総括
- 山域
- Lake District/Langdale & Scafell/Jack's Rake, Ill Crag,
Scafell Pike etc.
- 参加者
- アダム, まさ (ULMC)
- 期間
- 2004/05/01 -- 2004/05/03 (2泊3日)
- 2004/05/01 Leicester ..(車).. Langdale Vally (標高約90m) ... Jack's Rake ... Pavey Ark (701??m) ... Harrison Sticle (736m) ... Pike of Sticle (709m) ... Langdale Vally (幕営)
- 2004/05/02 Langdale Vally ..(車).. Hardknott Pass (約100m) ... Ill Crag (935m) ... Broad Crag (932??m) ... Scafell Pike (978m) ... Mickledore ... Wasdale Natural Trust Camp site ..(車).. Langdale Vally (幕営)
- 2004/05/03 Langdale Vally ..(車).. Leicester
- 宿泊
- 幕営 (New Dungeon Hotel@Langdale Vally のキャンプ場にて; 定着型)
- 天候
-
- 2004/05/01 晴
- 2004/05/02 快晴後曇
- 2004/05/03 晴時々雨
登山編
月曜日が祝日という3連休を利用して、湖水地方に出かける。scramblingが目的
だが、岩登りもできるかも。宿泊は幕営、いわゆる定着型山行になる。
アダムの家で合流する。ふと気付くと、彼は、新妻としっかと抱き合って一時の
別れを惜しんでいる…席を外す私。そう、この連休、彼は奥さんを放っておいて
私と一緒に登山に来ることを選んだのだ。日曜日にあった用事も、無理矢理他の 人に替わってもらっていたし。意気込みやよし!
願わくは天候に恵まれることを。
主目標は、湖水地方(つまりはEngland)で最も有名なscramblingのルートという Jack's Rake。Grade 1 なので、ロープは必要ないはず。1月にWalesで一番のCrib Gochを楽しんだので、今回で、 EnglandとWalesとの一番人気を極めることになるか。
初日(5/1): Langdale Vally/Jack's Rake
レスター発8時半。Ambleside を過ぎて、Langdale Vally のキャンプ場に到着。 連休だけあってNatural Trustの半公営キャンプ場は満員だったが、近くの New Dungeon hotel のキャンプ場は余裕で空いていた。牧草地のような場所に車を停 めてすぐ横にテント設営。速攻で、今日の目的地、Landale Pikes の中の Jack's Rake に向けて出発。14:15。
下ってくる家族連れに次々とすれ違う。Sticle Tarn に着いてしばらく行く と、同僚かつULMCのOBのアンドリューにばったり出会った。びっくり。湖水地方 に詳しい彼から色々と情報を聞き出して、いざ Jack's Rake へ。壁を斜めに走 る、間違いようのないルートが池の向こうに見える。既に登っている人の姿も。
ざれ場を少し登って、取り付きへ。アダムはギア・アップ。やる気満々。私もヘ ルメットをかぶってスリングを肩にかけて、いざ出陣。それなりの高度感はある。 しかし、ルート自体が狭くはないので、特に激しく緊張ということもなく、ゆっ くりと愉しめるルートだ。中間点で、VDiff というチムニーを右に見て、次が核 心。余裕で越えて、しばらく行くとリッジが終わる。Jack's Rake は、下に池を 眺める眺望がなかなかいい一方、高度感や長さの点では、Crib Goch に後れを取 るかなぁ。
少し歩いて Pavey Ark の山頂へ。Langdale Vally が一望のもとに。Scafell Pike の方もよく見える。ここからガイドブックのルートを行くのは、時間的に 無理、ということで、Langdale Pikes を回って帰ることにする。ここの最高峰 Harrison Sticle を踏んでから Pike of Sticle へ。広い稜線歩きの中で、ピー クの部分だけ少し聳えている感じだ。
Pike of Sticle から、Footpath を通って Raven Crag の方に出る予定が…、ど うも Footpathが 現在整備中のようで、Pike of Sticle から通じるはずの地図 に出ている道がない。Thorn Crag の方に少し道を外れつつも、無事修正して、 よく整備された Footpath をだらだらと下る。やがて、キャンプ場へ。
晩は、私がアダムに食事をご馳走した。α米にインディアンと中華との中間のよ うなソースで。アダムはα米にいたく感動していた。英国では手に入らないのが 残念だ。その後、キャンプ場の隣のパブで一杯やって、就寝。
二日目(5/2): Scafell/Ill Crag -- Scafell Pike
