2007/04/06--09 スコットランド/ロッホアーバー登山記録/感想文 (by まさ)

[Japanese / English]



総括

山域
Scotland/Lochaber/Ben Nevis, Glen Coe
参加者
まさ
期間
2007/04/06--2007/04/09 (2泊3日)
  • 2007/04/06 Leicester ...(車)... Fort William (車中泊)
  • 2007/04/07 Fort William ... CIC hut ... Coire Leis ... Ben Nevis (ビバーク)
  • 2007/04/08 Ben Nevis ... Carn Mór Dearg ... CIC hut ... Fort William ...(車)... Glen Coe (ユースホステル泊)
  • 2007/04/09 ホステル ...(車)... 駐車場(GR221563) ... Great Gully Buttress ... Stob Dearg ... Stob na Doire ... Coire Altruim ... 駐車場 ...(車)... Leicester
宿泊
  • 2007/04/06 車中泊 (@Fort William)
  • 2007/04/07 Ben Nevis 山頂でツェルト・ビバーク
  • 2007/04/08 Glen Coe Youth hostel
天候
  • 2007/04/06 曇一時雨
  • 2007/04/07 晴後曇
  • 2007/04/08 曇時々雨
  • 2007/04/09 雨時々曇

登山編

今年の復活祭の休暇、せっかくの連休なのに事前に忙し過ぎて、 ろくに準備ができなかった! パートナーも見つからず、結局、一人で スコットランドまで旅することにした。

今回の第一目的は、雪洞ビバークと定める。一人ならほとんど ビバークしかしてなくて、天幕さえ使う機会がほとんどないこの頃だが、 今まで雪洞に泊まったことはない。4月ならハイランドの高地にはまだ 雪が残っているはずなので……(ベン・ネビスなら、7月でも雪が見られる)、 雪洞を掘れるのではないか、というのが僕の期待だった。

ならば、来る場所は一つしかない。英国最高峰のベン・ネビス(Ben Nevis)。 1月に登った北壁を地図で見てみると、 ここなら雪がありそう、という場所がある。シーズン最盛期には、 避難小屋(←実は、小屋はすでに撤去されていることを現地に来てから知った)が 完全に雪に埋まったりするそうだから、この時期でも残っているのではないか? 先日、講演を聞いた英国最高のクライマーの一人、デイブ・マックリード(Dave MacLeod)は、4月は氷壁登攀に最高の季節だと言っていた。ならば、雪も あるのでは?

04/06

今回、職場の休暇は祝日よりも前後一日ずつ長いので、その初日、 木曜日を利用して、準備して、金曜朝 8時半に車で出発。 本当は 4時とかに出るはずが、すっかり遅くなってしまった。 ……そして、後にその代価を支払うことになった。高速道路の大渋滞! (四)連休初日の昼頃……最悪の時間帯ではないか。

スコットランドに入って北上するも、山々にほとんど雪の影が 見られない。遠くの山頂近くにちょろちょろと雪が見えるだけ。 今回の目的地ベン・ネビスはこれらの山々よりは高いが……十分な雪は まだ残っているだろうか?

グラスゴー以降は、幸い渋滞もなかったが、結局、目的地の Fort William に 着いたのは 20時半。 パブで遅い夕食を済ませて、登山口近くに車を停めて車中で寝る。 後部座席を倒してトランクとつなげて、そこにボルダリング・マットを 敷いたからかなり快適。

04/07

5:20 起床。 ユースホステルでトイレを借りて、登山届けも出して、いざ出発、10:10。 天気のいい今日、そして何と言っても英国最高峰のベン・ネビス、人の数も 多いこと! 登山客がひきもきらない、というところか。時にピッケルを 持っている人もいれど、幾らなんでもそんなんで大丈夫か、という ピクニック気分のハイカーも散見される。

山頂への一般登山道と北壁へのアプローチの登山道との分岐に着 11:15。 当然、ほとんどの人々はそのまま一般登山道を辿っているわけだが、 僕はここで静かな北壁への道へ。雪がどれくらいあるか不明だが、 あるとしたら、北面でしかあり得ない。 喧騒から離れていい感じだ。

僕の前を行くのは、三世代らしき家族連れ。ピッケルを 2本突き刺している 白髪のお爺さんと母親と 15歳くらいの息子(孫)と。すぐ追い抜くかと思ったのに、 相当にペースが速くてびっくり。CICの山小屋前でようやくおいついた。 お爺さん、やりますね! 聞けば、その子供を初めて連れてきた、ということ。 ここから Carn Mór Dearg の南面の雪面を登って、稜線沿いにベン・ネビスに 行くのだとか。途中、ちょっと雪訓なんかもできるかも、と。 いいですねぇ、家族行事ですか。愉しまれますことを!

