[Japanese / English]
総括
- 山域
- (Eastern) Peak District/Curbar Edge
- 参加者
- スティーブ・E、ジェマー、サム、ジョージ、スーミン、デイブ・E、アレックス・C、ジョン・S、ニック・P、グレアム・B、ジーナ、クリス、まさ (ULMC他)
- 期間 (2008/04/26--27; 1泊2日)
- 2008/04/26
Curbar Edge (以下、リンクは特記しない限り rockfax.com へのもの)- The Toy (Area)/Shallow Chimney (7m VD); Leader まさ (OF), 2nd アレックス、スーミン、ジョージ、サム、グレアム
- L'Horla (Area)/Green Crack (11m HVS 5b); Leader まさ (OF), 2nd グレアム(断念)、クリス(断念)
- L'Horla (Area)/Slab Route (9m HVD (S 4a)); Leader グレアム (OF), 2nd クリス、まさ
- Quarry Face (Kayak Slab)/Kayak (9m E2 5c (E1 5b)); Leader ジェマー (Hp), 2nd まさ; Leader グレアム (GF), 2nd クリス
- Avalanche Wall Area/Avalanche Wall (12m HVS 5a); Leader まさ (OF), 2nd グレアム
- Baron's Wall and Calver Wall/Allen's Climb (9m Diff); Leader Graeme (OF), 2nd Gina, Masa
- Baron's Wall and Calver Wall/Flying Buttress Right (10m S 4a); Leader グレアム (OF), 2nd ジーナ、まさ
- Baron's Wall and Calver Wall/The Corner (9m HVS 5b); Leader まさ (OF), 2nd ジョージ、サム
様式: O(s) = オンサイト, F = フラッシュ, (A) = (助言少々), G = グラウンド・アップ, Hp = ヘッド・ポイント
- 2008/04/27
運転して帰ったのみ - 宿泊
- 幕営@Hardhurst Farm Camp Site
- 天候
-
- 04/26: 晴 (21℃@17:50)
- 04/27: 雨
登山編
山岳部の山行でピーク地方へ。ほとんどは金曜日晩から行っているが、 僕は二人を連れて、土曜朝に現地で合流。場所は Curbar Edge。 2カ月前に来たばかりだが、 まだまだ登っていない、登りたいルートが山ほどあるので、 全く異存ない。
2カ月前に登った October Crack のすぐ横の VDiff Shallow Chimney をリードして、ウォーミング・アップ。アレックスとスーミン とがフォローする頃には、部の他の連中も合流してきた。 そこでジョージとサムとがフォローしてくるのを確保する。する間に、 (事前に連絡していた)グレアムと彼の恋人ジーナもやってきた。 グレアム、登るかい? 登らいでか。 ルート終了点、崖の上で挨拶の握手。再会の場所として、クライマーにふさわしい!
グレアムは、 L'Horla (E1 5b) を登ってみたいんだけど、どうしようかな、と言う。 そのすぐ近くのひときわ目立つルート Bel Ami (VS 4b) はなかなかいいルートだったよって。 僕は、その二つのルートの間にある三つ星のルート Green Crack (HVS 5b) に惹かれる。上から垂れ落ちるフレークに沿って右斜め上に登っていくルート。 つまり、ある意味では、ルートのほとんどがオーバーハング。 アンダーカットを多用しそうなパワフルなルートに見える。
もう一本くらいウォーミング・アップしたいなぁ、と内心思っていたところ、 グレアムにはっぱをかけられる。「じゃぁ、登りなよ!」 うーん、分かった。では登るとしよう! 隣で登って降りてきたスティーブ、ルートを一瞥して、 「えっ、まさかそこを登るの? 冗談でしょう?」だって。 確かに見るからにパワフルだものな。オーバーハングだし。 でも、アンダーカットのルートは 僕は割と好み。特に今、指の力はいまひとつだけれど、腕力と 体芯の力とスタミナは割とあると思うので、いけるのではないかと。
まず、下から念入りに眺める。よく観察するとそれなりに(小さい)スタンスが あるように見える。最後の本格的トラバースの前に立派なノブがあるから、 そこで多少は腕を休めそうだ。いけるはずだ!