今日は、Ill Crag から Scafell Pike へのscramblingに行くことにする。私が 事前に選んだ候補のひとつであり、昨日、偶然会ったアンドリューのお勧めでも ある。Grade 3 で、England 最高峰の Scafell Pike にも登れるとあって、アダ ムも二つ返事で賛成だった。
しっかりと朝食をかきこんでから車で移動。10:00 いざ出発。ちょっと遅くなっ たか。昨日はたくさんのウォーキングの人に会ったが、今日のルートは、歩くだ けでも15kmでは済まないので、予想通り、人はかなり少ない。最初はとにかくほ ぼ平坦な道をひたすら川に沿って。Footpath にしては道がそれほどは判然とし ない。地図読みが不可欠。この川、今の季節は水が冷た過ぎるが、夏にはそれな りに沢登りが楽しめるかも知れない。ある小さな釜ではダイビングをしている人 がいた。ただし、牧場と岩場のただなかを流れる川なので、木々に囲まれた日本 の沢登りの雰囲気はないが…。
13:10、ようやく Ill Crag の取り付きへ。今日は、二人ともハーネスを装着し て、ギア・アップする。最初は軽いウォーミングアップの岩場。次は、ちょっと 急か。私は横側から、アダムは正面から登る。私が登り終わった後、アダムに声 をかけると、ちょっと厳しそう。ロープを出して、上から確保した。実際、上か ら見ると、アダムの取ったルートは、結構厳しいことが分かる。アダム、ちょっ と落ち込んだ様子。ロープがあるんだから、別に落ち込まなくてもいいんだけど。
続いて、今日の核心。ここはロープを使ってアダムがリードすることに。うまく ランニング・ビレイが取れずに、苦労している模様。本来のルートでなく、右横 にトラバースして登る。40mくらいロープを出した。登ってみると、ロープ無く ても登れる程度のルートだと感じた。
ここでかなり時間を費やしてしまったので、この後は、ちょっと飛ばす。Ill Crag は、岩場を直接登る以外に、横にパスできる場所がそれなりにある。ただ し、岩のがれ場だと落石が怖いから、岩場のすぐ横を通る感じになるが。そうい うわけで、直登を避け気味に高度を稼いだ。やがて Ill Crag 山頂に辿り着く。 16:20。
この頃には、山頂は雲に覆われてしまって、視界はあまり効かなくなっている。 結構、寒い。Ill Crag で3時間も費やしてしまったので、そそくさと山頂 を後にして、Broad Crag、そして Scafell Pike へと向かう。Scafell Pike 到 着 17:15。視界は数十メートル。
ひと息入れて、Scafell へ。2.5mだけの Grade 3 があると言う。しばらく降り たところで、道が右に直角に曲がる。右に直角? おかしいなぁ、と思いつつ、ジ グザグじゃないの、というアダムの声を頼りに、道なりに。さらに高度差140mほ ど降りたところで、やはりおかしい、と確信し、先の曲り角まで登り直す。左に 直角に曲がるはず…しかし、どう考えてもルートは見当たらない。もう一度、地 図をよく見て…、現在位置がはっきりした! 山頂近くで分岐があったのを見過ご して、間違った方に降りてきてしまったのだ。視界が無いというのに、疲れから 地図の確認を怠っていたのが敗因…。やむなく、山頂まで登り返す。無駄足を踏 んだ標高差260m…。
今度は注意して降りる。非常に明らかな分岐があるではないか。こんなのを見過 ごすとは…。Scafell への分岐までようやくにして辿り着く。ただし、時間がも うかなり遅い(ツェルトを持参していたのがこれほど心強く感じたことはない!) ので、まず Scafell を越えていく下山路は諦める。また、本来の駐車場へのルー ト(南東)はかなり遠いので、最短下降ルートである西側へのルートを降りること にする。完全に逆側だが…背に腹は変えられない。
ルートを降り始めた時、Scafell へ向かうの登山道にいるミニスカートの犬を連 れたおばさんが見えた。私どもと同じ場所に降りたかったらしい。それも、実は 別のルートから、というつもりだったらしいが、完全に道に迷っていた模様。地 図は持ってはいたが、あまり役に立ってなかったかな。私どもが自信を持ってこ ちら、と指し示すと、かなり安心した模様。彼女、やがて下の湖が見えると、嬉 しそうに、すたこら降りていった。彼女の登った登山路だと確信できたようで。
この下降路、私は右膝にちょっと痛みを感じていた。明らかに訓練不足が原因。 二日連続の岩場1000m登下降に、膝が悲鳴をあげたか。実はアダムも同じで、し かも、私よりずっと悪そう。見るからに痛々しかった(だから、道迷いのおばさ んの方が速かったわけ)。こちらのルートを取っていてよかった。本来の長いルー トだと…本当に辛かったことだろう。
ようやくWast Water湖ほとりの公衆電話に辿り着く。21:00。まだ明るい。陽の 長いこの時期でよかった。1時間半待ちになったが、なんとかタクシーを捕まえ られた。ほっ。タクシー代6000円の出費は痛かったが、やむを得まい。やっとキャ ンプ場に辿り着き、手早く夕食にして、就寝は日が変わった 00:45。疲れた〜。
三日目(5/3): 帰途
朝、ゆっくりと起き出して、もそもそとレスターに向けて出発。雨の予報が、天 気はそう悪くなくて、晴れ時々小雨、という感じ。十分、登山できる。とは言え、 アダムの膝の調子はとても登山できるものではないので、問答無用で予定通り帰 ることに。Ambleside に少し寄って、一路レスターへ。運転おつかれさま!