CICの山小屋からは、遠くに北壁に向かうクライマーの姿も散見される。 山小屋前で会ったある人は、単独で Grade 2 のルートを登るのだとか。 今日のコンディションは悪くない模様。でも、雪の量は、 年始に来た時よりさえ 痩せている感じ。当時は、この山小屋あたりから雪があったものだが、 今日は、まだ 100〜300m くらいは登らないといけない感じだから……。

僕が狙いをつけていたのは、Coire Leis。避難小屋のある(あった)最も深そうな谷。 小屋から見る感じではちょっと雪の量が疑問。その単独登攀者は、 Coire Leis の最奥部まで行けば、十分な雪があるのではないか、と。 それに賭けますか。 独り歩きはじめる。

地図によれば、小屋の近くに池がある。この時期はまだ雪で埋まっていそうな。 地形から言って、その池の近くならどうか……と目星をつけていたが、 雪の量は少なそう。やはり最奥部まで行く必要がありそう。 さすがに、そろそろ雪と岩土とのミックスになりつつある。 不安定な雪を避けて北壁沿いの岩が主なところを歩いていっていたところ、 気がつくと、ちょっと登り過ぎてしまっていた。降りられない こともないが、雪もある分、それもちょっと不安。岩沿いにコンタリングで トラバースして、主斜面に降りられるところまで行くことにする。歩登攀、 グレード 1/2 か。

今や Coire Leis が最奥部まで全て見渡せる。最奥部から雪の急斜面を 降りてくるグループが 2組、目に止まった。この後、どこから稜線に抜けられる か、はっきりしていなかったが、あそこですか。思ったより斜面が急に見えるなぁ。 でも、下降に使われるくらいなら、登るのは問題あるまい。 その下降路の近くに少し岩が出ている場所が見える。そこあたりで、雪洞が 掘れたりしないかなぁ? ちなみに、右側には、岩壁がそびえていて、その 基部なら十分雪はあろう。しかし、特に雪が融解の傾向あるこの時期、落石が怖い。 実際、雪面にいくつもの落石の跡が走っている。だから、そこは問題外だ。

さて、ちょっと(無駄な!)苦労のトラバースの後、ようやく雪面の前に達する。 しかし、この雪面も思ったより急。クランポン装着。雪面に乗り出す。

現金なもので、クランポンをつけた途端、足元が完璧に安定した気がする。 全く不安ない。これくらいの軟らかめの雪質ならつぼ足でも登れると思うとは言え、 万一滑ったら問題だから、クランポンをつけたことは正解だったろう。 何といっても安心感が違う。 もう登り過ぎてしまっていたおかげで、高度的にはすでに十分。 雪の急斜面をトラバースしていき、やがて目当ての岩部に達する。

雪の量は……、だめだ、こりゃ。
つまり、雪洞を掘れるようなところは見つけられなかった、ということ。 やむを得ない。そのまま稜線、そして山頂まで登ることにする。 実際、ここから稜線まではもうすぐの距離だ。 右前方には、雪の垂壁の最終ピッチを登るクライマーも見える。

稜線まで最後の急登の雪面を登り、そのまま稜線上の雪面を山頂まで。 稜線までは天気はよかったのに、山頂だけ、ガスの中。 16:00着。山頂は、20人ほどの人で賑わっている。一般道から 来た人がほとんどだろう。 中に、服を脱ぎ始めた人がいて、何事かと思いきや、半裸になって ガウンを羽織って、ギターを担いで記念写真を撮っている。 聞けば、ロック・グループの 3人組で、宣伝用に使うというこの写真の ためだけにギター他を担いでえっちら登ってきたそうだ。ばかですねぇ。 いいですねぇ。

