△第96号: 雲の上に聳える五雲
- 発行日
- 2010/03/31
- 発行者・筆者
- まさ (坂野正明)
まさです。
大変、御無沙汰しています! 今年の日本の冬は、寒波と大雪に始まり、その後、暖冬だったと
聞いています。一方、欧州の方は(日本でも報道されていたようですが)、
大寒波に襲われていました。イングランド中部のミッドランド(Midland)で さえ、道路が
2週間くらい凍結して混乱がありました。スコットランドでは 観測史上最低気温を記録したり、あるいは場所によっては 1カ月以上に
わたって家の水道管が凍結して使えず、雪を融かして水を作っていたと 聞きます。
これは言い替えれば、冬山の条件としては最高だった、ということです! 実際、滅多に凍らないピーク地方のキンダーの滝(Kinder Downfall)も 凍結して、ここ 20年間で最高という条件の下で氷壁登攀を楽しむことさえ できました。スコットランドはもちろんウェールズや湖水地方でも 新ルートが次々に登られました — 次に冬期登攀の条件が 整うのは 20年後か、あるいは現在の温暖化の傾向を考えれば ひょっとすると最後の機会になるかも、というわけで、クライマーは皆、 勢い勇んで山に入っていった次第です。僕ももちろん例外ではなく、 冬山登山に忙しい 3カ月でした。そしてこの週末をまたいで復活祭の休暇なので、 再びスコットランドに冬山登山に行く予定です。
そんな次第で、メルマガを書くネタには困らないものの、 書く時間の方が取れていない状況です。個人的には嬉しい悲鳴ですが、 読者の皆様には失礼しております!
今回は、1年少し前のピーク地方岩登りの 記録を主とします。美しい写真が撮れたのが何より印象深かった 山行なので、よかったらウェブサイトの方も御覧下さい。 あわせて、第86号に 引続き、秘伝「寒く冷たくならない方法」 (その二) も書いています。 お楽しみ下さい。
目次
登山記録編 〜〜 雲の上に聳える五雲 〜〜
ザ・ファイブ・クラウズ (The Five Clouds) に来る。 天気予報はよくなかったのだが……、 これくらいでくじけていては、という次第。 道路脇に着いて、息を飲む。 眼下に広がる雲海! ここの標高はわずか 300メートル程度しか 無いというのに。見事なものだ。
まず、
Marxist
Undertones にトライする。VS 6a(!)。 VS で 6a なんて技術難易度は見たことがない……。
核心は地面から 3メートル上、立派なポケットからダイノだとか。 背が低くリーチの無い僕には易しくはないと予想するも、
何度もトライすれば何とかならないか?
……ならなかった。
VS なのに登れないとは! 笑うしかない。
断念。おまけに次のルートも中途で断念、今日の登攀終了とする。
……つまり、1本も完登できなかった。まぁ、そういう日もあろう。 しかし、温度反転状態はこの時点でもまだ続いている。
夕陽に輝く眼下の雲海が素晴らしい。 下界にいたら雨がちのろくな天気ではなかったに違いない。
岩登り自体はともかく、天気という意味で非常に幸運な一日だった。 なかでも景色は抜群!
△以上、記録の一部。全文は、以下に載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20081129_roaches.jis.html
登山ミニ知識編 〜〜 秘伝「寒く冷たくならない方法」 (その二) 〜〜
(第86号 (その一)からのつづき。)
寒く・冷たく感じたくない時、その原理第一は、 1. 外界気温を高める と書きました(湿度、風力なども含む)。外にいる限り、 当然、自分の体が現在接している 外界気温を変化させるのは不可能か極めて困難です。 しかし、注意すれば、「外界」を選ぶことは往々にして可能です。 たとえば、稜線を歩く時でも、風下側を歩けば、風から 遮断されるので全然違うでしょう(雪の状態や雪崩の危険性は 別問題です! — 一般論としては風下側に雪庇が発達している ものなので、避けた方がいいことが多いという皮肉があります)。 それが無理でも、稜線に突き上げる直前に休憩を取って、 風当たりの強い稜線上は一気に通り抜けると、相対的に 寒くないことになります。
あるいは、ピッケルの持ち手の部分に断熱材があれば、 金属むきだしのピッケルを一日保持しているのとは違いが出てきます。 もし平坦でどちらの手でピッケルを保持していい状態であれば、 時折、持つ手を入れ替えることで、手を(冷たさから)交互に休めることが できるでしょう。あるいは使っていない手があれば、 その手は風に対して体の陰に置くように気を遣います。 細かいこととはいえ、こういうことの積み重ねが 結構、効いてくるものです。
行動中、体が接する外界気温を積極的にコントロールできるほぼ唯一の 方法は、懐炉を使うことです。 靴の中に入れて使うことができる 懐炉も売られています。ただし、厚手の登山靴、靴下にオーバーズボン、 スパッツなどで防護された靴の中は酸欠状態なので、懐炉は それほど有効ではありません。また激しい運動により、懐炉が破れる 可能性も心に留めておく必要があります。加えて、運動中、 足が自然に温まると、今度は懐炉のために暖かくなりすぎて 足裏や足指が汗をかくことになり、その後、結局冷たくなってしまう 可能性も少なくありません。 結局、懐炉は、ポケットの中に一つ忍ばせておいて、時折 手を温めるのに使うくらいが現実的だと言うのが、 今の僕の見解です。
懐炉の代わりに、朝に沸かした湯を水筒に入れてヤッケやジャケットの内に 入れて持ち運ぶ、という手はあります。湯たんぽですね。 遠からず水温は落ちるので湯たんぽとしては一時的効果しかありませんが、 早朝にまだ体が温まっていない時に、精神的に元気づけられます。 加えて、これは氷点下の環境で水をなるべく凍らせずに持ち運ぶ一つの 方法でもあります。
(つづく)
Webページ更新情報
- この記事は、以下にも載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/magazine/backnumber/eu096.html - この月とその先月に行った岩登りの記録(Rivelin, Castle Naze, Stanage Edge(2回),
Snowdonia, Roaches)を以下に載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20081012_rivelin.jis.html
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20081018_castlenaze.jis.html
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20081019_stanage.jis.html
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20081026_stanage.jis.html
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20081030_snowdonia.jis.html
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20081108_roaches.jis.html
次回予告
次回は… 「ラ・グラブの氷壁再訪」
See you later!
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