◎ 蘇格蘭 ┃ | ウェールズ ┃ | 英蘭 ┃ | 北愛蘭 ┃┃ | ↑ 「英蘭の山情報」へ戻る ┃ | ↑ 「欧州山情報」へ戻る |
コーンウォール概観
コーンウォール (Cornwall) は、英国最南西に位置し、西方に細長く伸びる半島です。 四国に行くなら佐田岬の突端に行かねば気が済まない、という向きには、 外せない場所でしょう。 独自の言葉(コーンウォール語 (Cornish))を持ち、 地名はしばしば英語と併記されます。 交通の便はよくなく、結局、好むと 好まざるとにかかわらず、車で下道を走ることになりそうです。
コーンウォールは、まず moorland (天然の荒野)の原野で有名で、 Dartmoor と Exmoor の 2つの国立公園を有します。Dartmoor の最高点は海抜 621m で、 南部イングランドの最高点になります。ちなみにこの標高は、 (中部イングランドの)ピーク地方(Peak District)の最高点とほぼ同じです。 また、半島の南北共に海岸沿いの絶壁が連なることでも名高く、 シー・クリフ (sea cliff) 登攀や海岸沿いのウォーキングに訪れる人が多くいます。 最南ということは、それだけ相対的に暖かい(日が多い)ということでもあります。 それもあって、 Deep Water Solo (DWS) や あるいはサーフィン、シーカヤック、ダイビングなども盛んです。
登攀のための岩場としては、 最も有名なのが、最西端(ペンウィズ半島(Penwith peninsula)と呼ばれる地域)の 景勝地ランズ・エンド(Land's End)に近い地域で、特に 北海岸のボジグラン(Bosigran)、 ランズ・エンドに隣接する(=西海岸の)セネン(Sennen)、 南海岸のチェア・ラダー(Chair Ladder)が有名。 これら 3箇所は、地質学的にはイングランドには珍しい花崗岩(granite)質で それも またクライマーを惹きつける一つの理由になっています。 難点は、Land's End (=さい果ての地) の名の通り、どこから行くにも遠い ことでしょうか。
ランズ・エンド(Land's End)近辺
ガイド本
West Cornwall
- by Climbers' Club (2000年)
- 決定版
Cornish Rock
- by Rowland Edwards & Tim Dennell (Cicerone社; 1997年)
- ダイジェスト
ボジグラン (Bosigran)
コーンウォール半島内のペンウィズ半島の北海岸に位置し、 主フェイスは西向き、300m にわたり、それから少し南西に離れたところに Bosigran Ridge がある。 主フェイスと Bosigran Ridge との間、数10m 沖合に浮かぶ島には、 過去に登攀の記録はあるが、2007年現在は鳥天国としてアクセス禁止されている。
主フェイスでは潮汐に注意が必要なルートはほぼ無し。 シングル・ピッチのルートもあるが、 多くは 2〜4ピッチ。(難易度的に)易しいルートが少なからずある。
- Bosigran Ridge (Commando Ridge) (660f VD; 第1ピッチは潮汐要注意)
- Doorpost (3pitches, HS)
- Suicide Wall (4pitches, E1)
などは、英国中のクライマーに名を知られるくらい有名。
セネン (Sennen (Pedu-Mên-Du))
シングル・ピッチが主。2ピッチとされるルートもあるが、せいぜい 25m 前後 なので、60m のザイルなら 1ピッチで登り切って問題無いことが多かろう。 特に Central Area には易しいルートが集中してあり、(山岳部などの)グループ 活動で使われることも少なくない。ただ、 Central Area へのアプローチは ちょっと面倒。小さな石小屋の横を抜けて谷部を南側に 下りて(scrambling Grade 1 程度)から 左にトラバースしていくか(scrambling Grade 1/2 程度)、 懸垂下降で直接降りるか (ただし、懸垂下降用の特別な支点があるわけでは ないので、自分で下降支点を作る必要あり)。あるいは、 Griptight Gully (Diff) をダウン・クライムするか。
一部のルートでは、潮汐に要注意。そうでなくても、稀に高波にさらわれる 事故があるという。 岩場上の小さな石小屋(coastguard lookout)の近くに公衆便所があったはず。
余談だが、セネンでは岩場に隣接して 砂浜があり、海のスポーツも盛ん。 観光名所ランズ・エンド(Land's End)までは歩いて行ける距離。 アウトドアには無縁の観光客も少なからず見かけられる。
チェア・ラダー (Chair Ladder)
ペンウィズ半島(Penwith peninsula)の南海岸、 Gwennap Head (Tol-Pedn-Penwith)内に 位置する海岸沿いの花崗岩の岩場です。
伝説に曰く、魔女マジー・フィギー(Madgy Figgy)がこの岩場の上に腰かけ、 時折、大気の精を呼び寄せて嵐を起こしては船を難破させ、 宝を奪い取っていた、ということです。この岩場はそんな椅子(のような構造)が 連なっていることに名(Chair Ladder; 直訳「椅子の梯子」)の由来があると聞きます。
ボジグランやセネンと異なり、 チェア・ラダーは、陸からその全景を見渡すことは 不可能で、また潮汐の関係で満潮時は取付に達することができない場所も 少なくありません(干潮時の 6時間が目安)。岩は、セネンに似て、 石英が散らばる粗い花崗岩です。主にシングルピッチの Ash Can Gully Area を 除けば、高さおおむね 40〜70m、2〜5ピッチのマルチピッチのルートが主です。
チェア・ラダーへのアプローチは、まず B3315 から狭い支道に入り、その終点に(有料の)駐車場(Porthgwarra car park)が あります(トイレと喫茶店もある)。そこから 400m くらい歩道を歩くと、 崖の上部に着きます。 干潮時であれば、取付まで歩登攀で降りられます。どのルートを登るかによって 降りる場所が違いますし、またその径も必ずしもはっきりしないので 要注意です。
チェア・ラダー (Chair Ladder) 関係リンク
- Madgy Figgy's Chair
- http://www.sacred-texts.com/neu/eng/prwe/prwe181.htm
Climb
誌 41号 (2008/07)の特集記事- http://www.climbmagazine.com/Search.aspx?s=ChairLadder
参考リンク
- http://en.wikipedia.org/wiki/Cornwall
- http://en.wikipedia.org/wiki/Cornish_language
- Dartmoor National Park (公式サイト)
- http://en.wikipedia.org/wiki/Dartmoor
- Exmoor National Park (公式サイト)
- Bodmin Moor (Goen Bren)
- Climbers' Club (長期潮汐予報など)
- Holidaymaker Publications (潮汐表の出版社)
以上の山情報ページの最新更新を、(無料)メルマガ上にて行っています。 お気軽に購読登録なさってみて下さい。
この文書について
リンクなどはご自由にどうぞ。 なお、このページのURIは、以下です。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/info/cornwall.html
まさ