さて、このまま Fort William まで今日中に降りることもできるが……、 せっかくビバーク道具一式まで担いできたのにそれは勿体ない。 山頂でビバークとする。ベン・ネビスの山頂には、小さな小屋があって、 緊急用のシェルターとして使えるようになっている(サバイバル・シート も中にあった)。でもあくまで緊急用だから、敢えてビバークする僕は 使うべきでなかろう。但し、その小屋の壁をうまく利用すれば、最高の 風避けになりそう。というわけで、小屋の脇でのツェルト・ビバークに決定。

あまり目立ちたくはないから、ツェルトを張るのは人の影が途絶えてからに することにして、その前に、まず、スノー・ブロックと 飲料水用の雪を用意することにする。 山頂付近は足跡も多く、見ていると、時に雪面に小便をしている人まで 見かけられる — 少し離れたところの雪の方がよさそう……。 100m ほど離れて人の足跡も見えなくなった辺りで雪を掘る。視界 50m の ガスの中、コンパスで方向を取る必要がある。実際、最初のブロック 1つを 運んだ跡、「雪切場」に戻ろうとするもすぐに見つからず、大分、探す 必要があった。

もう日暮れも近い。人の影もほとんど途絶えた。小屋の下の石積みを利用して ツェルトを張る。初めて使うモンベルの最軽量ツェルト。確かに軽くコンパクト。 ただし、背の低い僕にして、長さがぎりぎりか。 ツェルトを張り終えた後、風の方向が変わった……殺生な! 設置状況上、逆側には、スノー・ブロックを積みにくい。 気温は約 0℃、風も強風というわけでもないので、少々の風の吹き込みは 我慢することで妥協することにした。

ずっとガスの中だった山頂だが、ツェルト設営中に、一瞬だけ晴れ間が見えて、 周りの山々が見えた。これぞ孤独なビバークの醍醐味! 来た甲斐があったと いうものだ。

21時半頃に簡単な夕食として、就寝 22:30。

04/08

6時起床。昨夜は何度か目が覚めたが、まぁ、ビバークならそんなもの。 2シーズンの寝袋で少々の風の中でも特に寒くもなくひと晩過ごせてよかった。 7:50 の時点で気温零度だったから夜間は氷点下だったろうか。 ちゃんと装備さえあれば、これくらいの天候条件でも 2シーズンの寝袋で 十分快適だと分かったのは収穫。

そして、当然、周りには誰もいない。山頂を独占できるのはビバークならでは。 このまま一般道を下るのは芸がないから、 今日は、北側の Carn Mór Dearg へ向けて稜線沿いにトラバースして、そこから CIC hut の方に下山することにする。ちょっとした 歩登攀(あとで調べるとグレード 1 だということ)。9:05 発。0℃。

昨日、稜線に出たポイントを過ぎてから、岩場歩きが始まる。 岩場では雪はごく少なそうなので、クランポンはここで外すことに。 しばらく歩いていくとやがてガスが晴れてきて、眼下の池などが見えて 来はじめた。結局、ベン・ネビスなどの山頂付近だけガスがかかっている、 ということのよう……。

岩場は特に難しいところはない。難しければどこでも逃げられるし。 易しいグレード 1 というところ。ただし、岩が濡れていて、時折雪も かぶっているので、慎重に歩を進める。 Carn Mór Dearg の山頂着 11:30、2℃。

Carn Mór Dearg の山頂は、濃いガスの中で、今から降りる ルートも見えない。方向は分かっているし、明らかに切れ落ちている ような場所も地図にはないので、適当に見定めて降りることにする。 降り始めてすぐ、登ってくる二人連れに会った。今日初めての登山客。 よく見ると、彼らが登ってきたラインが登山道のよう。……でも、 すぐに外してしまう。ある意味、どこも径のように見えることもあって、 この条件下で登山道を辿るのは簡単でない — し、その必要もないだろう。

ただ……ザレ場と濡れた草つきの斜面。どちらも嫌らしい。ちょっとした谷部に 雪が残っているところを選んで、クランポンをつけてそこを下ることにする。 一直線の直下降 — おぉっ、なんて速くて安全で快適なんだ!

