英国はどうでしょう? 実は沢登りに類するものが無くはありません。日本とは少し異なりますが。 日本を出る時に沢登りグッズはすべて山仲間に譲ってきた僕でしたが、 沢登りが恋しくなって、2年前に帰国した折、池袋の秀山荘に 出かけて一式再び揃えたのでした。 そして昨夏……はじめてその機会がありました! 以下、その記録を今回の主題に据えます。 また久々に、登山(沢登り!)の英単語を紹介します。 お楽しみ下さい。
目次
登山記録編 〜〜 英国湖水地方で沢登り入門 〜〜
8月初頭の週末、湖水地方へ。雨がちの予報だし、沢登り日和? パートナーのクローディアは カヤッキスト、本格的沢登りは未経験なれど、水に入るのには抵抗ない。 では、沢登り入門といきますか。
土曜日、 Patterdale の Link Cove Gill へ。アプローチは防水でない靴だったもので随分気を遣ったものだったが、 沢靴を履いた途端、百人力の気分(ラン♪)。泥も気にしなくていいし、 小川を横切るのもじゃぶじゃぶと入っていけるのだからすばらしい! 一番最初は抵抗があった様子のクローディアもすぐに悟ったようだ。 一旦、濡れりゃ同じってね。
じきに滝にぶつかり、しぶきをあげて登る。 そしてすぐに次の滝。今度は本気で濡れる! これぞ沢登り! クローディアもびしょ濡れになって楽しそう。
やがて暗く狭まった向こうに滝が見える。核心。 水量の多い今日は、結局、巻いて、上からザイルで確保して
ちょっと登攀を楽しんでみる。
その後も滝が連続していく。登れそうなら登り、そうでないと横から巻く。
そして最後、ほとんど突如として、平坦な場所に出る。沢登りの終わりの地点。 英国の沢登りも悪くない! 楽しい一日だった。
そして、翌日。今日も雨がち。 もうしっかり濡れている以上、今日も濡れた遊びを致しましょう。 ボロデイル(Borrowdale)のサワーミルク川(Sourmilk Gill)。 歩登攀の難易度 1〜3 の三つ星ルート。湖水地方の沢登り(gill scrambling)の ルートの中で一番人気だとか。
駐車場を離れてほとんどすぐに沢の取付。じゃぶじゃぶと川に入っていく。 小さな滝を 2、3越えた後、大きな滝の前に立つ。 気温
15℃程度でおまけに雨、お世辞にも暖かいとは言えない今日、 僕が(弱気に)どちらの側から巻こうかなぁ、と考えていたところ、
クローディアから声がかかる。
「あなた、先に登る? それとも私から行こうか?」
「登る……って、この滝を?」滝の中央を指差しながら僕が応答。
「もちろん!」
おぉっ! わずか 1日、数時間の沢登りの後、すでに沢登りの 楽しみ方を極めてくれているとは! お見事!
僕の方が経験もあり、登攀技術にも優れ、装備もしっかりしている以上、 僕が先に登らねばなるまい。
「オーライ……僕が先に登るよ。」
結局のところ、これは沢登り。濡れてなんぼでしょう?
滝に突入!
……全身びしょ濡れになった。あはは、素晴らしい!
この沢は横に登山道が走っている様子だ。 しかし雨の日の今日、ほとんど登山者は見かけない。静かなものだ。 顧みれば Seathwaite からその向こうの Stonethwaite Fell (山地)が望める。 いい感じ。
沢登りを終えて Seathwaite まで下山した頃に、ようやく雨が止んでくれた。 そして……、綺麗な虹が出現! 地平線近くにかかる、 完璧な虹。そのうえ幻日までも現れる。 雨も悪くない? 最高の週末だった。
△以上、記録の一部。全文は、以下に載せました (虹の写真付き!)。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20080801_laked.jis.html
登山ミニ英語編 〜〜 沢登りの英単語 〜〜
今回、沢登り関係の英単語を取り上げます。 ただし、沢登りは日本特有の登山形態である以上、 確定した単語が無い場合もあります。近いものを挙げておきます。
- gill (ghyll, gorge) scrambling: 沢登り (湖水地方だと gill が、ウェールズだと gorge が多い様子。ghyll は少し文学的)
- wading shoes: 沢靴
- gorge(s): (両側の切り立った)渓谷
- gill(s)/ghyll(s)/beck(s): 小川、沢、渓谷 (湖水地方)
- fork(s): 支流の分岐(点)
- cascade(s): 小滝、段々滝 (滝は (water)fall)
- river bed(s): 川底
- wade: (水の中やぬかるみなどを)(苦労して)歩く
- paddle: 浅瀬をばしゃばしゃ歩く
- jump in/dive/plunge: 飛び込む
△以上、以下の「登山に関する英語豆知識」にも載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/lang/english.html#gillscrambling
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/lang/english.html#map-river
Webページ更新情報
- この記事は、以下にも載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/magazine/backnumber/eu091.html
次回予告
次回は… 「司祭の洞穴で豪華ディナー」
See you later!
◎発行: まさ
WWW page: http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/
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