ボルダリング・マットを敷いて、最初の 3m をカバー。ジェマーに スポットしてもらう。支点を極めて、いよいよフレークの取付へ。 よし、問題ない。ここで支点をさらに極める。登る。もうひとつ支点。
次はノブまで。問題ない。読み通り、スタンスが有効だ。 支点を極める。支点は大丈夫か? うーん、絶対の自信がない。 ちょっと疲れが出てきたが、でもここが肝要、もうひとつ支点を極める。 もう大丈夫。あとは読み通り、行くのみ。フレークの最後にアレットに 出るところが下からははっきりしないが、行けば何とかなるだろう! ゴー!
ある意味で、パワーのルートこそ、スタンスが大事。 慎重に足から体重を移動させていく。いける。次いで、手、そして体。 問題ない。アレットまで斜めに登り抜ける。アレットを回ったところ に……ホールドが……大丈夫。そこはグリット石。問題ない。 よし、越えたぁ! アレットに回り込んで安定したところで、次の支点。
あとは簡単なアレットを登って、終了点。 なかなかのいいルートだった! これは確かに三つ星だ! ガイド本にはスタミナが要求されるルートとあるし、ある程度は その通りだが(特に中間支点を取るのに)、むしろ足さばきの技術の方が 重要な気がした。
グレアムがフォロー。 途中までは問題なかったものの、右斜め上にフレークを登る核心部分で落ちた。 使うべきスタンスが見えず、力つきたと言う。問題は、一旦落ちると 上がオーバーハングなだけに、ルートに戻りようが無くなること。 ぶらんこのように振ってはみたがだめだったようで、ロワーダウンとなった。
この頃になるとグレアム(とジーナ)の友人のクリス (この 1年で 2回 (昨年4月 と 11月)、僕も一緒したことあり) が合流してきていたので、クリスが次にフォローする。 ……とはいえ、グレアムが落ちたもの、クリスにはやはり苦しい。 同じ場所かそれより少し前でやはり落ちて、ロワーダウンとなった。
グレアムに、他に誰か登りたい人がいないか尋ねてもらうも、 希望者はいなかった。正直、グレアムが落ちたもの、 他に確実に登れるのはジョン・S くらい(もっとも、ジョンは、自分の ルートではない、と言っていた)で、登れるかも知れないのが スティーブを含めて 3人というところだろうから、無理ないか。 でも、そんなハードなルートだから、登ってみるのも面白いと思うんだけどね。 フォローなんだから。
クリスがトライしている間にグレアムがリードした Slab Route をクリスとさくっとフォローして、昼食に (ちなみにジーナはその前に、スティーブのフォローで同ルートを登っていた)。
昼食後、ジョンとスティーブらのグループを追いかけて、 彼らが登っている Kayak (E2 5c) に行く。 何と、スティーブがリードしているではないか! 最初の 6m に中間支点がないスラブのルート。ボルダリング・マットを並べて 皆でスポット。必死のスティーブ、何とか中間支点を取れる場所に着いた。 フレンズを 3個極めて、上に登っていく……登り切った! おめでとう!!
次いで、ジェマーがリード! スティーブがフレンズを残しているので、 中間支点にはそれを使うにせよ、下から登る! (その前にジョンが登った のをフォローで登っていたようだ。) かなり怖そうではあったが、それでも無事登り切る。おめでとう!