残念ながら下部では雪は消えているので、クランポンを外して普通の斜面を 下ることになったが、一番急なところはすでに過ぎたから、あとはそれほど 神経を使わなくて済む、というもの。下部ではガスもすっかり晴れていて、 とりあえずの目標の CIC hut もよく見える。13時頃 hut着。 あとは一般道をのんびり歩いて登山口着 15時半。11℃。春うらら。

Fort William で夕食など済ませた後、Glen Coe までドライブして、 ユースホステルに泊まった。

04/09

7:10 起床。今日の天気はよくない。 昨晩、地図とガイド本とにらめっこした結果、今日は、 南部 Glen Coe の Buachaille Etive Mór 山系の Stob Dearg まで歩登攀ルート経由で登ることにする。 小雨の中、9:14 ユースホステルを車で発、10時過ぎに道端の駐車スペース (GR220563)を発って歩き始める。

今日のルート(Great Gully Buttress; Grade 1/2)は、山の北壁に走るいくつもの谷尾根の うちの一つの尾根に沿って登るルート。似たような場所にいくつもの谷尾根 が乱れているだけに(そして、このルートが一番易しい)、 ルートの入り口だけは間違えないようにしないと。 特に今日のこの天気ではいつガスがかかってもおかしくない! (実際、すでに 遠くの山々は見えない)。幸い、(舗装)道からは山の全容が見てとれるので、 しっかり頭にたたき込んで、目標を見定めて歩いていく。

10時40分頃、目標の Great Gully Buttress への目印となる Great Gully へ着く。 9℃。ここからすぐ歩登攀が始まる。 難しい場所も比較的逃げやすい感じではあるが、下手に逃げると、 (Great Gullyの)谷部に入ってしまって、かえって問題になるかも知れない。 安全性という意味でも、楽しみという意味でも、直登するに限る! 雨の今日、濡れてはいるが、岩場では特に危険は感じない。むしろ 岩場をつなぐ草つきが濡れていることの方がちょっと嫌らしい感じ。

楽しく歩登攀して、最後にガイド本にある通り、(クライミングされる)岩場の 横に着いたところで歩登攀終了。この頃にはあたりに残雪も散見される。 少し登って 11:35 に稜線着、そして Stob Dearg (1022m) の山頂へ。結局、ここまで ずっと小雨、という感じだった。

山頂で休んでいると、二人連れの登山客(今日、山で初めて見る人影)が来て、 風を避けつつしばし歓談。どうしようもない日だねぇ、と。まったく。

さて、二人に別れを告げて、僕は山頂からもと来た道を稜線沿いに帰る。 この後、どうするか決めかねていたが、結局、(コル(GR216541)から一番近い一般道を そのまま降りるのでなく)稜線沿いに、もう一つの山(Stob na Doire)を登って (その道経由で)帰ることにする。 天気は全然よくないが、せっかくここまで来たのだから。

稜線沿いにてくてくと歩いて、13:42 Stob na Doire (1011m) の山頂着。 あいかわらず他に人影は一切ない。あいかわらず視界もない。30メートル というところ。長居は無用。すぐ来た道を帰る。通り過ぎてきた コルから降りる次第。

下り始めた途端、風の方向が 180度逆転した(山頂にいた 5分未満の間は、 風はおさまっていた)。突風? いや、違う。明らかに定常的に逆転した。 強烈な前線が通過した? でも、そんな予報ではなかったはず。 温度も変わったとは思えないし、ちょっと変。

ひょっとして、自分が逆の方向に歩いているってことは……? まさか! でも一応、念のため方向を確認しておきますか。 (首にかけていたはずの)コンパスが……あれっ、見当たらない。 雨まじりの強風下で、しかも分厚い手袋をしているだけに、探し出すのも億劫。 まぁ、いいか。 山頂まで来た道を戻るだけでそんな馬鹿な間違いを犯すことはあり得ない。

しばらく歩いた後、(強風下ではしばしばあることで)一瞬、ガスが切れて、 前方の今から向かう山々(の稜線)が見えた。
「えっ! 稜線の形が違う!!」

ことここに至って、地図で真剣に現在場所を検討することに。 雨まじりの強風下ではあまり愉快なことではないとはいえ、 そんなことは問題ではない。その結果、山頂から逆方向に 歩いて(降りて)きたと思えば、辻褄が合うことを発見。最後、億劫だった コンパスも探し出して、それが正しいことを確認した。

