△第26号: 湖水地方最高(?)の稜線歩き
- 発行日
- 2006/07/10
- 発行者・筆者
- まさ (坂野正明)
まさです。
先の初冬(12月)、湖水地方に行きました。夜遅く現地に到着すると、 お目当ての天場が冬場のため閉まっていて、往生しました。結局、別
の閉鎖されている天場で交渉して、泊まるだけなら勝手にどうぞ、と いうことになりました。便所はないし、水道も保証されない(実際、
零下6℃以下まで下がった翌朝は凍っていた)、というものでしたが……。
とはいえ天幕さえ張れれば上等? 2日間の登山とストーン・サークル訪問まで楽しみました。 以下、初日の歩登攀の記録です。関連して、 英国の歩登攀の難易度システムについて紹介します。お楽しみあれ。
目次
登山記録編 〜〜 湖水地方最高(?)の稜線歩き 〜〜
今日の目標は、Sharp Edge (シャープ・エッジ)。歩登攀グレード 1 の 稜線歩きだ。
そして、同稜のある湖水地方北部山系には僕は一度も来たことがない。 動機には事欠かない、というものだ。
(湖水地方については本メルマガ第5号、 または拙文
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/info/laked.html
をどうぞ。Sharp Edge は、Skiddaw山の隣の山系にあります。)
10時に歩き始め、 緩やかに高度を上げて登っていくと、やがて、シャープ・エッジが見えてくる。 なかなか素晴らしい顔つきではないか!
じきに、稜線の歩登攀部へ取り付く。稜線自体は確かに岩の歩登攀なのだが……、 そのすぐ右下側に並行して普通の登山道が走っている。つまり、 危険を感じたらすぐいつでも登山道に降りられる。だから、稜線を 歩登攀するのは、ある意味で、「無理している」感じが否めなくて、少し興ざめ。 そして、そんな切り立った稜線もたった 20分で終わりを迎えたのだった。 あとは、Blencathra(ブレンカスラ)山頂までの緩やかな道を登っていった。
確かにシャープ・エッジは、 (よく比較される、ウェールズの) クリブ・ゴッホとは、比較にならない、 という印象を受けた。まぁ、1日の山歩きとして悪くはないのだが。 見晴らしはいいし。 特に、厳しい稜線歩きに慣れていない人がくる入門コースとしては、 最適かも知れない。短く、かついつでも逃げられ、そして相対的に易しい から。
下山後、 近くの Stone Circle (ストーン・サークル) を訪ねた。国で最も古いものの一つだという。
羊が放牧されている(いいのか?!)土地の真ん中に、直径 50m くらいで石が 円形に配置されている。誰でも自由に入れるし、
石に触ることさえできる……。いいのか?!
ここは 開けていて、周りの山々が一望できる眺めのいい平地。 逆に言えば、人の背丈より高いこの重い石の数々を、遠い山からえっちらおっちら
運んできたというわけだ。現代の僕らには窺い知れぬそれだけの動機があったの だろうか。少し過去に思いを巡らせてみる僕だった。
△以上、記録の一部。全文は、以下に載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/record/uk/20051216_laked.jis.html
登山ミニ知識編 〜〜 歩登攀と難易度 〜〜
英語で、手も使ってよじ登ることを、scramble (動詞; 名詞なら scrambling)と言います。本メルマガ 第3号にて、その「スクランブリング」の訳語として、「歩登攀」 という言葉を導入しました。 日本なら、槍穂縦走などの険しい稜線歩きが、歩登攀のルートに相当 します。
英国では、そんな歩登攀(scrambling)のルートの一つ一つに 難易度(grade; グレード)がつけられていて、ルート選択の際の目安に なっています。たとえば、日本なら、前穂吊尾根よりは槍穂縦走が難 しく、それよりも西穂〜奥穂縦走が難しい、とガイド本にはあります が、どれほどの差があるかはよく分かりません。その差を、ある程度 客観的に数値化したものと考えて下さればよろしいでしょう。
scrambling の grade は、(例によって?) ガイド本によって若干の表記の 揺れはあります(特に、難しい方が)。しかし、一般に、最も 易しいものが grade 1、最も難しいものが grade 3、その中間が grade 2 という三段階表記になっています。この grade は、ルート の技術的な(岩をよじ登る)難しさ、長さ、高度感、迷いやすさ、危険度などが 総合的に評価されたものです。山の中のことですから、当然、天候条件や 個人の資質(体力はあるが技術はない人、その逆、高度感に強い/弱い、 などなど)によって、大きく変わり得ますので、あくまで目安として 考えるべき、というのが、常識です。特に冬場は、(言うまでもなく)心するべきです。
一般に、山歩きする人が登る最高に難しいルートが、grade 1 です。 例えば、槍穂縦走は、技術的には grade 1 に相当するでしょうか。 ただし、槍穂縦走ほど長く、高度差のあるルートは英国にはそうないので、 判断は難しいところです。また、英国のルートには、一般に、 鎖も梯子も、道標さえ一切ないので、単純比較は一層難しいですが。
grade 2 からは、ロープの携帯が望ましい、とされています。 ナッツの数個も必要でしょう(一方、ピトンやまして ボルトの使用は御法度)。クライミング経験がある人 ならば、コンディションさえよければ、ロープを使わずに登ってしまうことも 少なくありませんが。
grade 3 よりさらに困難なルートは、技術的にクライミングの世界に入るので、 クライミングの grade が使われるのが一般的です。 ただし、scrambling のガイド本によっては grade 3S (S は severe の S) と いう表記を使うこともあります。3S は、要するに 3 よりも難しい、という だけなので……、クライミングの grade に換算すると、 易しければ Mod (Moderate; UIAA で I級くらい)、最高で VD (Very Difficult; UIAA で III級くらい) まで幅広い難易度があり得る ので、注意が必要です。
一般論としては、scrambling と紹介されたルートでは、 クライミング・シューズは必携ではありません。しかし、III級のルートを 巨大な登山靴で登れるか、など、個人差がありましょうから、 各々が判断するべきところです。登山靴のメーカーによっては、歩登攀用 の靴を出しているところもあります。巨大な登山靴に比べると、摩擦の 効きが全然違います。ただし、重い荷物を背負って丸一日歩くのには向いて いません。イングランドやウェールズの scrambling のルートは、一日未満で 終わる(核心だけなら 2〜3時間以内?)ものばかりなので、重い荷物を背負うこと も稀で、歩登攀用靴が活躍するところです。
Webページ更新情報
- この記事は、以下にも載せました。
http://alpiniste.hp.infoseek.co.jp/magazine/backnumber/eu026.html
次回予告
次回は… 「美しのトリドン三たび (その一)」
See you later!
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