▲欧州的登山生活▲

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第7号: 雲つく雌鳥を登る

発行日
2006/01/27
発行者・筆者
まさ (坂野正明)

まさです。
(遅ればせながら)あけましておめでとうございます。
よいお正月を過ごされましたか? 僕は、この年末年始はスコット ランドで過ごし、次いでフランスに氷壁登攀に行ってきました。 ちょっと期待外れなところもありましたが(お天道さま……)、 それなりに楽しんできました。

さて、当メルマガの方は、 4月のピーク地方での岩登りから始めます。

目次


登山記録編 〜〜 雲つく雌鳥を登る (Hen Cloud) 〜〜

  • 山域: (西部)ピーク地方/Roaches, Hen Cloud
  • 期間: 2005/04/23 (日帰り)
  • 参加者: アダム、まさ

Hen Cloud はピーク地方には珍しく、マルチ・ピッチが楽しめる場所 だ。なかなか楽しそう。僕の希望で、目玉のひとつ Central Climb (34m VS (4b, 4c, 3c))を僕のリードで登ることに。相対的に易しい 三ピッチ目をアダムがリードということにする。人気 ルートだけあって、同ルートには先客がいたが、 Hen Cloud 全体 では人の数は数えるほどしかいない。こんなにいい天気なのに。

一ピッチ目、ジャミングとフェイスとグルーブとの組み合わせ。体を クラックに入れ込んだ後、その体を抜いてフェイスに移るところで少 し苦労したが、まぁ、そんなものだろう。確保点はしっかりと安定 している。二ピッチ目、核心。 2度降りたが、ムーブを確認して3度 目で越える。広いオフ・ウイドゥスのクラックとフェイスの組み合わ せ。悪くない。ここで後続が追い付いてきたが、追い立てられるとい うわけでもなく、アダムがフォローしてくる。

さて、三ピッチ目、アダムのリード。レッジからすぐ右斜め上に走る クラックのルートを登るが…、どうもクラックに入ってすぐが難しそ う。だいぶん苦労した後、結局、降りてきて、リードを交替した。確 かに 3c とは思えない、4b くらいに感じる。とは言え、特に問題な く越えて、上までフィニッシュ。すばらしい景観を愉しむ。 岩場の取り付き自体、ちょっと高度があるので、上からの眺望は最 高だ。

下に降りた後、疑問に思ったか、アダムがトポを確認すると…、三ピッ チ目に僕らが登ったルートは、本来の 3c でもその右横の 4b でもな く、そのさらに右横だということが分かった。しびれを切らした後続 が登っていった左隣のルートがガイドにある 4b だった。レッジから 2, 3m 直登した後、斜めにいくべきだったのだ。どおりで難しかった わけだ。申し訳ない、アダム。

今日の Hen Cloud の岩登りは、今までのピーク地方の岩登りの中で、 僕にとっては最高のものとなった。景観、高度感がすばらしい。アダ ムも大いに気に入ったようで、また来たいね、と話し合ったものだっ た。今日は、岩登り的には、アダムには不本意な結果だっただろうか ら、それでも楽しめた、ということで、ほっとしたのだった。

注: なお、4b などは、英国の technical grade。フランス(欧州) 方式のグレードとは異なる。(詳細はまたいつかご紹介します)

△以上、記録の一部。全文は、以下に載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20050423_roaches.jis.html


登山ミニ知識英国編 〜〜 英国の登山文化 〜〜

英国の登山文化は、ひとことで言うと、「最初に登ったように登る」 ということになると感じます。そして、かなり徹底的に、人工物を廃 します。だから、日本の山でお馴染の道標を見かけることはまずあり ません(今までに一度も見た記憶がありません……舗装道から山道へ の入口にあるものを除いて)。ペンキ印やテープなどもご法度です(同 じく見たことありません。木の棒が立っているのを見たことが 1度あ ります)。唯一、山頂や分かれ道では、ケルンが立っていることがあ ります。そのケルンさえ、しばしば是非が議論されているくらいです。

スコットランドにはかなり真の荒野が残っているようです。しかし、 イングランドやウェールズだと、実はほとんど牧場化されています。 ロビンフッドの時代には物語の通り、まだ深い原生林が残っていたよ うですが……、今ではすべて開発され尽くした、という雰囲気です。 湖水地方でさえ例外ではありません。山の真ん中を横切るある線以下 が緑……つまりそこから下が牧場化されていて、上はがれ場となって いたりします。

そういう意味で、現代英国の登山に対する倫理観は、過開発の過去に 対する裏返しのような気もしなくはありません。残された自然(本当 に「自然」かどうかは置いておきます。街の生活ではないという意味 に受け取ってください)と接するときには、せめて(?)可能な限り、人 工物を廃する、という態度でしょうか。

というわけで、英国の山(丘)には、目印がおよそありません。加えて、 日本の山道のように石が敷き詰められて整備されている、ということ もごくごく稀です。そして、林がごく少ないですから、森のなかの道 のように「道」がはっきりしてもいません。つまり、踏み跡が不明瞭 なのも日常茶飯事です。だから、山歩きする人にとって、英国の山 (丘?)では、読図能力は必須です。英国全土がルートファインディン グ山行と言っても過言でないくらいです。まぁ、日本ほど山深いわけ ではないので、迷ったとしても、大抵、数時間も(道なき道を)歩けば、 舗装道につきますが。

この倫理観は、岩登りの世界ではさらに顕著になります。日本の山の 「壁」だと、どこに行っても、ハーケンがたくさん打たれているもの ですし、フリークライミングの岩場なら、自然の岩に打ち込まれた多 くのボルトが鈍い金属色を放っています。一方、英国の岩場は「きれ い」です。最も有名なスタニッジ・エッジには 1000を超えるルートが ありますが、岩場全体で、一本のボルトもピトンもありません。 だからそこを登る場合も、ピトンを打つのも、ましてボルトを 打つのなんて厳禁です。「最初に登ったように登れる」わけであり、 クライマーにもその倫理観を順守することが求められます。

個人的には、この倫理観に惚れています。これこそ登山だと!

△以上、以下にも転載しました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/info/mountain.html#culture


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あとがき

年始のばたばたからようやく落ち着きつつあるこの頃です。

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