スティーブもジェマーもリードは 4c/5a 程度、大抵は VS まで、 たまに HVS という程度だから、このルートはそれより 2グレード以上、 上になる。おぉっ、素晴らしい!! よくぞリードしました。
では俺も、とグレアムがやる気になっている。それなら僕に、 その前にルートをクリーンさせて下さいな。ジェマーの確保で。 こんな支点の取れないルートをリードする気は僕は起きないので。 登ってみると、核心は、少なくとも僕のリーチなら確かに 5c ムーブか。 バランスが要求される。スラブですからね。 恐ろしく難しいとかパワフルとかいうわけではないけれど、 中間支点無しで登るのは怖いでしょうな。 スティーブ、ジェマー、よくリードしましたね、このルート。
そしてグレアム。下から助言はするも、もちろんリードは彼の仕事。 無事登り切る。グレアムにとっても初の E2 のクリーン・リード。 今まで、グレアムは、E1 を数々トライするも、クリーンにリードしたことは 一度もなかったという。おめでとう! 最後、クリスが苦労しながらもフォローする。皆がハッピーな Kayak だった。
ここでクリスは用事があって帰ることに。 僕は、さらに左方に行く前に、少し戻ったところにある、有名な Avalanche Wall (12m HVS 5a) をリードさせてもらう。 きれいなクラックのルート。 グレアムは以前来た時に、パートナーのイアンのフォローで登ったことが あるという。イアン共々随分と苦労して、グレアムはフォローながら 途中でザイルにぶら下がって休みを入れることになったんだとか。 そうかぁ、そうは見えないけどなぁ。気を締めてかかろう。
クラック部はハンド・ジャムとレイバック、それにフェイスのクライミングで。 同じような難しさ(5a?)が次々に来るが、間に十分に休みを入れられるし、 中間支点は申し分ないので、悪くない。最上部のチムニーのとっかかりが 難しいと聞いたものの、申し分ないホールドがあるので全然悪くない。 というわけで、どちらかと言えば拍子抜けの感じで登攀を終えた。 HVS として過不足ないルートだと思うが、特に難しいわけでもないような。 実際、グレアムも、今日は問題なくフォローしてきたのだった。
さて、ジーナがしばらく登っていない。今日は、彼女にとって初めての 外でのクライミングだというのに! 次こそ彼女のためにルートを選ぼう! Diff と S 4a の二つのルートをグレアムのリードの後、彼女がフォロー。 S 4a の方 (Flying Buttress Right) はかなり苦労はしていたが、それでも何とか登り抜けた。 おつかれさま! 楽しめたようで何よりだった。
ここで、グレアムとジーナとは家路に。 僕はもう一つ登りたい気がする。 暇そうにしている仲間(1年目の新人たち)を呼んで、確保してもらうことに。 The Corner (9m HVS 5b)。 名の通り、コーナーのルート。
最初の 4m が核心のよう。 ボルダリング・マットを敷いて、サムとスーミンとにスポットしてもらう。 もっとも、新人のスポットがどの程度のものかちょっと図りかねる こともあり、落ちたくはない。スポット無しには落ちたくない場所だし。 さて、登り始めるも、予想外にブリッジが使えず、存外難しい! 肝腎のホールドに 15cm かリーチが届かない……。
クライムダウンしてやり直し。 5b の、それもコーナーのルートでひるんでいては情けない。 1年目の新人たちの手前もあるし(?)。
2回目、何とかブリッジに持っていく。左足を必要なだけ上げて、 右手を……指がかかった。もう大丈夫。そのまま体をせりあげて、
レッジまで登り、支点を極める。ほっ。 5b? いえいえ、6a ムーブでしたよ、僕の身長・リーチでは。
スポットと確保していた新人の 3人は僕のムーブに随分感心していたようだ。 確かにコーナーのムーブは、テクニカルに見えるでしょうね。
がたいのない僕には、それしかない、とも言えますが。
ジョージとサムとがフォロー。 ジョージは相当苦労、何度も落ちた後、最後、指から血を流しながらも 何とか登ってきた。 サムはもっと苦労。だめ、諦める、というのを、もう一度だけ頑張れ、 と上からがんがんザイルを引っ張って励ます。効あったか、最後、 何とか上まで登り抜けてきた。おめでとう!
二人とも、最初の肝腎のホールドに手を届かせるのも苦労していたようだが (彼らのリーチならさほど苦労なく届くはずだが)、 手が届いた後でさえ、落ちていた。ふむ、その辺が違いかな。
そして、今日のクライミングはここでお開きとした。
後日、僕がオンサイト・フラッシュで登った 3本の HVS のルートを調べると、 3本とも Joe Brown のルートではないか! たまたまなのに。 素晴らしい! 僕のルートの見る目があったかも? (笑)
3本目の The Corner は、RockFax の説明には、 「HVS にしては易しい方(ただし背の低い人を除く)」とある。 全くおっしゃる通りかな。しかし、Joe Brown が初登したのだから、 背の低いのは言い訳になりませんね。というわけで、僕は登れたことが 一層嬉しかったのだった!
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まさ