△第49号: 新春の英国最高峰北壁登山 (前編)
- 発行日
- 2007/05/21
- 発行者・筆者
- まさ (坂野正明)
まさです。
今回から、まぐまぐ! からも配信することにしました。まぐまぐ! から 登録して下さった読者の皆様、ありがとうございます。本メルマガは
約1年半前に開始したもので、発行号は当時からの通巻で記させて
頂いています。過去号(バックナンバー)は、以下から御覧になれます。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/magazine/backnumber/
本メルマガでは、時折、見慣れない登山技術用語が説明抜きで登場する かも知れません。過去に解説したものもあれば、まだ
説明の機会がないものもあります。もし疑問がありましたら、どうぞ 遠慮無く僕の方までお尋ね下さい。
今回から、2、3回に分けて、2007年の最初を飾るスコットランドでの新春登山
特集とします。天気に恵まれたとは言い難かったものですが……、 冬のスコットランドで天気を気にする方が
間違ってますわね。得難い経験になった登山でした。 今回の題名は英国最高峰となっていますが、今号(前編)は、それの前哨戦の
別の山の登山から入ります。
(まぐまぐ! から登録の 皆様には、いきなりハードコアで始まることになりますが……、この新春登山
は僕の経験で最もハードな登山のひとつでありましたから、普段は これよりはもっと気楽な号の方が多うございます)。
お楽しみ下さい!
目次
登山記録編 〜〜 新春の英国最高峰北壁登山 (前編) 〜〜
今年の正月は、グレアムと彼の友人ベンと共にスコットランドで過ごす。 ベンは、現在アビモア(Aviemore)村近くに住んでいるので、彼の家に 泊めさせてもらう。アビモア村は、ケアンゴーム山域 への拠点村という非常に便利な場所だ。そこを拠点に山行三昧 — 持つ べきものは友か? (笑)
ケアンゴーム山は、内陸に位置して標高がある(1245m!)ため、英国で 最も寒い(ことが多い)ことで知られる。つまり、コンディションの読めない この時期としては、最高の場所だ。初日は、グレアムと二人でこの ケアンゴーム山に向かうことにする。
△01/02
今日の天気は曇で霧がち。しかし、気温は高くないし、嵐ということもない から不平は言えまい。 ただ、初めての山で視界 50メートル以下というのはなかなか辛い。 ここがルートの取り付きかな、というところに着いて、その場にいた 別のパーティーの人に 尋ねたところ、どうも僕らは東に来過ぎたらしいことが判明!
あらら。では、戻るのも面倒だし、前面のルンゼを登りますか。 懸案だった雪崩の危険はまずなさそうだから、それで特に不満もなし。 Jacob's ladder、(Scottish) Grade I。 この北壁で最も有名なルートの一つ。僕のリードでコンテで登り始める。
最初の岩の乗り越しの後、主に軟雪の斜面に時折、ちょっとしたボルダリング。 中間支点は完璧ではないにせよ、なんとか十分か。 最後の稜線への乗り越し部だけピッチを切った。 本来なら、きのこ雪の登攀になるべきところなのだろうが、今は 2、3メートルの 垂直の岩。ここが核心。でもそう悪くもなく、ピッケル 1本で問題無く乗り越える。 今日の条件下では、この谷は Grade II と言うべきだろう。 グレアムにとって、冬期登攀へのいい入門となったことを!
ここからは稜線沿いにケアンゴームの頂上を踏んだ後、 一般道に沿って下る。途中のスキー場で、 ところどころ岩が見えているというのに多くの人が スキーに興じていたのが印象的だった。
(つづく)
登山ミニ知識編 〜〜 英国冬期登攀 (その一) 〜〜
スコットランドの冬期登山の最大の特徴は、ひとつは伝統登攀、つまり ボルトなどの固定支点はなく(ピトンが残されていることはありますが)、 支点は基本的に自分で全てセット(+回収)する、ということにあります。 もうひとつは、気候的に不安定で、雪や氷がいつもあるとは限りません(!)。 つまり、(北大西洋海流などを考慮した時の)緯度、高度が十分でないため、 冬のただ中でも、山の山頂まで含めて英国全土で 0℃以上ということが 少なくありません。このことに加えて、山の規模も大きくない(最高峰でも 1350m弱)ので、ルートまでのアプローチは一般に短くて済みます。 (もちろん雪の状態にもよりますが)ルート 取り付きまで 1日以上かかることはそうありません。むしろ、多くのルートは、 駐車場から 1日で登って降りてこられます(夜明けよりずっと前に出発して、 日没後に帰ってくる、長い 1日という意味になることが普通ですが)。
日本に比べると(もちろんどの山と比べるかに依りますが……)、雪はずっと 少なく、何メートルもの雪が積もる場所はまずありません。一方、ミックス 登攀や氷壁登攀を含めた冬期登攀は盛んです。実際、冬山に入ったことも ろくになくても、氷壁登攀の経験はある、という人も決して少なくありません。 スコットランドはともかく欧州本土の方なら、それこそ舗装道路脇の氷を 登れたりしますしね。 また、スコットランドはそう寒くない、ということは、氷壁登攀の条件は 悪くない、ということでもあります(寒過ぎると、氷が脆くなる)。
スコットランドは、もちろん、北に行けば行くほど寒くなる傾向があるのは 事実ですが……、しかし、時にはスコットランド北端よりもイングランド南端 の方が寒いことさえあります — つまり、緯度による気温の違いは 思うほどにありません。日本で北海道の気温と鹿児島の気温が逆転することは 考えられないことを思えば、対照的ですね。
全体的には、西部の方が雪(雨)が多く、東部の方が乾いて寒い傾向が あります(これは日本と同じですね)。加えて、海岸そばだと、寒くなりにくい、 という傾向もあります。日本のたとえば北陸地方と決定的に違うのは、 温度がさほど低くないため、雨が多い、つまりせっかく降り積もった雪も すぐ融けてしまうことが少なくないことにあります。 また、山の高度は当然、気温に大きく影響します。
(つづく)
Webページ更新情報
- この記事は、以下にも載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/magazine/backnumber/eu049.html
次回予告
次回は… 「新春の英国最高峰北壁登山(中編) 〜〜 いざ最高峰目指し」
See you later!
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