[Japanese / English]
総括
- 山域
- Peak District/Chatsworth, Gardoms
- 参加者
- アンディ・R、まさ
- 期間
- 2006/07/02 (日帰り)
Chatsworth- Sentinal Buttress Area/Cave Crack (14m S 4a); Leader Masa
- Sentinal Buttress Area/Sidewinder (10m HVS 5a); Leader Masa
- Apple Buttress Area/Apple Arete (18m VS 4b); Leader Masa
- 天候
- 晴後雷雨
登山編
地元の人工壁登り仲間のアンディと初めて外に登りに来る。アンディは 人工壁は週に
2度ほど通っているが、外での岩登りの経験はほとんどないらしい。 では、二、三の岩登りの場所を梯子して、楽しんでもらいましょうかな。
僕としては一年ぶりのチャッツワース
くらいから始めて。
今日の空は、晴れ渡っている。楽しい岩登りの一日になればいいな。
必然的にリードは僕。 最初は Severe の Cave Crack から始める。一年前にアダムが 登ろうかどうしようか迷った末、やめたルート。 14m と比較的長いので、アンディにも楽しんでもらえるかな? 気持ち良く登り切る。
チャッツワースには、ジョー・ブラウンの HVS 5b のクラシックルートが あって、前回来た時より、次回こそは登りたいと思ってきた。でも、HVS 5b だと僕にはそれ相応の格闘が予想されるし、落ちる可能性もある。 今日の確保はまだ経験の少ないアンディなので、今日はそれはお預けにして、 少し易しめの HVS 5a の Sidewinder を登る事にする。
アレットに出て……、あれ、上が結構難しいではないか。ありそうで、 適当なホールドがない。あと 15cm リーチがあれば届くあのホールドが……と 無いものねだりしてしまう。このフットホールドを使って、うんと手を 伸ばして……フォール! 何たることか! 落ちないように、と選んだこの ルートで落ちてしまうなんて! アンディがちゃんと確保してくれていて、 よかったってものだ。ふぅ。
再挑戦。もう一度、念入りに岩を調べて、別のムーブを編み出す。今度は うまくいった。上まで登り切る。ふー、緊張してしまったよ、予想外に。 そういえば、 前回、チャッツワースに来た時も、 簡単な「はずの」ルートで落ちたんだった。因縁?
ここでチャッツワースを切り上げて、ガードムズに向かうことにする。 時間があれば、その後、帰りに、バーチン・エッジにも寄れたら、と。 30分ほどかてくてく歩いて着いた頃には、少し空が暗くなってきている。 遠くに黒雲が。あんなに天気がよかったのに。
一グループのクライマーがいたが、彼らが終わり次第、速攻で三ツ星ルートの Apple Arete を登る事にする。VS 4b だから、速攻のはず。ちょっとした塔を登る 感じで、これは気持ち良さそう。
ギア・アップして登り始めるとすぐに小雨が散らつき始めた。これは本当に 速攻で登らなくては! 急ぐ、急ぐ。実際、難しくない。高度感が素晴らしい。 確かにいいルートではある。
塔の頂上まで登り切った頃には、雨足がちょっと強くなってきている。 ハーネスに合羽をぶらさげていてよかったかも。合羽を着てからアンディの確保へ。 遠くに雷も聞こえている。アンディ、これはやばいかも、速く登ってくれ!
アンディが登るにつれ、雨足はさらに強まる。おまけに雷も近付いてきている! げげげ。こんな塔の天辺で、金属製品に囲まれて、導火線ならぬ濡れたロープに 結ばれて……でもアンディを確保している以上、逃げるわけにもいかない……アンディ、 頼むから一刻も速く登ってくれ!
塔の上部まで 3メートルのところで(実はその上が核心)、アンディは右横にトラバース することに決める。そこに細いレッジがあるので、確保されていれば、トラバース して、樹林帯に逃げられる。 アンディが安全地帯に行くやいなや、僕はロープを下に落とし、金属製品も身から 外して、アンディに合流する。今や雨は叩きつけるように降り、 空には稲光、地面も雷が落ちるたびに揺れている。
ガードムズは、樹林帯の中、丘の頂上付近にある。そそり立つ岩場の近くにいても ろくなことはない。多少でも下って、低い所に行こう。しかし、この雨、7月とは 言え、ここはイングランド、冷える。僕はまだ上半身合羽があるからいいが、 Tシャツのアンディは寒かろう……。
樹林帯の中、多少なりとも雨から避けられ、高い木も避けた場所をそれぞれ 見つけ、アンディと僕とは別々に避難する。僕の避難した場所からアンディの 姿は直接は見えないが、いい場所を見つけられただろうか。僕は、もうここでいいや、 とあまりよくない場所ながら、すぐ目に止まったところで落ち着いた のだが、合羽のないアンディにとっては、いい避難場所はもっと大切、 時間をかけて見つけようとしていたのだが。
雷雨はやむことを知らない。ただひたすら雨と雷鳴、地響き。時にアンディと お互いに声をかけあって、お互いの無事を確認、大笑しながら励ましあう。 今はただ、雷雨が過ぎ去るのをじっと待つのみ。
30分ほども経っただろうか。ようやく雷は去っていった。雨もようやく小降りに なってきた。アンディと落ち合う。お互い元気に生き延びて重畳だ。 「自然の畏怖」というものを感じたね、とアンディ。全くだ。
結局、アンディは、最初に避難した場所では、上から雨がこぼれ落ちてきて、 途中で寒さに耐えられなくなって、外に走りに出たのだとか。体を温めるために。 その最中、ちょうどいい洞窟を見つけて、後は快適に過ごした、という。 今日に限って合羽を忘れてきたのが痛恨だったよ、と。いや、僕も、今日、 合羽を使うとは全く予想していなかった。単にいつものものをザックに 放り込んできただけだったのだが、合羽があってよかった、本当に。
駐車場に帰り着いた後、時間を計算してみると、実は、雷雨の中、2時間くらい 耐え忍んでいたことが分かった。げっ、そんなに長かったのか……。 陽が長い時期でよかった。おつかれさま、の一日だった。
というわけで、とんだ一日になったのだが、アンディはなかなかポジティブで、 得難い経験だった、と満更でもなさそうだった。 まぁ、確かに人工壁では経験できないことではあるなぁ。 よかった……かな? (笑)
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まさ