信じられん!! ど素人でもしないような間違い……。

ちなみにこの時、もしコンパスの向きがもとの予定の向きなら、自分がいる位置が わけわからなくなるのでそれは非常に困る、でも一方、逆向きなら、 山頂から思いっきり逆方向に歩いていたことが証明されてしまうわけで、 それはそれでショック、と、どちらの目が出てもあまり嬉しくないと いう状況であった (^_^;;

敗因は、言うまでもなく、視界が無かったのが第一、 悪天下でチェックを怠ったのが第二、加えて ここまでの勾配が来た時(つまり本来の下降路)と よく似ていたので、それもここまで発見が遅れた理由のひとつだった。

もし、ガスの切れ目がなければ、どうなったか?
その場所からしばらく行ったところで勾配がはっきりと変化するので、 そこで理解したはず。ガスが切れたおかげでその無駄足を踏むこと なく早めに発見できた、というところだろう。

何はともあれ、これはショック。さてどうしよう?
こういう時は来た道を戻る(つまり登り返す)のが原則ではある。 でも、現在位置は完璧に把握できたので、再度、地図を見直して、 そこから別の下降路で降りることにした。今、あるコルの近くまで来ていて、 そこから下に降りられるようだ。

しばらく降りるとガスも完全に無くなって、見通しはよくなった。 谷部に降りたので、風もずっと弱くなった。 もっとも、雨足は強くなったので、いいことばかりでもない。 結局、もともとの予定よりは時間がかかることになったが、 とんでもない間違いを犯した結果としては悪くないフォローで、 駐車場まで帰り着いたのだった。15:50 着。

昨秋に、穂高縦走に行った時、 後から来た人が、稜線上で思いっきり迷った(同じ山頂に二回着いた — つまり 180°迷った)と言っていて、こんな狭い稜線上でどうやったら迷えるんだ? と疑問に思ったものだが、自分がそんな馬鹿なことをしでかすとは。 いやはや、油断ならないもの……。いい経験であった。

この後は、イングランドまでひたすら長い運転。 連休最後の日ということは、お約束のように大渋滞にもあった。 16時半に Glen Coe を発って、夕食や仮眠を取ったりしながら、 翌朝 7:30 に自宅に帰り着いた。
結局、今回の山行で一番怖かったのは、やっぱりこれら車の運転だった。 ニアミスとか危ないことは何もなかったとはいえ……、やっぱり車の 運転は登山より怖いと僕は感じるところだ。


情報編

ロッホアーバー (Lochaber)

ロッホアーバー(Lochaber)は、 スコットランドのハイランド(Highland)の 8県のうちの一つで、 ハイランド南西部に位置します。

(スコットランド・)ゲール語では、 lochは「湖」aber(abar)は「川の合流点」「河口」を意味しますから (参考: Wikipediaの頁: http://en.wikipedia.org/wiki/Aber_and_Inver_as_place-name_elements)、 ロッホアーバー Lochaber は、「湖口」という意味になりますね。

英国の最高峰 ベン・ネビス(Ben Nevis; 1344m)が、このロッホアーバー県にあります。 そして、同じく「高」山が林立するグレン・コー(Glen Coe)もこのロッホアーバー県 にあります。また、南西部にある、ということは、ハイランドの中では、 イングランドに最も近い県でもあります。 そのため、ハイランドで最も有名な県と言えましょう。

参考リンク


登山技術議論編

雪洞

今回、雪洞を掘り損ねたのだが、今から考えると、雪洞に泊まることは 可能だったと思う。

ある本で、最も実用的な雪洞は、(斜面でなく)平原の まっただなかに掘ったものだ、と書かれていた(本ではなく、プロのガイド に聞いたのだったかも?)。今まで、平原のまっただなかに掘るなんて、 ずっと手間だろうし、風避けはどうするのか、と思っていたのだが、 今回、スノーブロックを掘り出していた時に気付いたことがあった。

平原で四角いスノーブロックを掘り出すことは難しくない。 しかも、掘り出したスノーブロックはそのまますぐ横に並べて壁と することができる。つまり、掘り出す深さは、実質、半分で済む。 1回につき高さ 20cm のスノーブロックを掘り出すとしたら、 2層分掘り出した段階で、実質上 80cm の深さが確保できる。3層分 なら 120cm、十分だ。そういう意味では、掘り出す量は、斜面に掘る場合に 比べて、半分で済む! しかも、二人いれば(そしてショベルが二つあれば)、 二人ほぼ同時に作業することも可能だ。