環境保護?
山に出かけた時、自然に対して如何にインパクトを低く抑えるか、というのはひ とつの課題だろう。たとえば、登山道を守り、脇にそれることで新たな「道」を 作ったりしないことは常識だ。
さて、今回、湖水地方の Langdale Vally 付近で周りの山を見渡すと、緑の部分 とそうでない部分がかなりはっきり分かれるのが分かる。特に、ある一定の高度 で、測ったようにそこから下だけが緑になっている。
実際に山を歩いて、理由がはっきり分かった。緑の部分は羊のための牧草地だっ た。つまり、人間が緑の草を敢えて生やしているわけだ。うーむ、これだと、道 を外して、草をがんがん踏みつけて歩いても、罪悪感ないなぁ。結局、人工的な ものなわけで。その昔は緑だったらしいが…、今は、牧草地になっている場所と、 禿げ山の場所としかないわけだ。悲しい気がする。
タイム・テーブル
時刻 | 行動 | 高度(m) | 温度(℃) | 歩数(複歩) |
2004/05/01 (Leicester → キャンプ場 → Jack's Rake → Pavey Ark → Harrison Sticle → Pike of Sticle → キャンプ場) |
||||
---|---|---|---|---|
14:15 | キャンプ場 (New Dungeon Hotel) | 25 | ||
14:40 | 休憩 (5分) | 500 | ||
15:05 (15分休) | Sticle Tarn | 500 | ||
アンドリューに会っておしゃべり(10分?) | ||||
15:50 (10分休) | Jack's Rake のたもと (アダム、ギア準備) | |||
16:30 | Pavey Ark 山頂 | |||
17:05 | 発 | |||
17:25 (5分休) | Harrison Sticle 山頂 | 736 | ||
18:00 (15分休) | Pike of Sticle 山頂 | 709 | 19 | |
Loft Crag横のPublic Pathが工事中で、Thorn Crag上に迷いこむ | ||||
19:00 (5分休) | Raven Crag の上 | |||
19:45 | キャンプ場 | |||
2004/05/02 (キャンプ場 →(車)→ Hardknott Pass → Ill Crag → Broad Crag → Scafell Pike → Mickledore → Wasdale Natural Trust キャンプ場 →(車)→ キャンプ場 |
||||
06:30 | 起床 | |||
07:30 | 10 | |||
10:00 | 発 | 14 | ||
10:55 (10分休) | Lingcove Bridge (Lingcove Beck と River Esk の分岐) | 1720 | ||
11:30 | Throstlehow Crag 横 Scafell Pike と Ill Crag が美しい |
635 | ||
12:15 (20分休) | 河原 | 1400 | ||
(この間、どこかで 5分休) | ||||
12:50 | Ford | |||
13:10 | 取りつき | |||
16:20 (10分休) | Ill Crag 山頂 | |||
16:50 | Broad Crag 山頂 | |||
17:15 (15分休) | Scafell Pike 山頂 | |||
迷う | ||||
19:45 | 正しい分岐点 | |||
21:00 | National Trust キャンプ場 | |||
00:45 | 就寝 | |||
2004/05/03 (キャンプ場 (Langdale Vally) →(車)→ Leicester) |
表注:
歩数は、その前の項目からの歩数(複歩)。 Ford とは、小川を渡る場所。橋はない。
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まさ