△第22号: 毛も逆立つ歩登攀—ブリスリー稜
- 発行日
- 2006/06/05
- 発行者・筆者
- まさ (坂野正明)
まさです。
いい季節になってきました。欧州、特に英国は、この5月〜8月の4カ月のために、
あとのみじめな季節を耐え忍ぶ価値がある、というくらい、輝ける(そして
暑くない)季節です。夏至の頃なら、スコットランドは言うに及ばず、イングランド
でも、晩は22時頃まで明るく、存分に素晴らしい季節を楽しめます。 皆さんの中には、そんな英国を登山、山歩きに訪れてみたい、という方も
いらっしゃるかも? (うん、と言って下さい!) という方々のために、 必要装備を書いてみました。
本号前半は、昨年 8月末、アルプスの後の初山行となる北ウェールズ での登山記録です。当初は、初日に伝統のスラブ岩ルートを登攀した ことを目玉に書くつもりだったのですが……、どうも読みものとし て面白く書けない! というわけで、二日目の歩登攀の方の記録です。 グリデール・ヴァッホ山のブリスリー稜——"bristly"とは、 「剛毛質の」「毛が逆立っている」という意味——を登ってきました。
目次
登山記録編 〜〜 毛も逆立つ歩登攀—ブリスリー稜 〜〜
ジョンと北ウェールズに来る。 よく考えたら、北ウェールズは、ずっと冬にしか来たことがなかった。 夏山の今回、Glyders 付近でのマルチ・ピッチの本格的岩登りと歩登攀が 目的だ。
初日に岩登りした後、今日は歩登攀を 2ルートつなげて、山を二つ登り降り する予定だった。ただ、今日、天候が必ずしもよろしくない。そこで、 最初のルートを諦め、直接、目玉のブリスリー(Bristly)稜(スクランブリング Grade 1)へと向かう。
ブリスリー稜眼下のコルに着いた時点で やたら風が強い。 ここでハーネスを装着、ザイルも一応ザックの中にしのばせてある。
最初の壁を登った後、シニスター谷(Sinister Gully)を登る。「sinister」とは、 邪悪とかそういう意味。名の通り、ちょっといやらしい。何と言っても、二、三、 ちょうど手頃なところにある岩がぐらぐら動くのがぎょっとする。これで Grade 1 かぁ、とジョンのコメント。しばらく言って、3m の谷部に降りて登り返すの が、またちょっとした歩登攀。絶対、Grade 1 なんかではない、とジョン。
さらに歩を進め……、核心は、4〜5m の谷部。降りて登り返す。こりゃ、クライ ミングだよ、とジョンのコメント。まぁ、 そこまで難しいかどうかはともかく、Grade 1 としては、非常に難しく厳しいの は間違いない。スクランブリング Grade 1 は、山歩きの人にとっての(技術的に) 最高難度なのだが、それを信じてここに来てしまった山歩きの人は、かなり肝を 冷やすことだろう……。僕としては、ここは、Grade 2 または 3 と感じた。楽 しい「岩場歩き」ではあった。ただ、時々「弛い」岩があるので、注意を怠れな いルートでもある。
最後、ガイド本にある通り、突如として岩場が終わりを告げ、ここで一般登山道 と合流する。この頃には、雲の中に入っていて、視界 50m以下。そ して、ここの広い稜線は、悪天候時に迷いやすいことで悪名高い。英国の登山道 の「一般道」には、道標なんてないし。コンパスで方向を定めて、Glyder Fach (994m) の山頂に向かい、じきに無事たどり着く。有名な「ぶら下がり岩」の写 真を撮るジョン。
さて帰ろうか、という時、地図を見直して、ここは実は山頂の手前のピークでは ないか、と二人で合意する。晴れていれば間違えようがないだろうが、この時の 視界 20〜30m では、一見して判別できるはずもなし。コンパスをセットして西に歩 くこと 5分、真の山頂に着く。しかし、岩が濡れていて滑ること滑ること。 去年末の山行 3日目でトレバ ン山の北稜に行った時とまさにそっくりだった。
さて、山頂からは、(先に入口横を通ってきた)一般道経由で下る。再びコンパス を頼りに、ほぼ直進。ほどなく無事、辿り着く。30m 未満の視界の中としては 上出来というものだ。そこからはざれ場的な急勾配の一般道を慎重に下ってい く。勾配が緩くなった後は、平坦に近い Miner's track (一般道)を辿って、 一路、天場へ。雲の切れ間に時折見えるトレバン山の東壁が見事だった。
△以上、記録の一部。全文は、以下に載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20050826_glyder.jis.html
登山ミニ知識英国編 〜〜 夏山必要装備 〜〜
英国のアウトドアの装備は、外では、何をするにせよ、基本的に全て自前で まかなう、のが原則です。自己責任が徹底している、と言ってもいいです (救助体制はちゃんとしてますよ。救助された側が責められない分、日本より ましでしょう)。つまり、道標がなければ歩けない、鎖がなければ岩場歩き できない、残置ボルトが無ければ登攀できない、という人には、(ガイド なしでは)厳しい場所 になります。逆に、過剰親切な 人工物が無いのを魅力と捉えるなら、素晴らしい場所と言えましょう。 山歩きなら、僕は(フレンチ)アルプスよりも英国を選びます。アルプスの 山歩き道には、日本と同じで無粋なものが多くて。
- 必要なもの (山歩き)
- 登山靴 (防水のものが望ましい。スコットランドでは必須。)
- 防水衣
- ナビゲーション用具 (地図が読めることが必須)
- 無線機? (山深くはないので不要?; 山中では携帯電話は期待薄)
- 防虫ネット (夏期スコットランドでは必須?; 不要@英国中南部)
- 必要なもの (岩登り)
- ダブルロープとそれ用の確保器(8環不可、シュテヒト環疑問)
- ナッツ 2セット、マイクロナッツ 1セット、ヘックス 1セット、フレンズ 1セット (=安全を見た時のセット)
- ぬんちゃく(15cm〜60cm)×10 (10cmのものはほぼ無用)
- ナッツキー
- 登山用ヘルメット、ハーネス他通常の登攀装備
- (多分)必要ないもの
- サングラス、麦わら帽子
- 「軽量」テント (ほとんどの天場は車横づけ型)
- 大型ザック (が必要なほどの遠征できる場所は少ない)
- 渓流靴などなど (楽しそうな沢はほぼ皆無?)
- 携帯便所 (一般に排泄物までは持ち帰る必要なし)
Webページ更新情報
- この記事は、以下にも載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/magazine/backnumber/eu022.html - ウェールズの山の高度について、以下にまとめました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/info/wales.html#altitude
次回予告
次回は… 「雲つく雌鳥、再び」
See you later!
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