問題は上が開けっ広げになっていることだが、ツェルトがあれば、 それを雪で固定すれば、十分だろう。 ただし、夜間に雨雪がたくさん降る可能性があるなら問題か。 また、上の厚みが無い分、斜面に掘った雪洞に比べて 少々寒いかも知れない。逆に利点としては、天井が落ちてきて 生き埋めになる心配をしなくて済む。

今回、ベン・ネビスの斜面には十分な雪は無かったが、頂上稜線上には 水平雪洞を掘れる程度の十分な雪があった。今回、その可能性に気付いたのは、 ツェルト設営中、ちょっと遅かった。次は是非、試してみたいものだ!
雪洞経験のおありの皆さん、どんなものでしょう?


タイム・テーブル

2007/04/06-09 Lochaber 山行タイム・テーブル
時刻 行動 高度(m) (計器|地図) 温度(℃) 歩数(複歩)
表注:
高度の表記で (s) は高度計をその高度にセット。 なお、高度計は、YAESUの無線機VX-5に付属のもの。 歩数は、その前の項目からの歩数[複歩]、 括弧「(...)」内は予測値。 GR は、Grid Reference Number で、省略時の頭文字は、NN。
2007/04/06
(Leicester → Fort William YH前)
08:25 Leicester発
09:05 給油@Fosse Park後発
12:40 Laneasterサービス
13:10
14:10 Southwaiteサービス(仮眠)
16:00
19:00 Tarbet(5分休)
20:34 Fort William
22:52 Fort William
23:13 YH前
23:30頃 就寝(車中泊)
2007/04/07
(Fort William YH → CIC hut → Coire Leis → Ben Nevis)
05:20 起床
10:10 20(s) 12
10:30 三叉路(GR134720) 170 10 625
10:39
11:15 分岐(GR147724) 625 2100
11:40 8
12:30 CIC Hut 8 2100
12:55
14:00頃 Coire Leis
ピッケル・ヘルメット着用
1000弱?
クランポン着用 5
15:05 岩棚 1070?
Abseil post
16:00 Ben Nevis山頂 1344 5
18:00頃 ビバーク設営開始 3
20:00頃 ビバーク設営完了
20:30 1
21:30 夕食
22:30 就寝
2007/04/08
(Ben Nevis → Carn Mór Dearg Arête → Carn Mór Dearg → CIC Hut → Fort William → Glen Coe YH)
06:00 起床
07:50 0
09:05 1344 0
09:28 Abseil post
クランポン脱ぐ
543
09:59 3
10:30 コル
メリノシャツ脱ぐ
1058 3 720
10:45
Carn Mór Dearg Arête
11:30 Carn Mór Dearg山頂 1220 2 1200
下降途中、クランポン着用
12:20頃 クランポン脱ぐ
12:30
13:00頃 CIC Hut 4
13:30
14:18 分岐(GR147724)
下base-layer脱ぐ
625 5
14:35
15:28 Fort William YH 11
Fort William(車)
19:25 Fort William発
Glen Coe YH
23:15 就寝
2007/04/09
(Glen Coe YH → Altnafeadh 駐車場 → Great Gully Buttress → Stob Dearg → Stob na Doire → Coire Altruim → 駐車場 → Leicester
07:10 起床
09:14 YH発
FB Altnafeadh そば駐車場
(GR221563)
10:05 289(s)
10:18 分岐 (GR222558) 9 498
10:42 Great Gully 9 1021
11:35 Ridge交わる (GR224546) 8 1520
12:20 Stob Dearg頂 1022 6
12:40
主稜線コル (GR216541) ??
13:42 Stob na Doire頂
(5分休)
1011 6 1435
コル (GR202530) 820
Coire Altruim
14:55 三叉路(GR199542) 360 10 ??
舗装道(A82) (GR553560) 1900
15:50 駐車場 289 10 600
16:30 発(車)
17:00 Crianlarich
19:00頃 Balloch(夕食/仮眠)
22:12
23:45 サービス(15分休)
25:00 Southwaiteサービス(仮眠)
28:07
30:25 Uttoxter(10分休)
31:45 Leicester

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まさ